Marc のぷーたろー日記 -107ページ目

「フィガロに恋して」('20)

 

金融会社で働くキャリアウーマンがオペラ歌手になろうと決心し、プロへの登竜門となるコンテストで優勝を目指す姿を描いたロマンティック音楽コメディです。主演はダニエル・マクドナルド、共演はヒュー・スキナー、ジョアンナ・ラムレイ、ゲイリー・ルイス、シャザド・ラティフ他。

 

仕事人間が一念発起して、それまでとは真逆の新しい世界に飛び込むというのは物語の題材としては定番。ストーリー自体も概ね予想通りに展開し、結末も見え見え。うまく行き過ぎでちょっとシラけちゃう部分も。

 

が、細かいところではいろいろと新鮮な点も。

 

例えば、優秀なキャリアウーマンで魅力的な女性という設定の主人公を、ありがちなモデル体型の美人女優ではなく、ぽっちゃり体型のダニエル・マクドナルドが演じていること。彼女は確かにぽっちゃり体型ではありますが、顔立ちは美しく、セクシーで魅力的な女性という設定に全く違和感がないのがグッド!

 

また、そんな彼女の恋人をパキスタン系のシャザド・ラティフが演じており、しかも主人公の挑戦を、完全に理解しているわけではないものの、応援する気持ちを充分に持っている大らかな好人物として描いているのがいい。

 

さらにストーリーでは、主人公の成長よりも、オペラ歌手としての技能は充分に備えているが表現者としての魅力に欠ける兄弟子の成長の方をむしろ中心に描いているのも悪くない。

 

キャストも地味ですし、設定やあらすじを読んでもさほど面白そうには思えず、日本で劇場公開されなかったのは仕方ないと思いますが、悪くない出来で、ちょっとした拾い物でした (^^)v

「1640日の家族」('21)

 

2人の実子とともに実の息子のように愛情深く育ててきた里子を実父が引き取りたいと言い出したことから別離の決断を迫られることになった里親夫婦の姿を通して里親制度のあり方を問うた人間ドラマです。主演はメラニー・ティエリー、リエ・サレム、共演はフェリックス・モアティ、ガブリエル・パヴィ、イドリス・ロランタン=ケリフィ他。

 

泣いた (ToT)

 

監督の両親が生後18ヶ月の子供を里子として引き取って6歳まで育てた実話をもとにしているそうで、とても説得力のある話。「里親であること」が如何に難しいかがよくわかります。

 

フランスでは「里親」は国家資格であり、誰でもなれるものではないそうで、養子ではなく、あくまで実の親から預かって育てるだけで、いずれは実の親に返さなくてはいけない子供にどう接すべきか、正解はないのだと思いますが、本当に難しい…。愛情深く育てるのは当然としても、そうすれば、この映画の主人公のように別れ難くなるのは当然。実のきょうだいのように育った実子にとっても辛いこと。

 

それにしても、里子の少年を演じたガブリエル・パヴィの可愛いこと。まさに天使のような愛らしさ。子役ではなく、公園で遊んでいるところをスカウトされたそうですが、演技未経験とは思えない繊細な演技にビックリ。こんな可愛らしい子供に懐かれたら離れ難くなるのは当然でしょう (ToT)

「オートクチュール」('21)

 

世界屈指の高級ファッションブランド「ディオール」のアトリエを舞台に、対照的な2人の女性の交流を描いた人間ドラマです。主演はナタリー・バイ、リナ・クードリ、共演はクロチルド・クロ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン他。

 

Wikipedia「オートクチュール (映画)」

 

ファッションというとどうしてもデザイナーやモデルにばかり目が行きがちですが、デザイナーの意図を汲んでデザインを具現化するのはお針子の仕事。お針子が優秀でなければ、どんなに素晴らしいデザインも死んでしまう。そんなお針子の仕事を描いていて興味深く観ることができました。

 

ただ、お針子の仕事以外のドラマ部分がどうしても最後まで馴染めず…。

 

移民差別や格差の問題などを背景に「母と娘の物語」を描いていて、作り手の意図やこだわりも理解はできるのです。が、僕の趣味というか、ツボから微妙にずれていて、その違和感が最後まで拭えず、物語に全く入り込めなかったのです。

 

これは映画の出来の問題ではなく、単純に好みの問題です。

「地下室のヘンな穴」('22)

 

地下室の穴を通ると12時間進んで3日若返るという不思議な新居を購入した中年夫婦が繰り広げる珍騒動を描いたフランスのコメディ映画です。主演はアラン・シャバ、レア・ドリュッケール、共演はブノワ・マジメル、アナイス・ドゥムースティエ他。

 

74分という短い尺で気楽に観られるのは良かったのですが、この題材なら20分程度の短編の方が良かったと思います。

 

「ヘンな穴」だけでは長編映画にできなかったからなのでしょうが、主人公の勤める会社の社長のネタは、「ヘンな穴」を補完するネタとして作り手の意図はわかるのですが、充分に噛み合っているように見えず、本当にただの「水増し」用のネタにしか見えないのです。また、そのネタでの「日本はテクノロジーが進んでいるけれど英語は苦手」という「よくある日本人のイメージ」を誇張しているのも不快ですし。

 

「どんな便利な道具でも使い方を間違えればロクなことにはならない」という「ドラえもん」のようなオチは悪くないだけに、無駄に長編映画にしてしまったのが残念でなりません。

「天才ヴァイオリニストと消えた旋律」('19)

 

35年前に晴れの舞台を前にして突如姿をくらました若き天才ヴァイオリニストの消息を描いたミステリードラマ映画です。主演はティム・ロス、共演はクライヴ・オーウェン、ルーク・ドイル、ミシャ・ハンドリー、キャサリン・マコーマック他。

 

Wikipedia「天才ヴァイオリニストと消えた旋律」

 

原題「The Song of Names」の意味の重さとヴァイオリンの切ない響きがクライマックスの演奏シーンを大いに盛り上げ、観る者の感情を激しく揺さぶってきました。作り手はこのシーンを見せたくてこの映画を作ったことはよくわかります。

 

それだけに、ストーリー全体の詰めの甘さが残念。

 

これだけ深刻な題材を扱うのであれば、もっと丁寧にじっくり練り上げるべきだったはず。見せたいシーンのためだけにそこに至るまでのストーリーを「適当に」とまでは言わないまでも「安易に」作ったようにしか見えないのです。

 

題材がいいだけに本当に残念でなりません。

「ボブという名の猫2 幸せのギフト」('20)

 

ロンドンでミュージシャンになる夢に破れてホームレスとなった青年が1匹の野良猫との出会いをきっかけに再生していく姿を描いたノンフィクションを映画化した「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」('16) の続編です。主演はルーク・トレッダウェイ、共演はクリスティーナ・トンテリ=ヤング、ファルダット・シャーマ、アンナ・ウィルソン=ジョーンズ他。

 

元々「童話」のような話ではありますが、それでも前作が薬物依存や貧困の問題などを真正面から描いた比較的シリアスな内容だったのに対し、本作は本当に「童話」のような話で一貫していて、絵に描いたような「クリスマス映画」に。

 

この「あざとさ」にシラけてしまう人も少なくないでしょうが、「クリスマス映画とはかくあるべき」という教科書のような話で、家族でクリスマスに観るにはぴったりな映画だと思います。

 

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「WITHOUT SIN 罪なき者」('22)

 

3年前に14歳の娘を殺された母親が、服役中の犯人との面会で真犯人が別に存在することを知らされたことで事件の真相に迫ることになる姿を描いたサスペンスドラマです。主演はヴィッキー・マクルア、ジョニー・ハリス、共演はドロシー・アトキンソン、ペリー・フィッツパトリック他。

 

ジョニー・ハリスのドラマ。

 

彼の個性や魅力を存分に活かし切った役柄でグッド!

 

狂気を帯びた厳つい強面の容姿でありながら、常に悲しみをたたえた、泣いているようにも見える瞳。「ワケアリの服役囚」がこれほどハマる人はいないでしょう。

 

ストーリーに対しては、街を牛耳る一家の恐ろしさの表現がイマイチで、主人公が真相に迫るにあたって何の妨害も受けないところが気になって仕方ありませんでしたが、結末には満足。明らかになった真相は、主人公にとってはともかく、服役囚にとっては絶望的なものではありますが、逆にとことんドン底に落とされたことで新たな一歩を前向きに踏み出すきっかけになったとも言えますから。

「グロリア 永遠の青春」('18)

 

離婚や子育てを経て、自由気ままな独身生活を謳歌するアラフィフ女性を描いた人間ドラマです。主演はジュリアン・ムーア、共演はジョン・タトゥーロ、マイケル・セラ、カレン・ピストリアス、ブラッド・ギャレット他。セバスティアン・レリオ監督によるチリ映画「グロリアの青春」('13) をレリオ監督自らハリウッドリメイクした作品です。

 

Wikipedia「グロリア 永遠の青春」

 

ジュリアン・ムーアはいつもながら説得力ある演技を見せているし、ジョン・タトゥーロのイケオジ(だけどいろいろダメな男)もピッタリ。

 

でも、主人公を含め、登場人物の誰も好きになれなかった…。

 

現実味はあるし、リアルな話ではあるのだけれど、逆にリアル故に「うわっ…」となることが多くて、観ていて苦痛の方が多かったのです。出来が悪いのではなく、むしろ良く出来ている映画だとは思うのですが、単に自分の生理に合わなかっただけです。たぶん二度と観ることはないと思います。

 

それにしても、子役出身で最近は人のいい中年男性を多く演じているショーン・アスティンが、普通ならイケメンの中年俳優が演じるような役でカメオっぽく出演していたのはちょっと意外で印象的でした。

 

「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」('20)

 

1990年代の実話をもとに、隠遁生活を送っていた作家J・D・サリンジャーと彼のファンを結ぶ窓口係となった作家志望の女性を描いた青春奮闘記です。主演はマーガレット・クアリー、共演はシガニー・ウィーヴァー、ダグラス・ブース、ショーナ・カースレイク、ティム・ポスト他。

 

Wikipedia「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」

 

1人の若い女性の成長を描いた青春映画としてよく出来ているし、サリンジャーをはじめとする作家に対する敬意も感じられる、とても良質な映画。作家を目指している人はもちろん、サリンジャーのファンでなくても、文学好きなら心を打たれるものがあると思います。

 

でも、今の自分にはちょっとピンと来なかったな…。もっと若い頃ならぐっと来たのかもしれませんが…。

 

「捜査官カタリーナ・フス」('21)

 

スウェーデンの作家ヘレネ・トゥルステンによる人気小説を原案とし、警察幹部を母に持ち、優秀だが生意気な新人警官カタリーナ・フスが様々な事件を通して成長する姿を描いたスウェーデンの警察ドラマです。主演はカーリン・フランツ・ケーロフ、共演はカルド・ラザーディ、カイサ・エルンスト、アンデッシュ・ベルイ、フィリップ・ベルイ、ヴィクトル・ストール・セーゲルハーゲン他。

 

面白かった (^O^)

 

主人公の野心家すぎるキャラにちょっとひいちゃうところはありましたが、それでも主要な登場人物たちがそれぞれに個性的で魅力的なのがグッド!

 

また、通常の刑事ドラマではあまり描かれない制服警官や刑事の日常業務も描いていて、このあたりは「踊る大捜査線」を想起させますが、それをシリアスに描いた感じ。

 

基本的には1話完結で観やすいし、しかも描かれる事件が今のスウェーデンの現実の社会問題を背景にしていて現実味があるのがいい。

 

さらに、全編を通した「謎」として描かれている過去の暴動事件の真相が、現実離れした巨大な陰謀云々でないのもいい。

 

北欧サスペンスらしい残酷で容赦のないエンディングの一方で、主人公とその上司で恋人であるイランからの移民2世の刑事とのコンビが今後も大いに活躍してくれることが期待できる終わり方が心地よく、シーズン2があれば是非とも観たいです♪