こんにちは、ムーミンです。
最近は遊んでばかりで、
修論を書かないといけないプレッシャーから逃げるために、
ブログを更新したいと思います。
と言いながら、
かなりの分量になってしまいました
美術館のことになると書きたいことが多くなって、
ダメですね
ということで、
先日、ナショナル・ギャラリーに行ってきました
お目当ては、ティツィアーノ展です。
ティツィアーノ(英語で Titian )については、
このブログでも何度か触れていますが、
大好きな画家の一人です。
ティツィアーノは、ヴェネツィア派を代表するイタリアの巨匠であり、
ルーベンスやレンブラント、マネを始め、
多くの画家に多大な影響を与えたと言われています。
ティツィアーノの柔らかいタッチと色彩豊かで官能的な作風は、
いつ見ても絵画の持つ魅力や奥深さを再認識させてくれます。
日本では印象派がダントツで人気ですが、
ベネツィア派やロココの持つ色彩の柔らかさ多彩さも、
もっと評価されてほしいなと思ってしまいます。
それでは、早速、作品の紹介をしたいと思います。
① ユーロペの略奪
まずは、今回のムーミンのお目当ての一つ、
![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
エウロペはテュロス(現在のレバノン)の王女として生まれました。
美しく成長した彼女を見たゼウスが白い牡牛に変身しエウロペに近づくと、
思わずエウロペはその背にまたがってしまいます。
そのままゼウスはエウロペをクレタ島へと連れ去り、
(その場面を切り取ったのが、上の絵です。)
2人はミーノース、ラダマンテュス、サルペードーンをもうけます。
その後ゼウスは再び白い牡牛へと変身し、おうし座になります。
また、エウロペが海を渡った西方の地域は、
彼女の名前にちなみ「ヨーロッパ」 (Europa) と呼ばれるようになります。
そういえば、
木星の衛星もエウロパ(Europa)ですね。
木星はJupitor なので、ユーロペの略奪にちなんで付けられたのでしょう。
ウォレス・コレクション美術館にも
フランシスブーシェの「The Rape of Europe」が飾られています。
ボストンに行くのは遠くて難しいな~と思っていたら、
向こうから来てくれました(笑)
他にも、レンブラントやルーベンスも同じ題材で描いています。
「The Abduction of Europa(Rembrandt Harmensz. van Rijn)」
「The Rape of Europe(RUBENS, PETER PAUL)」
見てお分かりのとおり、
ルーベンスの作品はティツィアーノの模写です。
ルーベンスはティツィアーノが大好きすぎて影響をうけており、
他にも「Diana e Callisto(ディアナとカリスト)」の模写なども残しています
② ダナエ
次に紹介するのは、
同じくポエジアの一つ、
「Danae(ダナエ)」です。
真ん中の女性がダナエであり、
画面の中央上部には、
黄金の雨が描かれています。
老婆がその黄金の雨を受け止めようとしています。
ティツィアーノは、
この他にもダナエを幾つか描いています。
例えば、この作品は、ナポリのカポディモンテ美術館所蔵のものです。
老婆の代わりに、エロスが描かれていますね。
さて、
この場面に纏わる神話は次のとおりです。
アルゴス(Argos)のアクリシウス王は、
神託により自分の孫が自分を殺すことになることを知り、
娘のダナエを青銅の部屋に閉じこめます。
そこに、黄金の雨に姿を変えたゼウスが訪れます。
(その場面を切り取ったのが上の絵です。)
ゼウスは、(またもや)彼女と交わり英雄ペルセウスが生まれます。
アクリシオスはこのことを知り、
ダナエとペルセウスを箱に入れて海に流します。
ところが、2人はセリポス島に漂着します。
そして、成長したペルセウスは、
メデューサや巨人アトラースを退治したり、
アンドロメダを救って結婚した後に、
母とアンドロメダとともにアルゴスに帰国します。
いわゆる英雄譚で、
この辺りの話を抑えながら、
パーシー・ジャクソンの映画を観ると面白いと思います。
パーシー・ジャクソンの名前は、
もともと Perseus Jcakson ですからね。
映画の中でも、Perseus とも呼ばれていますよね。
(何故かポセイドンの息子という設定ですが。)
アナベス(アテネの娘)と一緒にメデューサを倒したりと、
神話を基にしたストーリー展開も面白いですよね
話を戻します.
ペルセウスが帰国したことを聞いたアクリシオスはアルゴスから逃亡し、
ペルセウスはアルゴスの王となります。
あるとき、ペルセウスが円盤投げの競技会に出場することになります。
そして、ペルセウスが投げた円盤が観客席にいた老人に当たって、
その老人を死なせてしまいます。
その老人こそアクリシオスで、神託が実現することになってしまいます。
ギリシア神話における神託は、
運命から逃れられない人間の悲哀を表現しているのですね。
ちなみに、
イギリスで有名な家電屋さんの Argos は、
アクリシウス王やペルセウスが統治していた都市 Argos にちなんで付けられたということです。
(参考:https://argos.careers/our-journey/)
(Argos)
③ ディアナとアクタイオン
次に紹介するのは、
「Diana and Actaeon(ディアナとアクタイオン)」です。
こちらは、元々ナショナル・ギャラリーとスコットランド国立美術館の所蔵で、
「Diana and Callisto(ディアナとカリスト)」
「The Death of Actaeon(アクタイオンの死)」
との3連作の一つです。
アクタイオンは、狩りの途中で、
狩りの女神ディアナの秘密の入浴場所に偶然出くわし、
彼女の裸を見てしまいます。
その場面を切り取ったのが、上の絵ですね。
台座に頭蓋骨が載せられていたり、
ディアナが獲物の皮をかざしていること、
猟犬が描かれていることが、
アクタイオンの未来を暗示しています。
頭蓋骨です
人間の頭蓋骨ではないところが、ミソなのです。
アクタイオンの未来は、
「アクタイオンの死」において示されることになりますが、
当然、死を暗示させるものばかりですよね
皆さんも、女湯を覗いたりしないようにしましょう。
④ ディアナとカリスト
次に紹介するのは、
「Diana and Callisto(ディアナとカリスト)」
です。
こちらも、ナショナル・ギャラリーとスコットランド国立美術館所蔵ですね。
右側の女性がディアナで、
左側で服をはぎ取られているのがカリストです
カリストは女神ディアナに従うニンフであり、女神ディアナのお気に入りでした。
以前からカリストと関係を持つ機会をうかがっていたゼウスは、
あるとき、狩の途中で森の中で矢筒を枕に休んでいるカリストを見つけ、
彼女を誘惑するためにディアナに変身し、関係を持ちます。
(ゼウスは本当にやりたい放題ですね。)
その後、
狩の最中にディアナは従者の乙女たちと小川で水浴をしますが、
カリストだけは服を脱いで水に入ろうとしませんでした。
そこで、ディアナは彼女の服を剥ぎ取り、
カリストが妊娠していることを知ることになります。
その場面を切り取ったのが、上の絵になります。
ディアナは、すぐさまカリストを追放します。
その後、怒ったゼウスの正妻ヘラは、カリストを熊に変えてしまいます。
後にカリストが森の中で成長した息子アルカスに出会ったときに、
息子が自分の母に槍を向けるのを見たゼウスは、
不憫に思い、2人を空に上げ、
おおぐま座とこぐま座に変えます。
(諸説あるようです。)
というか、
ゼウスのせいで悲惨な状況になったのに、
最後に良いことしたったみたいな・・・。
⑤ アクタイオンの死
三連作の最後、
「アクタイオンの死」
です。
③からの続きになります。
水浴中の所を目撃された女神ディアナは、
裸を見たと言いふらすことができないように、
アクタイオンを鹿に変えます。
これが鹿になったアクタイオンです。
頭だけが鹿になっていますね
さらに、ディアナは、アクタイオンの猟犬をけしかけ、食い殺させてしまいます
上の絵で、
アクタイオンを射っているのは女神ディアナです。
恐ろしいですね。
神話の時代から、
女湯を覗いた者に厳罰が待っているのは、
変わらないようです。
ちなみに、
表題にある「ポエジア」って何?
ポエジアとは、
ナルキッソスやイカロスなど、
日本でも有名な神話が盛りだくさんです
さて、
ポエジアには、
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ティツィアーノ展の様子
![音符](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/086.png)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20200728/20/masayukin0614/37/74/j/o1080060714795727491.jpg?caw=800)
「バッカスとアリアドネ」が見えますね🎵
「バッカスとアリアドネ」の説明はこちら
ナショナル・ギャラリー所蔵の作品も一堂に集められています。
今回は見れなかったティツィアーノの他の作品
今回の企画では、残念ながら、
ウフィツィ美術館所蔵の「ウルビーノのヴィーナス」や「フローラ」
はお目見えしませんでした。
「Venus of Urbino(ウルビーノのヴィーナス)」
説明するまでもなく有名な作品で、
マネの「オランピア」に多大な影響を与えています。
いつか実物を観たいですね~。
「Olympia(オランピア)、Manet」
「Flora(フローラ)」
フローラは、
ローマ神話に登場する花と春と豊穣を司る女神です。
こちらも素敵ですよね
女性の柔らかさと気品と、そして官能を描いた作品です。
今回、
これらの作品がお目見えしていないことは、
フィレンツェに旅行に行けという啓示なのだと思うことにしました
この夏に行くことはかないませんが、
いつの日かウフィツィ美術館に足を運びたいと思います
最後になりましたが、
ティツィアーノ展は、2021年1月17日まで開催しています。
こちらは無料ではなく、£12 掛かります。
現在は、予約制になっているので、
足を運ぶ際は予約を忘れないようにしてください
→ 常設展の予約
ではでは。
29/Jul/2020