「グロリア 永遠の青春」('18)
離婚や子育てを経て、自由気ままな独身生活を謳歌するアラフィフ女性を描いた人間ドラマです。主演はジュリアン・ムーア、共演はジョン・タトゥーロ、マイケル・セラ、カレン・ピストリアス、ブラッド・ギャレット他。セバスティアン・レリオ監督によるチリ映画「グロリアの青春」('13) をレリオ監督自らハリウッドリメイクした作品です。
ジュリアン・ムーアはいつもながら説得力ある演技を見せているし、ジョン・タトゥーロのイケオジ(だけどいろいろダメな男)もピッタリ。
でも、主人公を含め、登場人物の誰も好きになれなかった…。
現実味はあるし、リアルな話ではあるのだけれど、逆にリアル故に「うわっ…」となることが多くて、観ていて苦痛の方が多かったのです。出来が悪いのではなく、むしろ良く出来ている映画だとは思うのですが、単に自分の生理に合わなかっただけです。たぶん二度と観ることはないと思います。
それにしても、子役出身で最近は人のいい中年男性を多く演じているショーン・アスティンが、普通ならイケメンの中年俳優が演じるような役でカメオっぽく出演していたのはちょっと意外で印象的でした。
「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」('20)
1990年代の実話をもとに、隠遁生活を送っていた作家J・D・サリンジャーと彼のファンを結ぶ窓口係となった作家志望の女性を描いた青春奮闘記です。主演はマーガレット・クアリー、共演はシガニー・ウィーヴァー、ダグラス・ブース、ショーナ・カースレイク、ティム・ポスト他。
1人の若い女性の成長を描いた青春映画としてよく出来ているし、サリンジャーをはじめとする作家に対する敬意も感じられる、とても良質な映画。作家を目指している人はもちろん、サリンジャーのファンでなくても、文学好きなら心を打たれるものがあると思います。
でも、今の自分にはちょっとピンと来なかったな…。もっと若い頃ならぐっと来たのかもしれませんが…。
「捜査官カタリーナ・フス」('21)
スウェーデンの作家ヘレネ・トゥルステンによる人気小説を原案とし、警察幹部を母に持ち、優秀だが生意気な新人警官カタリーナ・フスが様々な事件を通して成長する姿を描いたスウェーデンの警察ドラマです。主演はカーリン・フランツ・ケーロフ、共演はカルド・ラザーディ、カイサ・エルンスト、アンデッシュ・ベルイ、フィリップ・ベルイ、ヴィクトル・ストール・セーゲルハーゲン他。
面白かった (^O^)
主人公の野心家すぎるキャラにちょっとひいちゃうところはありましたが、それでも主要な登場人物たちがそれぞれに個性的で魅力的なのが![]()
また、通常の刑事ドラマではあまり描かれない制服警官や刑事の日常業務も描いていて、このあたりは「踊る大捜査線」を想起させますが、それをシリアスに描いた感じ。
基本的には1話完結で観やすいし、しかも描かれる事件が今のスウェーデンの現実の社会問題を背景にしていて現実味があるのがいい。
さらに、全編を通した「謎」として描かれている過去の暴動事件の真相が、現実離れした巨大な陰謀云々でないのもいい。
北欧サスペンスらしい残酷で容赦のないエンディングの一方で、主人公とその上司で恋人であるイランからの移民2世の刑事とのコンビが今後も大いに活躍してくれることが期待できる終わり方が心地よく、シーズン2があれば是非とも観たいです♪
「お早よう」('59)
テレビが欲しいとねだる子供たちを描いた小津安二郎監督のコメディ映画です。主演は設楽幸嗣さん、島津雅彦さん、共演は三宅邦子さん、笠智衆さん、佐田啓二さん、久我美子さん、沢村貞子さん他。
小津安二郎監督が国内外で高く評価され、巨匠とされるようになった頃にこんな軽めのホームコメディを撮っていたことにはちょっとした驚き。
いろいろと深読みもしようと思えばできるのでしょうが、たわいない物語を気楽な気持ちで観て、くすっと笑えばいいのでしょう (^^)
「エリザベス2世〜英国と生きた女王 96年の軌跡〜」('22)
エリザベス女王崩御の翌日2022年9月9日にイギリスBBCで放送されたドキュメンタリー番組です。
ほとんどは知っている内容でしたが、知らなかったエピソードもあり、しかも実際の映像込みなので、なかなか観応えがありました。
何と言っても、銃で何発も狙われる暗殺未遂(実際は空砲だった)に遭っても、直後にそのまま冷静に公務を続けた話や、夜中に自分の寝室に不審者が侵入しても冷静に対応した話には驚くばかり。
それ以外にも、まさに「ノブレス・オブリージュ」を体現していた女王の姿に感動を覚えましたが、その一方で、自らの意思とは無関係にこのような「普通ではない生活」を強いられる王族、特に王位継承者の過酷さや君主制そのものについて色々と思いを巡らされる番組でした。
「マリー・ミー」('22)
ポップスターと平凡な数学教師の恋の行方を描いたロマンティック・コメディ映画です。主演はジェニファー・ロペス、オーウェン・ウィルソン、共演はマルーマ、ジョン・ブラッドリー、サラ・シルヴァーマン、クロエ・コールマン他。
王道のロマコメでストーリーは最初から最後まで全てが予想通りにしか展開しないけれども、その分、気楽に観られる娯楽映画です。
あまりの忙しさに心身ともに疲れ切っていた大スターが男性の素朴さに癒されて普通の人間らしさを取り戻していく展開はありきたりだけれど、それだけではなく、逆に男性の方も大スターからのアドバイスで新しいことにチャレンジするようになるという、互いに好影響を与える「対等な関係」というのは今風で![]()
本当に意外性ゼロの平凡なストーリーですが、たまにはこういう「キラキラとゴージャスな」王道ロマコメというのもいいもんです (^^)v
「ウェディング・ハイ」('22)
人気お笑い芸人バカリズムさんのオリジナル脚本を豪華キャストで映画化し、結婚式で次々に巻き起こる珍騒動を描いた群像喜劇です。主演は篠原涼子さん、共演は中村倫也さん、関水渚さん、岩田剛典さん、向井理さん、高橋克実さん、中尾明慶さん他。
う〜ん…。
群像劇は大好きだし、題材も面白いし、キャストも充実している…。
個々のエピソードは笑えるし、伏線の回収も悪くない…。
が、どうもチグハグでバランスが悪い…。
中途半端にウェディングプランナーの女性を主人公っぽく扱うなんてことをせずに、群像コメディに徹すればよかったのに。
脚本の問題もあるでしょうが、それ以上に演出や編集がダメなんじゃないかなぁ…。
もっと面白くできたはずと思えるだけに、ただただ残念。
「カモン カモン」('21)
妹の頼みで世話をすることになった9歳の甥に振り回され、悪戦苦闘する独身の中年男性を描いた人間ドラマです。主演はホアキン・フェニックス、共演はウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、スクート・マクネイリー、モリー・ウェブスター他。
うまいなぁ…。
9歳の甥っ子の家庭の問題はとても深刻なのだけれど、それをそのまま深刻に描くのではなく、過剰な演出を一切使わずに淡々と描きながらも、観ている者に深刻さをしっかりと「感じさせる」作りは見事。また、母の介護や死などを通じてギクシャクしていた主人公と妹の関係が甥の存在を通じて徐々に良好なものになっていく展開も自然。
そして何より印象的なのは、主人公の仕事という設定で挿入される、様々な少年少女たちへのインタビュー。その内容が人生や生と死の意味を問う哲学的なもので、それが少々ストレートすぎる感じもありますが、映画全体に深みを与えていて![]()
ただ、その中でも特に印象的な受け答えをしていた黒人少年が、撮影後に流れ弾に当たって亡くなったという悲劇には言葉を失います…。全編を通して「人間の優しさ」を描いている作品ですが、この悲劇もまたアメリカ社会の現実なんですよね…。
「世界で一番美しい少年」('21)
映画「ベニスに死す」('71) で一躍注目を浴び、「世界で一番美しい少年」と称賛されたビョルン・アンドレセンの人生の光と影を追い、彼の実像に迫ったドキュメンタリー映画です。
彼の過酷な人生については既に充分に知っていたので、意外な事実はなかったのですが、それでも驚いたのは幼少期からの映像がかなり多く残っていること。若くして亡くなった母親や育ての親である祖母の趣味だったのでしょうが、少年時代の彼の素顔を撮った映像は実に貴重。それだけでも、この映画を観る価値はあると言えるかもしれません。
それにしても、既に知っていたとは言え、彼のまさに「壮絶な」人生にはやはり胸が痛みます。彼の「美貌」は単に美しいだけでなく、憂いがあり、どこか「悪魔的」でもあったのですが、その背景にこんな幼少期の悲惨な体験があったわけですから…。そして、そんな心に闇を抱えた少年が、一躍「世界で一番美しい少年」として注目されつつも、結局は単なる「美しいオブジェ」として扱われているだけだと気づけば、それは心を病むのも当然。その後の人生にも暗い影を落としてしまうのも仕方ないでしょう。
その一方で、この映画は単なる自己憐憫ではなく、自分の無責任さによって不幸な目に遭わせてしまった妻や娘、現在の恋人への贖罪の意味を持っているように思えてなりません。そして、こうして自分の人生を客観視して受け入れられるようになるまでに結局半世紀もかかってしまったのは悲しいことではありますが、ここまで「生きて」たどり着けたのは本当によかったと言いたいです。
「THE BATMANーザ・バットマンー」('22)
アメコミヒーロー「バットマン」をロバート・パティンソン主演でリブートした新シリーズの第1弾です。共演はゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、コリン・ファレル他。
→ Wikipedia「THE BATMAN-ザ・バットマン-」
主演のロバート・パティンソンには全く興味を持てなかったのですが、ゴードンがジェフリー・ライト、アルフレッドがアンディ・サーキス、ペンギンがコリン・ファレルという脇のキャストの魅力に惹かれて観てみました。
好み♪
これまで様々な俳優、様々な監督によって映画化されてきた「バットマン」。今の時代にどんな形でリブートするのかと思っていたら「なるほど、こう来たか…」という感じ。
現代を舞台にしつつも、1930年代から1940年代を舞台にしたフィルムノワールを思わせる、一風変わった探偵モノのような雰囲気をまとわせ、最終的には格差社会やネットを介して繋がった集団によるテロといった極めて現代的なテーマでまとめ上げる構成は「よく考えられてる」。確かに今の時代に「大富豪のスーパーヒーロー」なんて偽善でしかないですしね。
個人的にはアンディ・サーキスとコリン・ファレルにはもっと活躍してほしかったのですが、それは続編に期待すべしということなんでしょう。
とにかく今から続編が楽しみでなりません (^^)v
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