シドニー・ホールの失踪 (字幕版)
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若くして人気ベストセラー作家となった青年の突然の失踪の背景や真相を3つの時系列で並行して描いた青春ドラマ映画です。主演はローガン・ラーマン、共演はエル・ファニング、カイル・チャンドラー、ミシェル・モナハン、ブレイク・ジェナー、ティム・ブレイク・ネルソン、マーガレット・クアリー、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ジャニナ・ガヴァンカー、ネイサン・レイン他。
典型的なダメ映画。
題材や構成などは悪くない。キャストも充実してる。
が、ストーリーがとことん安易で作為的。
感動させようという意図が前面に出過ぎていて、登場人物たちの言動が不自然で嘘っぽい。
「結論ありき」で強引にそこに持って行こうとしてるからなのは明らかで、もうちょっと脚本を練れば良かったのに、どうしてこのレベルで制作にGOサインが出たのか謎。
ハリウッドセレブたちの豪邸を荒らし回り、総額で3億円もの被害をもたらした地元の10代の少年少女たちの実話を映画化した、ソフィア・コッポラ監督によるドラマ映画です。出演はケイティ・チャン、イズラエル・ブルサード、エマ・ワトソン、クレア・ジュリアン、タイッサ・ファーミガ他。
描き方が「興味深い」。
この手の実際の事件を題材にした映画は、犯人たちの人物像を掘り下げ、犯行の動機や背景に迫る内容が多いと思うのですが、この映画ではそういった要素は皆無。
実質的な主人公と言える少年だけはまだまともな倫理観を持ち合わせている人物のように描く一方で、他の少女たちは、ほぼ「サイコパス」レベルのキャラクターとして、その異常性を表面的にしか描いていません。
この描き方を「物足りない」と感じる人もいるでしょうし、逆に中途半端な同情や共感など見せず、事件の顛末をドキュメンタリー映画のように淡々と描いているのがいいと思う人もいるでしょう。
このあたりは好みの問題でしょうし、少なくとも僕は嫌いじゃないです。そもそも中身の全くない薄っぺらい人物を、そのまま薄っぺらく描くのはむしろ「適切」だと思います。
憧れの大スター、エルヴィス・プレスリーに14歳で見初められ、後に結婚することになる少女プリシラの「現代版シンデレラ物語」の光と影を描いた、ソフィア・コッポラ監督による伝記音楽ドラマ映画です。主演はケイリー・スピーニー、共演はジェイコブ・エロルディ、ダグマーラ・ドミンスク、アリ・コーエン、ティム・ポスト他。
シンデレラ物語の「その後」を描いた映画。
恋に恋する10代の平凡な女の子が「王子様」に見初められて舞い上がり、夢のような恋に酔いしれるけれど、そんな「夢」はいつか覚めるという当たり前の話ではあるのですが、それを主人公の完全な一人称で丁寧に繊細に描いています。
10代の「子ども」と年長者の恋、特に年長者が「セレブ」の場合には、どうしても権力勾配が生じてしまい、モラハラなどの問題が起きがち。
10代の女の子たちに、啓発や注意喚起として、この映画を見せるといいんじゃないかなと思いながら観ていました。
ただ、これはプリシラの自伝を原作とし、彼女の一方的な視点で描いた話なので、当然偏りはあるでしょうし、エルヴィス側の関係者からしたら「違う!!」と言いたくなる部分もきっとあるはずだということは気を付けないといけないですけどね。
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FBIによる情報操作によって殺人事件に関与している可能性があると報道された男性とその記事を書いた記者の女性を描いた、シドニー・ポラック監督の社会派ドラマ映画です。主演はポール・ニューマン、サリー・フィールド、共演はボブ・バラバン、メリンダ・ディロン、ルーサー・アドラー、バリー・プリマス、ジョセフ・ソマー、ドン・フッド、ウィルフォード・ブリムリー他。
メッセージ性は間違いなくあり、「価値のある映画」だとは思います。
ただ、主人公の男女の関係にしろ、うまく行き過ぎの結末にしろ、娯楽性という意味では「アリ」だとは思うのですが、シラけちゃったのが正直なところ。
もっとハードに、もっとリアルに描いても充分に娯楽性は確保できたと思うのですが、作り手がとても安易な方向に逃げたようにしか見えなかったのです。
好みの題材なだけに、ちょっと残念。決して悪い出来ではないんですが、期待値が高過ぎたようです。
1959年のシドニーを舞台に、百貨店のドレス売り場で働く女性たちの人生を描いたドラマコメディ映画です。主演はジュリア・オーモンド、アンガーリー・ライス、共演はレイチェル・テイラー、アリソン・マクガー、ライアン・コア、ヴァンサン・ペレーズ、スージー・ポーター、シェーン・ジェイコブソン他。
ストーリーそのものは、いろいろなことがうまく行き過ぎているし、21世紀の映画にしては古臭く感じる部分もありますが、悪人が全く登場せず、温かな空気で満たされた世界はとても心地よいです。しかし、だからと言って、ノーテンキに終始するのではなく、生きていれば悲しみや苦しみを抱えるのは当たり前であることもきちんと描かれており、その上で「それでも生きていく」という前向きなところも![]()
また、当時のオーストラリアの労働者階級と、教養のあるヨーロッパからの移民の対比には、オーストラリア人のヨーロッパに対する憧れとやっかみという相反する感情がストレートに表れていて、そこに「オーストラリアの歴史」を垣間見られたのも![]()
後味も素晴らしく、全く期待しないで観始めたのですが、本当に拾い物でした。
お勧め (^^)v
M・ナイト・シャマラン監督の娘イシャナ・ナイト・シャマランの長編初監督作品で、森に迷い込んだ人間たちを毎晩監視する「ウォッチャーズ」を描いたサスペンスホラーです。主演はダコタ・ファニング、共演はオルウェン・フエレ、オリバー・フィネガン、ジョージナ・キャンベル他。
アイデアや雰囲気のある映像は悪くない。
でも、世界観の構築が雑過ぎて物語に入り込めず。
結末も呆気なさ過ぎて唖然としちゃったし。
M・ナイト・シャマランがプロデューサーを務め、自己資金で製作したそうだけれど、この出来で一般公開するなんて親バカが過ぎる。プロとして脚本と演出にもっと口を出すべきだったでしょう。あまりに稚拙な出来。
マッチングアプリを通じて出会ったセクシーな若い女性に心を奪われたために恐るべき事態に陥っていく中年男性を描いたエロティックサスペンスです。主演はブレンダン・ブラッドリー、共演はロザンナ・アークエット、ロン・パールマン、オリヴィア・グレイス・アップルゲイト、レイチェル・クック他。
タイトルの「サキュバス(原題:Succubus)」とは、性行為を通じて男性を誘惑するために女性の姿で夢の中に現れる超自然的存在であるとの民間伝承がベースのあるので、そのあたりの基本的な知識がないとちょっと分かりにくい映画かも。
中世にまで遡る民間伝承をエロティックなサスペンスホラーとして映像化するにあたり、21世紀らしく、多くの場面がPCやスマホの画面上で展開するのは、アイデアとしては悪くない。映像としてはところどころに面白い見せ方がありましたし。
が、物語としてはまとめ方が雑で消化不良。観終わった後の満足感がとても低いのです。もうちょっと脚本を練って欲しかったなぁ…。
良いところはそれなりにあるので残念。
ところで、主演のブレンダン・ブラッドリーは、こういうダークな作品よりも明るいコメディの方が向いてる顔だと思う。線が細そうな顔をしてるのに、脱いだらバッキバキに鍛えたマッチョで、そのギャップには笑っちゃいましたが、それもコメディなら活きるんじゃないかな。
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三島由紀夫さんの小説「金閣寺」を原作とし、国宝の寺に放火した青年僧の苦悩と葛藤を描いた、市川崑監督による犯罪ドラマ映画です。主演は市川雷蔵さん、共演は仲代達矢さん、中村鴈治郎さん、中村玉緒さん、新珠三千代さん、北林谷栄さん他。
原作は昔読んだきりで細かいところはすっかり忘れてしまっていますが、それでも「世界観」「空気感」はかなり原作のイメージ通りという印象。
中でも、本作が初の現代劇主演作となった市川雷蔵さんのハマりぶりが![]()
観る前は「金閣寺」は金色であることに意味があるので、敢えてモノクロで撮ったことに疑問を感じていたのですが、実際に観てみると、小説を読んでいる時と同様の「イメージとしての金閣寺」を再現するには、むしろモノクロの方が相応しいと思うようになりました。市川崑監督が相当にこだわっていた点だったようで、それは大いに納得。
ただ、そもそも原作自体、さほど思い入れがあるわけでもなければ、好きな話でもないので、この映画も特に好きにはなれなかったんですけどね (^^;;;
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架空の都市国家を舞台に、王位継承争いに巻き込まれた王子のために立ち上がった幼なじみの親友を描いたインドのアクション映画です。主演はプラバース、共演はプリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ、イーシュワリ・ラーオ、シュリヤー・レッディ、ボビー・シンハー他。
何じゃこりゃ?!
同じプラバース主演の大ヒットシリーズ「バーフバリ」('15, '17)」を現代劇でやろうしたのかもしれませんが、これなら「バーフバリ」の方が数万倍面白いです。
プラバースは漫画の登場人物みたいな容姿なので、普通の人間の役はできませんし、現代劇となると、こういう現実離れした世界観で現実離れした役にするしかないのは理解できるので、それ自体は悪くないのです。
でも、これはヒドい![]()
最初の1時間のテンポの遅さでまず![]()
ようやく物語が本格的に動き始めたと思ったら、結局は登場人物と背景の紹介に過ぎず、「本編」は続編。要は3時間も長大な予告映像を見せられただけ。
また、登場人物が無駄に多いので、主人公のキャラクターが充分に描けておらず、プラバース本人の魅力だけで押し切るテキトーさ![]()
続編を観ないことには評価はできませんが、今のところ続編をどうしても観たいと思えるほどの「引き」はこの長大な「予告編」には全くなく、本当にプラバースの「容姿の魅力」以外に何も観るべきところがありませんでした。
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内戦が勃発した近未来の米国を舞台に、首都ワシントンに向かうジャーナリスト陣の視点から米国の混乱を描いた戦争アクションです。主演はキルステン・ダンスト、共演はワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ソノヤ・ミズノ、ニック・オファーマン他。
批評的にも興行的にも成功した作品なので、ちょっと期待して観てみました。
現実に米国で起きている社会の分断を想起させる題材でありながら、「保守vsリベラル」の分断を内戦の原因とせず、また実際には連合するなどあり得ない州同士を連合させるなど、意図的に「現実離れ」した設定にすることで、政治的に中立のように見せるアイデアは悪くない。
あくまで「今の米国で内戦が起きたら」という、言ってみれば「世にも奇妙な物語」のような不条理劇として舞台を設定し、その上で内戦の悲劇だけはリアルに描くアイデアもいい。
評価が高いのは納得。
ただ、2時間程度の尺に収めるには無理のある題材で、全体として表面的で薄味に感じてしまったのも事実。テレビミニシリーズにした方が良かったんじゃないかなという気もします。
また、その「表面的で薄味」なせいで、中途半端なブラックコメディに見えてしまった部分もあり、そこはシリアスに振るか、コメディに振るか、どちらかはっきりさせた方がいいと思います。