【私がアドラー心理学を伝えるときに大切にしたいこと ~ メタファーの視点から ~】
1.メタファーとは何?
メタファーとは何でしょうか?
メタファーとは、隠喩 (いんゆ) または、暗喩 (あんゆ) のこと。
分かりやすくいうと、何かに例えることを言います。
たとえば、 「愛の言葉はハープの音色だ」
というのがメタファーです。
「愛の言葉」 を 「ハープの音色」 にたとえているわけですね。
脳科学によると、文字通りの意味の言葉を聞くより、
メタファーを使った言葉を聴いたほうが、
脳がより広い範囲で活性化する
ことが分かっています。
メタファーを使うことで、メッセージを印象づけたり、深みを感じたり、
時には感動を与えることができるのです!
私は、マリーナ博士の講座に出て、
初めて、 アドラー心理学にメタファーを
取り入れることができるのだと知りました。
マリーナが、メタファーを取り入れた
セラピーのデモンストレーションをやっているのを見て、
その絶妙な技法に私は感銘を受けました。
アドラー心理学 × メタファー
私は大きな可能性を感じました。
それ以来、私も自分なりにメタファーを意識するようになりました。
2.内面をメタファーで表現する
時が流れ、、、
2020年11月1日(日)
今度はオンラインで マリーナの講座を受ける機会がありました。
講座のタイトルは 「アドラー心理学の理論と臨床における発展」
アドラー心理学の歴史的なことも掘り下げた 味わい深い講座でした。
このとき、講座の中で、
自分自身が、これからアドラー心理学を伝えていくうえで、
大切にしたい姿勢
を考える機会がありました。
そのとき、、、
私の心には、 槇原敬之さんのアルバム
『君は僕の宝物』 が思い浮かびました!
思わぬ気づきでした。
このアルバムは私のとても好きなアルバム。
だけど、まさかメタファーとして思い浮かぶなんて!
どうしてこのアルバムが思い浮かんだのだろう。
自分なりに理由を考えてみました。
槇原敬之さんの音楽全般に言えることですが、
暖かさを曲から感じます。
心がこもっているとも言えます。
柔らかくて、優しい
私が大切にしたい姿勢が見えてきました。
< アルバムのジャケットはこんな雰囲気です >
3.その意味を解釈する
アルバムタイトルと同じ名前の曲 「君は僕の宝物」 が、
このアルバムの最後に収録されています。
このアルバム全体を通したテーマだと思います。
この曲は、ゆったりしたテンポで、
「好きな人を大切に想う気持ち」 を、
槇原さんが優しく誠実に歌っています。
電車が終わったわけじゃないけど
土曜の夜から日曜の朝まで
ドーナツ屋でずっとしゃべって
でもとても楽しかったね
<歌詞からの引用>
付き合い始めた頃の
初々しい気持ちが伝わってきます。
< 「君は僕の宝物」 槇原敬之 >
4.さらに掘り下げる
また、ヒットシングル 「もう恋なんてしない」
も収録されています。
本当に 本当に
君が大好きだったから
もう恋なんてしないなんて
言わないよ 絶対
<歌詞からの引用>
「もう恋なんてしないなんて言わないよ」
なんだか意味が分かりにくいですね。
恋をするのか、しないのか、
一体どっちなんだ!
よく意味を分析すると、
恋をしないなんて言わないと2回否定しています。
(2重否定)
ということは、
また恋をする
という意味なんです。
でもこの主人公の本心は
「もう二度と恋なんてしたくない」
という気持ちのはずなのに、、
恋をしたくないのに、
なぜか 「また恋をする」 と歌っている。
どうしてか?
それは、
別れた彼女に心配をかけたくないからです!
別れた彼女のことが、
本当に本当に大好きだったからこそ、
心配をかけたくないから
また恋をするね
と心に反して宣言をしているのです。
せつないですね
別れた彼女への思いやりでしょうか。
槇原さんらしい繊細でデリケートな歌詞です。
< 「もう恋なんてしない」 槇原敬之 >
こんなふうに、
このアルバムには胸を打つ
極上のポップソングが散りばめられているのです。
槇原さんの音楽の魅力が
あますことなく詰まっている名盤です。
心に響く とでもいうのでしょうか。
私もアドラー心理学を伝えていくとき、
そんなことを大切にしたい。
メタファーのおかげで、
自分の気持ちに気づくことができました。
ありがとう、マリーナ。
※ 本記事は 2021年1月11日に執筆されたものです。
それに対し、以下の加筆を行い、
本年度の抱負を兼ねて 2022年1月1日に
再アップさせていただきました。
< 加筆 (2022年1月1日) >
この1年間で、
私がアドラー心理学を伝えていくにあたり、
数学的な感性も大切にしたいという想いも強くなってきました。
自分自身がアドラー心理学を身につけるとき、
理論的に整理して理解していることに気づいたからです。
暖かい気持ちを持ちつつも、
数学的な感性も大切にする
そんな姿勢が見えてきました。
暖かい気持ちで、
メタファーとして浮かんだのは槇原敬之さんでした。
では、
数学的な感性で、
メタファーとして浮かぶのは誰だろう?
そう考えたとき、
フランスの数学者であるグロタンディークが思い浮かびました。
グロタンディークは類まれなる数学者ですが、
ある日、突然、数学をやめてしまいます。
それで、
フランスの山奥に移り住み、
自然に親しむ生活をしていました。
ときどき数学をしたり、しなかったり、
隠居のような生活。
また、
自叙伝をかねたような本も執筆しています。
といっても、
自叙伝と言っていいのかどうか分からないような
難解で、
数学の香りがする、
不思議な本。
300ページ~500ページくらいの
密度の濃い本を3冊だしています。
それ以後も、
出版はされていませんが、
膨大な日記を書き続けました。
そんなパワフルな数学者。
抽象的な思考力
が彼の特徴。
もともと数学者は抽象的な思考をしますが、
そんな数学者の中でも彼は飛びぬけて抽象的に数学を構築しました。
一般的には、
パワフルなイメージが強いグロタンディークですが、、
彼の本を読んでいると、
「きっと純粋な人だったんだろうなぁ」
と、私は感じました。
純粋であり、
数学的な感性が秀でている人
という意味で、
私は、グロランディークが思い浮かびました。
というわけで、
2022年を迎えるにあたり、
私がアドラー心理学を伝える際、
大切にしたい姿勢をメタファーで表すとすると、
槇原敬之さん (アーティスト)
グロタンディーク (数学者)
が思い浮かびました。
今後、私にとって鍵となる人たちになるかもしれません。
というわけで、
自分が考えていることをメタファーで表すと、
本質が明らかになり、自己理解の助けとなります。
あなたも何か迷っているとき、
メタファーを考えてみてはいかがでしょうか。
■ 執筆者
松岡 学
数学者、数学教育学者
高知工科大学 准教授、博士 (学術)
大学で研究や教育に携わる傍ら、
一般向けの講座を行っている。
アドラー心理学の造詣も深く、
数学の教育や一般向け講座に取り入れている。
音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。
ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。
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