Marc のぷーたろー日記 -105ページ目

「ハウス・オブ・グッチ」('21)

 

世界的高級ブランドの創業者ファミリーであるグッチ家の崩壊を描いた、リドリー・スコット監督によるサスペンス映画です。主演はレディー・ガガ、共演はアダム・ドライヴァー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、ジャック・ヒューストン、サルマ・ハエック他。

 

Wikipedia「ハウス・オブ・グッチ」

 

冒頭で、あくまで実話から着想を得たフィクションであることを明言はしていますが、登場人物は実名だし、この映画が実話通りだと思っちゃう人は多そう。

 

それはともかく、この題材なら主人公であるパトリツィアを徹底的に悪女に描くか、逆にそういう生き方をするしかなかった愚かで哀れな女性として描くか、どちらかにした方が物語としては面白くなったと思うのですが、敢えてそうせず、映画全体をブラックコメディとして描こうとした作り手の意図はわかります。確かに一般庶民の感覚からしたら、常軌を逸した人々が自らの愚かしさのために一族全体を自ら滅ぼしちゃったなんて、「バカじゃね?」としか思えませんし、そのようなグッチ家を蔑みたくなる感覚を前面に出したかったのでしょう。

 

でも、そのために主人公が中途半端なキャラクターになってしまい、ダラダラと長い尺と合わせて、ただただ退屈な話に。アル・パチーノとジャレッド・レトの大げさなコメディ演技も笑えない上に浮いてるし。

 

題材も役者もいいけれど、料理の仕方を失敗しちゃったという感じ。

「テッド K ユナボマー 狂気の目覚め」('21)

 

1970年代から1990年代にかけて全米を震撼させた連続爆弾魔「ユナボマー」の素顔を再現した実録犯罪サスペンスです。主演はシャールト・コプリー、共演はドリュー・パウエル、ボブ・ジェニングス他。

 

Wikipedia「セオドア・カジンスキー」

 

「ユナボマー」の事件は当然ながらよく知っていますが、その正体である「セオドア・カジンスキー」という人物については興味がなかったこともあって全く知りませんでした。なので、この映画で初めて知ることも多く、その点では観て良かったとは思っています。

 

ただ、純粋に1本の映画として観ると、不快なだけで視聴はかなりしんどい…。

 

一貫して主人公の一人称で描かれる物語はドキュメンタリータッチで過剰な演出を加えないのは好感が持てますが、文字通りの「狂人」の姿を延々と見せられ続けるのはかなり苦痛。

 

もちろん「知能は恐ろしく高いが、精神年齢5歳の中学生男子」でしかない主人公の姿には憐れみも感じなくはないです。成長過程において、親を含めてろくな大人が周りにいなかったんだなぁと。

 

とにかく、映画としての価値は間違いなくありますが、二度と観たいとは思いませんでした。

 

「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」('19)

 

実話をもとに、環境汚染の実態を隠蔽していた世界的巨大化学企業デュポンに闘いを挑むことになった企業弁護士を描いたサスペンス映画です。主演はマーク・ラファロ、共演はアン・ハサウェイ、ティム・ロビンス、ビル・キャンプ、ヴィクター・ガーバー他。

 

Wikipedia「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」

 

よく映画にできたなぁ…。

 

実話で既に世界中で広く知られている話とは言え、世界的大企業デュポンの極悪非道ぶりを実名で描いているんですから。

 

それにしても、報道で充分に知っている話だったとは言え、こうやって当事者の目線で見ると、本当に恐ろしい話。

 

この件は、担当弁護士にやる気があり、しかもその上司をはじめとする周囲が協力的だったおかげで、明るみに出ることとなり、「正義」を実現できたわけで、そのあたりはアメリカの司法が比較的健全であることを示していると言えます。しかし実際には、他にも同様の問題はいくらでも起きており、そのほとんどが公にならないままうやむやになっていることもまた事実。その恐ろしさを、こんな誰の目にも明らかな不正ですら告発するのが難しい現実を示すことで描いた作品なのです。

 

ハリウッド映画にありがちな過剰な演出は控えめで、主人公である弁護士を邦題にあるようなスーパーヒーローではなく、弱さのある普通の生身の人間として描いているのも現実味があって好感が持てますし、現代社会に生きる人間として一度は観るべき映画でしょう。

「コーダ あいのうた」('21)

 

歌の才能を見いだされた少女と彼女の耳の不自由な家族を描いたフランスのドラマコメディ映画「エール!」('14) のハリウッドリメイクで、第94回アカデミー賞で作品賞など3部門を受賞したドラマ映画です。主演はエミリア・ジョーンズ、共演はトロイ・コッツァー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラント、エウヘニオ・デルベス、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ他。

 

Wikipedia「コーダ あいのうた」

 

よくできてる。

 

主人公が「コーダ(ろう者の子)」であることを除けば、ストーリーそのものは比較的オーソドックスな「巣立ちを描いた青春映画」。

 

元になったフランス映画「エール!」もいい映画ではあるものの、いろいろと描き方が雑だったり、不快に感じたりするところがあったのですが、それをうまく修正していて、違和感なく感動させてくれてグッド!

 

特に、単なるコメディリリーフだった弟を兄に変更し、物語での比重を大きくしたのが大いに活きていて、かなり感情を揺さぶられました。

 

はっきり言ってしまえば、「エール!」よりもこのリメイクの方が気に入っています。

 

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「ヴォイジャー」('21)

 

人類が移住可能な惑星へ向けて86年の旅に出発した30人の子どもたちが10年後に青年期に入り、薬で感情を抑えられていたことを知ったことから宇宙船内の統制が崩壊していくさまを描いたSFサスペンスです。主演はタイ・シェリダン、共演はリリー=ローズ・デップ、フィオン・ホワイトヘッド、コリン・ファレル、シャンテ・アダムズ、アイザック・ヘンプステッド・ライト、ヴィヴェイク・カルラ他。

 

Wikipedia「ヴォイジャー (映画)」

 

娯楽映画としてはこういう展開と結末になるのは仕方ないのかなとは思いつつも、前半は「人類のために犠牲になっている子供たち」の痛々しさが物語の中心だったはずなのに、終盤はその要素がどうでも良くなって、よくある「勧善懲悪のSFアクション映画」になっちゃったのはダウン

 

キャストも充実しているし、映像も悪くなかっただけに、せっかくの題材を全く活かしきれていない安易な脚本は本当に残念でなりません。

 

「ツインズ」('88)

 

アーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートが双子の兄弟を演じたコメディ映画です。共演はケリー・プレストン、クロエ・ウェッブ、ボニー・バートレット、マーシャル・ベル、トレイ・ウィルソン他。

 

Wikipedia「ツインズ (映画)」

 

大昔にテレビで放映された際に観た記憶はあったのですが、綺麗さっぱり内容を忘れていたので、久しぶりに観てみたところ、何1つ覚えていないことを確認。

 

ということで、ほぼ初見 (^^)

 

それはともかく、清々しいまでにテキトーな映画 (^^;;;

 

「アーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートが双子の兄弟を演じる」という設定の奇抜さだけで最初から最後まで押し通していて、それ以外に本当に何もない…。

 

それでも製作にゴーサインが出て、しかもヒットしたってのは本当に不思議な話。

 

子供と一緒に安心して観られるファミリー映画というわけでもなく、かといって大人の鑑賞に耐えられるものでもなく、一体どの層に向けた映画なのかもわからないし。

 

今の時代の感覚からすると本当に謎だらけの映画でした。

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」('43)

 

ジェームズ・M・ケインの同名小説を独自に翻案・映画化したルキノ・ヴィスコンティ監督のデビュー作です。主演はマッシモ・ジロッティ、クララ・カラマーイ、共演はフアン・デ・ランダ、エリオ・マルクッツオ、ディーア・クリスティアーニ他。

 

Wikipedia「郵便配達は二度ベルを鳴らす (1943年の映画)」

 

第2次世界大戦中のファシズム政権下で、公開直後に反ファシズム的として上映禁止処分となっただけでなく、原作者の許諾を得ずに映画化したためにアメリカや日本での正式な劇場公開は1970年代後半まで持ち越されることになったとの曰く付きだが、ネオレアリズモの先駆的傑作として高く評価されている本作。ヴィスコンティ監督の作品は好きでかなり観ている方ですが、この作品だけはこれまで機会がなくて観ることができませんでした。

 

そんなわけで期待値を高くしすぎたせいか、観終わった時には「う〜む…」という気分に。

 

印象的なシーンは確かにありました。

 

特に、ただの浮浪者に見えた主人公の顔が初めてはっきりと画面に映るシーンで、マッシモ・ジロッティがとてつもなくハンサムに見えるような写し方をして、ヒロインの一目惚れに説得力を与えていたのはグッド!

 

そんな「いい男」が物語が進むにつれて、ひたすら「ヘタレ」になっていく一方となることを一段と際立たせる意図があったのでしょう。

 

が、この主人公のキャラクター造形からすると、マッシモ・ジロッティでは成熟した大人の男に見えてしまって説得力に欠けるのです。

 

実際には撮影当時の彼はまだ20代前半で、ヒロインを演じたクララ・カラマーイよりも実年齢で9歳も若く、役の上でも同じようにヒロインの方が年上という設定であれば、主人公の終盤のヘタレぶりにも説得力があったのですが、むしろヒロインよりも年上に見えるので、どうもしっくりこないのです。「ありえない」とまでは思いませんけどね…。

 

そんな違和感がどうしても拭えず、最後まで物語に入り込めませんでした…。

 

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「ベルファスト」('21)

 

1969年の北アイルランドを舞台に、9歳の少年の視点から時代の混乱の中でも変わらない家族愛を描いた、ケネス・ブラナー監督の自伝的ドラマ映画です。主演はジュード・ヒル、共演はカトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ、コリン・モーガン他。

 

Wikipedia「ベルファスト (映画)」

 

切ない話だったなぁ…。

 

今も世界のあちこちで、規模の大小はあれど、紛争は起きており、そのために慣れ親しんだ生まれ故郷を離れざるを得なくなっている人々がいくらでもいるのですから。

 

そして、両親を美男・美女の役者に演じさせ、祖父母を魅力的なキャラクターとして描いているところに、ケネス・ブラナーの「想い」が強く表れていて印象的でした。

「キャッチ&リリース」('21)

 

ノルウェー北部の小さな村を舞台に、元医師の殺害をきっかけに起きる不可解な事件に挑むことになった新人警官の女性を描いたサスペンスドラマ全8話です。主演はマチルデ・ソフィエ・ヘンリクセン、共演はイェスパー・マルム、アニッタ・スイッカリ、エスペン・マウノ、クリスティーネ・ハットゲン、アギー・フロスト他。

 

う〜ん…。

 

新人の女性警官を主人公にした普通のサスペンスドラマと思って観ると、かなりがっかりしちゃうでしょう。

 

ミステリとしても真犯人に意外性はなく、謎解きの面白さは皆無。また、視聴者には最初から「巨悪」の存在も少女売春の問題も見え見えなので、なかなかそこに辿り着けない警察の姿は間抜けにしか見えません。よく言えば描写が丁寧なんでしょうが、とにかくテンポが悪く、展開が遅すぎるのです。さまざまな登場人物が事件の真相に迫ろうとしていますが、それらがほとんど全く絡み合わないのも観ていてイライラしますし。

 

警察側にシャーロック・ホームズ級の天才がいないのは当然としても、あまりに無能すぎるし、そもそも主人公の女性警官が大して有能でもないのに妙に自信満々な態度なのも観ていて共感しづらく、これもまたこのドラマをつまらなくさせている原因の1つ。

 

「スーパーマンなど存在しない、普通の人々が織りなす物語」と好意的に解釈すれば確かに現実味のあるストーリーとも言えますが、それでも、真犯人を追い詰めながら、最後の最後で目の前で見逃し、それを敢えて追いかけない主人公たちの「警察官としてはありえない」現実離れした行動など、この物語の脚本家は一体どういう考えでこんな結末にしたのか本当に謎。

 

時間の無駄でした。

「ポゼッサー」('20)

 

他人の脳と体に入り込み、遠隔操作で計画殺人を実行する暗殺者を描いたサスペンス映画です。主演はアンドレア・ライズボロー、共演はクリストファー・アボット、ロッシフ・サザーランド、ショーン・ビーン、ジェニファー・ジェイソン・リー他。

 

Wikipedia「ポゼッサー」

 

設定やあらすじの印象では「近未来SFアクションスリラー」っぽいですが、実際にはかなり観念的な内容。単純明快な娯楽映画を期待して観ると失敗しちゃうかな。

 

1人の身体に宿る2人の人格というのは比較的好みの題材だし、映像も凝っていて、それなりに楽しんで観ていたのですが、一般的に期待される結末とは真逆の結末にちょっと「納得がいかない」気分に。もちろん、敢えてそういう結末にしていることは理解できますし、こういう救いのない結末も「あり」だとは思うのですが、「後味が悪い」を通り越して「不快」なレベルまで行っているので、これは(映画評論家は別として)相当に好みが分かれるんじゃないかと思います。