この冬の間の個人的キャンペーンとして、私の時刻表コレクションを元にスキー列車の歴史を、実物の時刻表とあわせて、紐解いています。

 

このシリーズの現在地確認です。

【1】1970年代 ○○銀嶺号から○○スキー号への移行期

【2】1980年代 ○○スキー号からシュプール号への移行期

【3】1990年代 シュプール号をはじめとした各地のスキー列車

【4】2000年代以降 シュプール号の終焉

【5】番外編 

 

前回は【3】の序章(=1)として、1985年冬の時刻表にはじめて「シュプール号」という名称が出てきた頃の時刻表紙面を取り上げましたが、今回は第2章、シュプール号2年目の1986〜87年シーズンについて。

 

※シュプール号記事執筆にあたって、シーズン表記は12月〜3月までを対象とするため、’○○〜’○○シーズンとしています。なお、1986〜87年シーズンについては、1986年12月の運行がなかったことを念の為記載しておきます。

 

 

  初年度の総括をうけた2年目の運行計画とは?

 

今回のブログを執筆するにあたって鉄道ダイヤ情報1987年1月号を参照しているのですが、その中のシュプール号ページ内で、国鉄本社旅客局営業課の斎藤氏が初年度(1985〜86シーズン)のシュプール号について下記のように総括しています。

 

「シュプール号」では、①運賃・料金をバス並みに割り引く、②始発駅を郊外にまで広げ、東京近郊はきめ細かく停車、着駅ではゲレンデまでのシュプールバスを用意する、③特急用車両を使用し、全車指定制とする。上記3点によりバスの優位性に対抗するとともに、レール側の優位点であるスピードを武器にスキーバスに勝負を挑んだわけだ。その結果、第1回目であった昨冬(昭和61年1〜3月)から、かなりの成果を挙げることができた。この実績を踏まえ、今冬(=’87)の「シュプール号」運転計画がまとまったわけである。

 

 

 

 

  2年目となる首都圏シュプール号4列車のダイヤ変更点

 

首都圏発のシュプールに共通する修正が、新宿発車時刻を午前0時前に統一している点です。これは初年度の運行に関して、チケット購入時点ので乗車日間違いが多発したことをうけて修正されています。
 

シュプール上越号

使用車両について、初年度は2往復中1往復が新前橋区の165系を使用していたところ、車両の融通が効いた結果、これが青森運転所の583系を使用することになり、すべてが特急用車両(185系と583系)となりました。運転時刻の微修正、毎日運転の1、2号(青森の583系9連)、週末運転の3、4号(田町区185系7連)となり、週末運転分が品川駅発着に変更。

 

シュプール信越号

運転時刻の微調整、初年度は東京発着のみでしたが、2年目は下記のようなダイヤに変更

1号 新宿→妙高高原、2号 妙高高原→上野 ※1、2号は週末運転

3号 東京→妙高高原、4号、妙高高原→新宿 ※3、4号は毎日運転

使用車両は1〜4号ともに長野区の489系、または189系9連。

 

 

シュプール白馬号

運転時刻の若干の調整がありましたが、運転区間は踏襲。使用車両は1・4号幕張電車区の1183系9連、3・2号同区の183系6連(モノクラス)、9連(グリーン車)でした。

 

 

シュプール蔵王号

運転区間は前年踏襲、運転時刻の微調整の他、停車駅に「上丿山」が追加。ちなみに青森運転所の583系9連を使用しました。

 

新宿〜赤羽間のシュプール号ですが、赤羽線(現在の埼京線)経由線ではなく、田端操車場経由の山手貨物線経由でした。

 

 

  名古屋、大阪からのシュプール号が誕生

 

このシーズンから、3つの新たなシュプール号が誕生しました。

 

名古屋(中京圏)からのシュプールが2種類

 

シュプールユーロ赤倉号

「ユーロ」の名前は、当時活躍していたジョイフルトレイン「ユーロライナー」に由来する名称。ちなみにユーロライナーの編成は両サイドにスロフ12で、中間車はオロ12が5両の、7両編成でした。

往路は名古屋発、千種、春日井に停車後客扱いなしで長野まで。その後黒姫に停車、終点妙高高原に到着。復路も同様のコースで名古屋に向かうダイヤです。首都圏と異なり運転日は週末のみ運転でした。

 

 

シュプールつがいけ号

こちらは「栂池(つがいけ)」と呼ばれる大糸線沿線エリアのスキー場へのアクセスとして設定されました。シュプール白馬と同じ目的地へ設定されました。ダイヤですが、名古屋周辺では、シュプールユーロ赤倉号よりもこまめに停車しています。

往路は名古屋をでた後、金山、千種、大曽根、春日井、高蔵寺と主要駅に停車後、信濃大町まで客扱いはなしで、その後スキー場最寄りの駅に停車後、信濃森上を終点としました。復路は同様のコースです。週末のみの運転でした。車両は、神領電車区の381系6連が使用されたようです。

 

 

関西圏からは1種類

 

シュプール妙高・志賀号

関西圏からも、ようやく1種類のシュプール号が運行されました。名前の通り、信越本線沿線のスキー場最寄り駅に向けて運行されました。運行は毎日1往復。頻度は名古屋発よりは多いですね。往路復路とも同様のコースで、起点は神戸。その後、三ノ宮、大阪、新大阪、高槻、京都とこまめに停車し、その後妙高高原まで客扱いの停車なし。黒姫停車、終点は長野となります。

一見、シュプールユーロ赤倉と同じコースを想像してしまいますが、こちらは湖西線・北陸本線を経由し、直江津から南下して妙高高原に入るコース。JR東海の縄張りを通らずに済むコースが選ばれたようですね。

使用車両について、向日町運転所の583系電車10連が使用されたようですが、寝台未使用で運行された点ですね。

 

次シーズン(1987年〜1988年)は、JR化後発のスキーシーズンとなります。既存列車のダイヤ見直しに加え、新たなシュプール列車が登場します。

 

今回は、以上です。

 

参考資料、国鉄監修 交通公社の時刻表、鉄道ダイヤ情報 1987年1月号(No.33)

参考サイト Rail・Artブログさまのサイトの情報 ※車両情報を中心に参考にさせていただきました。

 

本文内写真:ユーロライナー spaceaero2, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

カバー画像 Oleksandr PyrohovによるPixabayからの画像