快楽亭ブラック師匠、裁判の結果と考察 | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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【快楽亭ブラック師匠、裁判の結果と考察】

 

 

快楽亭ブラック師匠の裁判、

判決は 2021年7月1日に行われた。

 

判決当日、

 

雨のためサンバダンサーによるお練りは中止

裁判所前でのブラック師匠からの判決報告も中止となり、

判決報告は有志による打ち上げ会で行われることとなった。

 

 

判決結果ですが、

 

東京地裁中村心裁判長は、

 

「原告の女性としての尊厳を著しく害する内容だった」

「原告は自分の話だと認識できた」

 

 として、ブラック師匠とお手伝いをした榎園京介監督に

慰謝料30万円の支払いを命じた。

 

一方、

 

「社会的評価の低下」が要件となる名誉毀損の成立までは認めず、

ブラック師匠が業界関係者ら最大300人に謝罪の手紙を送ること

などを求めた原告側の請求は退けた。

 

 

まとめると、

 

ブラック師匠側に慰謝料30万円の支払いを命じたが、

名誉毀損は不成立、謝罪も退けた

 

という内容。

 

 

 

 

この判決に対して、ブラック師匠はブログで次のように述べている。

 

 

判決は見事にあっしの予想通りでした。

あの金額なら訴えた原告は弁護士費用を考えたらプラスにはならず、

対してこちらは全国のブラックファンの皆さんのおかげでプラスになったのだし、

原告の要求していた謝罪もせずにすんだのだから

 

原告が名を取りあっしたちが実を取ったという事

 

でこれで裁判という野暮な事はおしまいにしたい。

 

※ 予想通り  (2021.7.2(金))

 

 

 

読売新聞は短い記事で、次のように掲載している。

 

 

弟子の交際女性を 「下ネタ」 に、

落語家のブラックさんに賠償命令…

「論戦の機会なく残念」

 

読売新聞オンラインニュースより >

 

 

ただ、

 

読売新聞の記事だけでは本質が見えてこないため、

ここでもう少し検証したい。

 

(私の専門は、数学とアドラー心理学であるため、

そんな視点も交えて考察する)

 

 

今回の裁判を通して、

 

口頭による弁論は行われず、

雑な進行だと感じた榎園映画監督は、

 

先日、反訴を行った。

 

その報告と今回の判決に対して、

個人 twitterで次のように述べている。

 

 

~ ~ ~ ~ ~ ~

 

反訴について

 

僕が弁護士と提出した反訴は、

口頭弁論(していないですが…)集結日の後という事で認められませんでした。

 

原告側も勝ったと思っているなら絶妙な判決と裁判官を賛美したいところですが、

師匠と原告側が控訴しないなら僕は一市民として控訴を考えます。

 

僕は原告に対して何も思う事はなく、

元ブラ坊さんに対しては友情も覚えていましたが、

 

裁判所に対しては一市民として抗議します。

 

何で、原告から僕のせいではないと言われた

 

(証拠も提出) 生配信、

師匠が知人に出すハガキの文字起こし(師匠はPCを使えないから)

 

で 10万円の支払いなのか。

 

雑過ぎです。

 

榎園監督のtwitterより

 

~ ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 

< 画像も榎園監督のtwitterより >

 

 

 

 

今回、

 

口頭弁論なしというのが、私もずっとひっかかっていました。

 

そこで、

 

私のお世話になっている弁護士の方に、

今回の件して意見をお聞きしたところ、

 

「弁護士を立てずに裁判をすると、口頭弁論なしにされることがある」

 

ということでした。

 

もし、

 

裁判所にそのような暗黙の習慣があるとしたら、

それは被告や原告の弁論の機会を奪う行為ではないのだろうか?

 

市民感覚として、

榎園監督の意見 (憤り) は十分に理解できる。

 

 

 

慰謝料30万円の内訳について

 

ブラック師匠と榎園監督が共同して20万円、

ブラック師匠は別に10万円

 

つまり、

 

ブラック師匠が20万円、榎園監督が10万円という事。

 

 

その内訳は、

 

CD、You Tube、ハガキ

 

で、元弟子の恋人に対し、下ネタでやゆしたということで、

それぞれ10万円ずつで、合計30万円。

 

その際、ブラック師匠がこれらを作成・発送する際、

 

You Tubeとハガキを、榎園監督が手伝ったということで、

共同責任として榎園監督も慰謝料を支払うように命じられた。

 

榎園監督はCDの発送は手伝っていない。

 

では、CDの発送は誰が手伝ったのか?

 

なんと、原告の元お弟子さんだそうです!

 

 

すなわち、共同作業をしていた

 

You Tube、ハガキ、CD

 

のうち、

 

You Tubeとハガキは共同責任で慰謝料を支払うこととなったが、

CDについては共同責任になっていない。

 

というか、

 

CDを元弟子が手伝ったことについては、

判決でまったく触れられていない。

 

これは重大なことであるため、

 

ブラック師匠側は、口頭弁論で確認したかったというが、

その弁論の機会も奪われていた。

 

 

これは客観的で公平な裁判といえるのだろうか?

 

 

ただ、

 

ブラック師匠は控訴せず、裁判は終わった。

 

 

今回の裁判、

 

裁判の進行や判決など、疑問に感じることはあった。

 

そのような意味、控訴してもよかったのではないかという考えもある。

 

事実、

 

榎園監督の個人twitterからは、そのような気持ちが読み取れる。

 

今回の裁判を注視していた人々も、

釈然としないものが残ったのではないか?

 

そんな

 

控訴やもなし

 

の機運はあったが、

 

しかしながら、最後の最後で

 

ブラック師匠は動かなかった

 

 

 

 

一般的には、

 

後味の悪い終わり方だと感じるかもしれないが、

 

私は、最後の最後まで

 

ブラック師匠らしいと感じた。

 

 

なぜなら、

 

これ以上、控訴をして争ったところで、

判決は大きくは変わらないだろう。

 

それに、

 

やりあうことで憎しみを増幅させるのではなく、

引き際はサッと引く。

 

争うことより協力的な姿勢で行動する

 

それこそ、

 

私がブラック師匠に抱いているアドラー心理学的な姿勢だ。

 

 

ちなみに、

 

数学者の姿勢は違う。

 

真実を明らかにするために、探究するのが数学者の姿勢。

 

 

もし、、、

 

客観的で論理的な裁判が行われていないとするならば、

 

きちんと検証すべき問題。

 

しかも、現行の裁判制度も吟味する必要があるかもしれない。

 

きっちり真実を探求し、

 

不備があるなら、是正し正す。

 

それが数学者の姿勢。

 

 

だから、、

 

数学者の視点からみると、

今回の裁判の終わり方は残念であるが、、

 

 

憎しみの感情を生まない

 

というアドラー心理学の視点から見ると、

こういう終わり方もよかったのかもしれない。

 

 

ブラック師匠は芸名を、

「被告福田」 から 「快楽亭ブラック」 に戻した。

 

 

 

 

今回の裁判について、

 

立川キウイ氏は、落語家として落語業界のなりゆきを危惧している。

 

「今後、こうした訴訟は残念ながら増えていくんじゃないでしょうか。 

だから落語界の為に審議した事実を(書面で)残しておいて欲しいと思ってます」

 

と述べたうえで、

次のように個人ブログに書いている。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~

 

これも時代でしょう。 

 

しかし師匠が弟子の顔色を伺わないまでも、

警戒心を持って築く師弟関係は制度独特の濃密さが失われ、

 

極端な話、楽屋がギスギスしてしまう可能性。 

 

例えば弟子に非があったのに破門されたことを根に持って、

それで嫌がらせで裁判を起こす者も出てくるかもしれません。 

 

そうなると入門も契約書が必要になる時代がくるかもしれず。 

落語もかなり一般化が進んだからか、それともこれも時代なのか、

 

師匠曰く 「落語は郷土芸能みたいなもんだ」 という土台の方が、

落語家が落語家らしくいられたような気がします。

 

~ ~ ~ ~ ~ ~

 

 

キウイ氏は、

 

楽屋がギスギスする可能性

嫌がらせの裁判

師弟関係に契約書がいるのか

 

などの問題提起をしている。

 

これらは、「時代の流れ」 という言葉だけで片づけていいのだろうか。

 

今後、これらの問題には社会全体で真摯に向き合う必要があると思う。

 

ブラック師匠の裁判は、

これらの問題に一石を投じたのではないのだろうか。

 

 

 

最後に、

 

ブラック師匠の次の言葉を引用して、

今回の裁判の総括の記事を終えようと思う。

 

 

(以下、ブラック師匠のブログからの引用)

 

 

貴方の落語の、大ファンなの、

お願い、お願い、弟子にして、

 

てな事言われてその気になって、

弟子にしたのが大間違い、

 

落語の稽古はまるで駄目、

ナンパするだけ三人前、

 

一言小言を言ったらば、

裁判に訴えられて敗訴れまでよ。

 

ふざけやがって、ふざけやがって、

ふざけやがって、この野郎、

 

泣けてくる。

 

 

※ 敗訴れまでよ  (2021.7.3(土))

 

 

 

 

 

 

■ 関連記事

 

◆ 愛と裁判と笑い ~ 快楽亭ブラック、裁判のまとめ ~

 
 

■ リブログ

 

◆ 立川キウイ氏によるリブログの記事

 

 

 

【執筆者】

 

 

松岡 学

 

高知工科大学 准教授、博士 (学術)

数学者、数学教育学者

 

大学で研究や教育に携わる傍ら、

一般向けの講座を行っている。

 

アドラー心理学の造詣も深く、

数学の教育や一般向け講座に取り入れている。

 

音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。

ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。

 

出版物:『数の世界』ブルーバックスシリーズ、講談社。 

『5歳からはじめる いつのまにか子どもが算数を好きになる本』スタンダーズ社。

 

 

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