「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」('21)
型破りな刑事専門弁護士を描いた人気テレビドラマシリーズの劇場版で、15年前にある村で起きた毒物事件の再調査を始めたことで窮地に立たされる主人公たちを描いたドラマコメディ映画です。主演は松本潤さん、共演は香川照之さん、杉咲花さん、片桐仁さん、マギーさん、馬場園梓さん、馬場徹さん、映美くららさん、池田貴史さん、岸井ゆきのさん、西島秀俊さん、道枝駿佑さん、蒔田彩珠さん他。
→ Wikipedia「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」
テレビシリーズは未見。
それでも充分にストーリーは理解できるし、楽しめるように作られています。
また、自分の好きな「閉鎖的な田舎の村ほどクソなものはない」をストレートに描いてくれているので観終わった後には爽快感も。
ただ、やはり登場人物たちのキャラクター造形やコメディ要素のウザさがどうしても生理的に合わず…。
「リスペクト」('21)
ソウルの女王と呼ばれる伝説的女性歌手アレサ・フランクリンの半生を描いた音楽伝記映画です。主演はジェニファー・ハドソン、共演はフォレスト・ウィテカー、マーロン・ウェイアンズ、メアリー・J.ブライジ、オードラ・マクドナルド他。
伝記映画としてはアレサ・フランクリンの音楽史やアメリカの現代史における業績を充分に描き切れているとは言えませんが、まずはジェニファー・ハドソンの歌唱力を堪能するという点では![]()
また、黒人差別が根強く残っていた時代を背景に公民権運動を重要な要素として描いていますが、それよりもむしろ、人種に関係なく、妻や娘を抑圧する男たちが当たり前のように存在する中で我慢を強いられていた女性たちの解放を象徴的に描いた映画という印象を強く受けました。
それにしても、アレサの実父の極悪非道っぷりはもっと赤裸々に描いても良かったんじゃないかなという気も。公民権運動で有名な活動家で、当時は「立派な人物」と見なされていたわけですが、その正体はただのクズ男。既婚の牧師でありながら、愛人を作りまくって子供まで産ませた上、アレサたち姉妹の母親である妻に暴力までふるっていたなど、救いようがないクズ。当時はそれが珍しいことではなかったとは言え、映画の中で最終的に「愛すべき父親」のように描いちゃっているのには、少なくとも今の時代の映画としては違和感が否めませんでした。この描き方はアレサが赦していたからなんでしょうけどね。
「ヴァンゲリス、そしてイタキへの旅」('20)
2022年5月に79歳で亡くなったギリシャ出身の音楽家ヴァンゲリスの創作の源を探求するドキュメンタリーです。出演はヒュー・ハドソン、リドリー・スコット、ロマン・ポランスキー、オリヴァー・ストーン、ジョン・アンダーソン他。
ヴァンゲリスの音楽を昔からとてもとても愛していますが、実はヴァンゲリス本人についてはほとんど知りませんでした。知っていたのは、ギリシャ出身であることとメディアへの露出がさほど多くないことくらい。そのせいで「いかにも天才芸術家らしい偏屈な世捨て人」のようなイメージを抱いていました。
ところが実際には、そんな勝手なイメージとは異なる人物でした。
基本的には典型的な「陽気で親しみやすいギリシャ人」。そして無類の女性好き。
その一方で、セレブとして扱われることが苦手で、社交の場に出るのは好きではなく、たまにメディアに出るのは「生存証明」であり、それも仕事として必要なことだと理解しているから。また、信頼していた仲間に裏切られた経験を何度か経て、真に心を開くまでには時間がかかる、少々疑り深い人物でもある。
そして、映画音楽の作曲家として広く知られているが、特定のジャンルにとらわれない革新的な音楽家であるとともに画家でもあり、また「孤独」を理解して受け入れている、ある意味で哲学家でもある。
とにかく、芸術家としての純粋さを大事にしつつも、人との関係も大事にしている、いい意味で「大人」な人物であり、子供と大人の両面をバランスよく兼ね備えている人物と感じました。
「シン・オブ・アメリカ」('21)
ジョージア州の田舎町で発生した、武装した男女に老薬剤師が人質に取られた事件の裏に、陰謀が潜んでいることに気付いた町の保安官を描いたクライムアクションです。主演はブルース・ウィリス、共演はロブ・ゴフ、アナ・ハインドマン、トレヴァー・グレツキー、カレン・G・チェンバーズ、ティモシー・V・マーフィ、ヨハン・アーブ他。
アイデアは悪くない。
でも、それを「物語」として組み上げることに失敗してる。「何故そうなる?」と突っ込みたくなる無理な展開ばかりで、この脚本でよく制作にGOサインが出たなと。
それにしても、いつもながらブルース・ウィリスが出演する意味が全くなく、主演のはずなのに出番も見せ場も極端に少なく、最後の最後においしいところを持っていくことで主演らしさを見せているだけ。
ある意味で新鮮でしたけど (^^)
「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」('22)
「ハリー・ポッター」シリーズと同じ魔法界を舞台に、世界を旅する魔法動物学者ニュート・スキャマンダーの冒険を描いた「ファンタスティック・ビースト」シリーズの第3弾となるファンタジー映画です。主演はエディ・レッドメイン、共演はジュード・ロウ、エズラ・ミラー、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、カラム・ターナー、ジェシカ・ウィリアムズ、キャサリン・ウォーターストン、マッツ・ミケルセン他。
→ Wikipedia「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」
前作は、本作への「つなぎ」としては充分に面白かったのですが、このシリーズをジェイコブとクイニーのラブストーリーと思って観ている自分にとっては、ジェイコブがほとんど活躍しなかった上にクイニーとの関係にも不穏な空気が流れるだけだったのが不満でした。
それに比べると本作はジェイコブがかなり活躍するし、クイニーとのラブストーリーとしても大満足 (^^)v
シリーズ自体はまだ続くようですが、まずは一段落という感じ (^o^)
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「バニシング:未解決事件」('21)
ソウル警察の刑事と、訪韓中のフランス人法医学者が、不可解な変死事件の裏に隠された臓器密売ネットワークの存在を突き止める姿を描いた韓仏合作のクライムサスペンスです。主演はオルガ・キュリレンコ、ユ・ヨンソク、共演はイェ・ジウォン、チェ・ムソン、イ・スンジュン、パク・スヨン他。
映画全体の落ち着いた雰囲気や映像のタッチは悪くなかったのですが、脚本の細かいところが雑。短い尺で観やすくはあるのですが、もうちょっと「ちゃんと」描いて欲しかったなぁ…。もったいない。
脇役好きとしては、犯罪グループの「運搬係」役のチェ・ムソンさんや主人公の刑事の相棒役のソン・ジルさんが印象的でした (^^)
「ゲス・フー/招かれざる恋人」('05)
アフリカ系米国人家族の娘が白人青年と交際したことから始まる騒動を描いたホームコメディで、名作映画「招かれざる客」('67) を白人と黒人の立場を交代させてリメイクした作品です。主演はバーニー・マック、共演はアシュトン・カッチャー、ゾーイ・サルダナ、ジュディス・スコット、ハル・ウィリアムズ、ケリー・スチュワート他。
「招かれざる客」のリメイクと考えず、完全な別物と思って観れば、まだ多少は耐えられるかも…。それでも酷い出来であることに変わりはないですが…。
「招かれざる客」では、無邪気を通り越して「アホ」にしか見えない幼稚な白人女性と、文句のつけようがない「完璧」な大人である黒人男性の2人の相性がどう見ても良いとは思えませんでしたが、その男性の方を本作では「完璧」とまでは言えない人物として描こうとした意図はわからないではないです。
が、「高学歴で優秀なエリートサラリーマン」という設定のはずなのに、どこをとっても間抜けなアホにしか見えず、こんな男なら、どんな父親でも、人種の違い云々ではなく、娘の結婚相手として認めたくないはず。
「招かれざる客」のパロディと割り切るにしても、もうちょっと何とかならなかったのかなぁ…。残念…。
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「フィガロに恋して」('20)
金融会社で働くキャリアウーマンがオペラ歌手になろうと決心し、プロへの登竜門となるコンテストで優勝を目指す姿を描いたロマンティック音楽コメディです。主演はダニエル・マクドナルド、共演はヒュー・スキナー、ジョアンナ・ラムレイ、ゲイリー・ルイス、シャザド・ラティフ他。
仕事人間が一念発起して、それまでとは真逆の新しい世界に飛び込むというのは物語の題材としては定番。ストーリー自体も概ね予想通りに展開し、結末も見え見え。うまく行き過ぎでちょっとシラけちゃう部分も。
が、細かいところではいろいろと新鮮な点も。
例えば、優秀なキャリアウーマンで魅力的な女性という設定の主人公を、ありがちなモデル体型の美人女優ではなく、ぽっちゃり体型のダニエル・マクドナルドが演じていること。彼女は確かにぽっちゃり体型ではありますが、顔立ちは美しく、セクシーで魅力的な女性という設定に全く違和感がないのが![]()
また、そんな彼女の恋人をパキスタン系のシャザド・ラティフが演じており、しかも主人公の挑戦を、完全に理解しているわけではないものの、応援する気持ちを充分に持っている大らかな好人物として描いているのがいい。
さらにストーリーでは、主人公の成長よりも、オペラ歌手としての技能は充分に備えているが表現者としての魅力に欠ける兄弟子の成長の方をむしろ中心に描いているのも悪くない。
キャストも地味ですし、設定やあらすじを読んでもさほど面白そうには思えず、日本で劇場公開されなかったのは仕方ないと思いますが、悪くない出来で、ちょっとした拾い物でした (^^)v
「1640日の家族」('21)
2人の実子とともに実の息子のように愛情深く育ててきた里子を実父が引き取りたいと言い出したことから別離の決断を迫られることになった里親夫婦の姿を通して里親制度のあり方を問うた人間ドラマです。主演はメラニー・ティエリー、リエ・サレム、共演はフェリックス・モアティ、ガブリエル・パヴィ、イドリス・ロランタン=ケリフィ他。
泣いた (ToT)
監督の両親が生後18ヶ月の子供を里子として引き取って6歳まで育てた実話をもとにしているそうで、とても説得力のある話。「里親であること」が如何に難しいかがよくわかります。
フランスでは「里親」は国家資格であり、誰でもなれるものではないそうで、養子ではなく、あくまで実の親から預かって育てるだけで、いずれは実の親に返さなくてはいけない子供にどう接すべきか、正解はないのだと思いますが、本当に難しい…。愛情深く育てるのは当然としても、そうすれば、この映画の主人公のように別れ難くなるのは当然。実のきょうだいのように育った実子にとっても辛いこと。
それにしても、里子の少年を演じたガブリエル・パヴィの可愛いこと。まさに天使のような愛らしさ。子役ではなく、公園で遊んでいるところをスカウトされたそうですが、演技未経験とは思えない繊細な演技にビックリ。こんな可愛らしい子供に懐かれたら離れ難くなるのは当然でしょう (ToT)
「オートクチュール」('21)
世界屈指の高級ファッションブランド「ディオール」のアトリエを舞台に、対照的な2人の女性の交流を描いた人間ドラマです。主演はナタリー・バイ、リナ・クードリ、共演はクロチルド・クロ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン他。
ファッションというとどうしてもデザイナーやモデルにばかり目が行きがちですが、デザイナーの意図を汲んでデザインを具現化するのはお針子の仕事。お針子が優秀でなければ、どんなに素晴らしいデザインも死んでしまう。そんなお針子の仕事を描いていて興味深く観ることができました。
ただ、お針子の仕事以外のドラマ部分がどうしても最後まで馴染めず…。
移民差別や格差の問題などを背景に「母と娘の物語」を描いていて、作り手の意図やこだわりも理解はできるのです。が、僕の趣味というか、ツボから微妙にずれていて、その違和感が最後まで拭えず、物語に全く入り込めなかったのです。
これは映画の出来の問題ではなく、単純に好みの問題です。
