☆太ると着床率も低下する? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2013.11.21「☆痩せると卵子の質が良くなる!?」では、2011年までに発表された5論文4758名のドナー卵子による妊娠をメタアナリシスにより解析し、ドナー卵子提供によるレシピエントのBMI>=30と<30で、着床率、妊娠率、生産率に有意差を認めないことを示しました。本論文はそれとは逆に、BMI増加に伴い着床率、妊娠率、生産率が低下することを1施設9587名の検討で示しています。先のデータにこのデータを加えると、BMI増加により着床率低下が示されることになり、卵子のみならず子宮も太るといけないことになります。

Fertil Steril 2013; 100: 1050(スペイン)
要約:2000~2011年に初回のドナー(正常BMI)による体外受精を行った方9587名について、レシピエントのBMI別に成績を後方視的に調査しました。着床率、妊娠率、生産率はBMI増加に伴い有意に減少しました。
BMI   <20   20~24.9    25~29.9   30=<
着床率  40.4%   39.9%     38.5%    30.9%
妊娠率  56.9%   55.9%     54.3%    45.3%
生産率  38.6%   37.9%     34.9%    27.7%

解説:米国ではBMI>=25が68%、BMI>=30が36%であり、健康上の大きな問題となっています。BMIと妊娠についてこれまで、多くの記事をご紹介しました。

主に、太ると卵子の質が低下するというものです。
2012.10.25「妊娠と体重の関係」
2012.10.30「BMIと妊娠」
2012.12.3「BMI 35以上は異常卵が増加」
2013.1.21「代謝が悪いと卵と胚の質が低下する」
2013.4.29「BMIが高い方のダイエット」
2013.6.7「☆ARTの妊娠率に与える男女のBMIの影響」
2013.6.28「☆太るとAMHが低下する?」

また、太るのは精子にもよくありません。
2012.12.5「☆男性のBMIも妊娠に影響」
2013.2.2「☆BMIが高いと精子の状態が悪くなる」

そして、本論文で示すように太ると子宮にも悪影響というわけです。また、本論文を支持する根拠として、着床期の遺伝子発現が肥満の方で変化していることが他の論文で示されています。

男女ともに、BMI 20~24を目指すようにするのがよいでしょう。
ダイエットについては、下記の記事も参考にしてください。
2012.10.28「私のダイエット作戦 その1」
2012.10.31「私のダイエット作戦 その2」
2012.11.03「私のダイエット作戦 その3」
2012.11.06「私のダイエット作戦 その4」
2012.11.09「私のダイエット作戦 その5」
2012.11.12「私のダイエット作戦 番外編」
2013.01.04「私のダイエット作戦 番外編:ミトコンドリアを元気に」