MD双胎は長期培養がリスクとなる | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、MD(1絨毛膜性2羊膜性)双胎は透明帯の操作や凍結融解処置ではなく長期培養がリスク因子となることを示しています。

Fertil Steril 2018; 109: 1044(中国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.01.040
要約:2014〜2015年に妊娠が成立した3463名の方でMD双胎と体外受精や顕微授精における各種処置との関連を後方視的に検討しました。MD双胎は93名(2.69%)に認められました。MD双胎の頻度は、新鮮胚移植vs.凍結胚移植、体外受精vs.顕微授精、アシステッドハッチングの有無、移植胚の個数、凍結融解の方法で有意な変化はありませんでした。しかし、移植胚の培養日数によりMD双胎の頻度に有意差を認め、day 3と比べ、day 4で2.73倍day 5 or 6で3.68倍に有意に高くなりました。


解説:胚盤胞培養、透明帯操作(アシステッドハッチング、顕微授精など)、凍結融解処置は、MD双胎やMM双胎のリスク因子と考えられていましたが、明確な根拠は乏しいものでした。本論文は、MD双胎は透明帯操作や凍結融解処置ではなく長期培養がリスク因子となることを示しています。もちろん一つの論文で結論づけることはできませんし、前方視的検討が必要ですので、今後の研究成果を待ちたいと思います。

 

下記の記事を参照して下さい。

2017.9.8「Q&A1574 双子の場合:一卵性か二卵性か

2015.4.19「1卵性の双子の原因は家系にあり

2013.8.2「ふたごは寒い地域に多い?