「ブラックボックス:音声分析捜査」('21)
最新型旅客機墜落事件に隠された闇に、「ブラックボックス」と呼ばれるフライトレコーダーの音声記録だけを頼りに迫っていく航空事故調査局音声分析官の運命を描いた、フランスのサスペンスミステリーです。主演はピエール・ニネ、共演はルー・ドゥ・ラージュ、アンドレ・デュソリエ、オリヴィエ・ラブルダン、ギョーム・マルケ、メフディ・ジャーディ他。
ちょっと長すぎるかなという気もしますが、とんでもなくぐちゃぐちゃな状況になっても最終的には全てが丸く収まるハリウッド映画的ノーテンキな結末にしないあたりはフランス映画らしくて![]()
それでもちょっと上手く行きすぎに思えたり、説明不足や描写不足に感じたりする部分はありましたけどね (^^;;;
主演のピエール・ニネはもちろん、アンドレ・デュソリエとオリヴィエ・ラブルダンというベテランの名優の使い方も的確で、それだけでも充分に満足 (^^)v
「バッド・トレジャー」('21)
ある孤島を舞台に、謎の武装集団と決死の闘いを繰り広げることになった元海軍特殊部隊の男性を描いたサスペンスアクションです。主演はスコット・イーストウッド、共演はメル・ギブソン、ケヴィン・デュランド、ファムケ・ヤンセン、タイリース・ギブソン他。
何でこうなった?! (@o@)
キャストはそれなりに充実しているし、個々の設定も悪くないのに、それらの組み合わせ方が雑すぎて、これっぽっちも面白くない話に。
とにかく一番の謎は、メル・ギブソンとファムケ・ヤンセンの2人が、出番はそれなりにあるのに、全く見せ場のない、どーでもいい役を引き受けたこと。低予算丸出しの作品でギャラが良かったとも思えないのに…。ホント不思議。
「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」('21)
人間の女性と、彼女の「理想の恋人」としてセットアップされたイケメンの高性能AIアンドロイドが織りなす恋愛劇の行方を描いたドイツのSF恋愛ファンタジー映画です。主演はダン・スティーヴンス、マレン・エッゲルト、共演はザンドラ・ヒュラー、ハンス・レーヴ、ヴォルフガンク・ヒュープシュ他。
→ Wikipedia「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」
ダン・スティーヴンスはハマっています。
彼は確かにハンサムではありますが、どこか生身の人間離れした感じがあり、彼がその自分の個性を一段と強調して演じているので、「本物の人間のように見えるアンドロイドの不気味さ」が強く前面に出ています。
ただ、あまりに不気味なので、そんな不気味な存在と恋に落ちるというのは無理があるように感じられて、いまいちピンと来なかったのです。
このあたりは彼の容姿や雰囲気を好む異性愛者の女性であればなんら問題ではないんでしょうけどね。
とにかく、異性愛者の女性向けの、ある意味で昔ながらの少女漫画やレディースコミック的要素が多く(もちろんそれだけではないけれど)、微妙にハマりきれない映画でした…。もちろん「理解」はできるんですけどね…。
「わたしはダフネ」('19)
最愛の家族の死を乗り越え、懸命に生きるダウン症の娘と老父の姿を描いたイタリアのドラマ映画です。主演はカロリーナ・ラスパンティ、共演はアントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ他。
悪人が一切登場せず、周囲の全ての人が主人公に好感を抱いているという、ちょっと浮世離れした童話のような世界。
その一方で、父親が娘の誕生時にダウン症であることを知って複雑な気持ちを抱いた本音を語るシーンなどもあり、障がいを過度に美化することもなければ、単純な「かわいそう」という視点でもなく、極めて冷静な描き方をしているのが印象的。
冒頭で母親が急死してしまうという大きな事件は描かれるものの、それ以降は遺された主人公と老父の日常を淡々と描いていて、物語上に大きなうねりはないのですが、それでも最後まで飽きることなく観られる「優しい」映画でした。
「トムボーイ」('11)
男の子として新たな人生を生きようとする10歳の少女の冒険を描いたフランスのドラマ映画です。主演はゾエ・エラン、共演はマロン・レヴァナ、ジャンヌ・ディソン、ソフィー・カッターニ、マチュー・ドゥミ他。
舞台となる時代があいまいですが、イメージとしては1980年代から1990年代初頭という感じ。その当時とすれば、仕方のないことなのかもしれませんが、2020年代の今の感覚からすると、母親の言動は明らかに児童虐待。あまりに切ない…。
ただ、主人公と妹の仲がとてもよく、希望のあるエンディングのおかげで救いはありましたけどね。
10年以上前の映画ですが、今も観るべき映画であることに変わりはありません。
「ガンパウダー・ミルクシェイク」('21)
自身の組織を敵に回してしまった若きヒットウーマンを描いたバイオレンスアクションです。主演はカレン・ギラン、共演はレナ・ヘディ、カーラ・グジーノ、ミシェル・ヨー、アンジェラ・バセット、ポール・ジアマッティ、クロエ・コールマン他。
タランティーノ作品や「ジョン・ウィック」シリーズのような浮世離れした世界観も基本設定もストーリーも要素は全て好み。
当然ながら楽しめはしたのですが、演出や編集のテンポが自分の呼吸と微妙にずれていて、そのずれが微妙であればあるほどストレスを感じてしまい、最後までイマイチ乗り切れませんでした…。
ちょっと悔しい気分。
「オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-」('21)
第2次世界大戦中、ドイツを欺くために英国諜報部が考案した奇策を題材としたサスペンス映画です。主演はコリン・ファース、共演はマシュー・マクファディン、ケリー・マクドナルド、ペネロープ・ウィルトン、ジョニー・フリン他。
→ Wikipedia「オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-」
面白い話。まさに事実は小説より奇なり。
ただ、未亡人の事務職員をめぐる三角関係のエピソードって本当に必要だったのかなぁ…。よくある「脚色」ではあるけれど…。
それに国家機密に関わる話をナイトクラブ(?)でしているのもありえないし。
重箱の隅をつつくような指摘かもしれませんが、そういう映像作品としてはありがちな演出の不自然さが気になってしまって、どうしても物語に入り込めず。
悪い出来とは思わないんですけどね…。
「ジャイアンツ」('56)
エドナ・ファーバーの1952年の小説「Giant」を原作とし、テキサス州の大牧場を経営する家族の約30年に及ぶ人間模様を描いた叙事詩的映画です。主演はエリザベス・テイラー、ロック・ハドソン、共演はジェームズ・ディーン、マーセデス・マッケンブリッジ、キャロル・ベイカー、チル・ウィルス、デニス・ホッパー、サル・ミネオ、ロッド・テイラー他。
三十数年前にリバイバル上映で観て以来、ビデオやテレビ放送で何度か観ていますが、ちゃんと最初から最後まで通して観るのは四半世紀ぶりかも。
久しぶりに観て感じたのは、70年も前の映画ですが、テキサスをはじめとするアメリカ南部は今も本質的にはあまり変わっていないんじゃないかなということ。伝統的な男らしさへのこだわり、というよりも「執着」だとか、非白人に対する差別意識だとか、70年前のように露骨に表に出すようなことはなくなっているとは思いますし、「差別」の内容や意味も変わってきているとは思いますけど。
そして初見の時から感じているのは、ジェームズ・ディーン扮するジェット・リンクのキャラクターがあまりに描写不足。主人公夫婦との対比としての重要な位置付けのキャラクターのはずなのに、「石油成金」となって以降の描き方が表面的なので、終盤のシーンが「唐突」とまでは言わないまでも、薄っぺらく感じてしまうのです。とは言いつつも、200分もある尺をこれ以上長くするのも難しいでしょうし、映画としてはこのくらいの描写が限界なのかなとは思います。丁寧に描くなら映画ではなく、ドラマシリーズにするしかないのでしょう。
不満な点はいろいろありますが、それでも「テキサス州の近代史」を描いた作品として観応えは充分。一見の価値は間違いなくあります。
「リコリス・ピザ」('21)
1970年代のアメリカ西海岸を舞台に、子役として活躍中の15歳の男子高校生とカメラマン助手の25歳の女性の恋を描いた青春恋愛映画です。主演はアラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、共演はショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、マーヤ・ルドルフ、ジョン・C・ライリー、ユミ・ミズイ他。
ストーリーは大して面白くない。
主人公をはじめ、登場人物たちは共感しやすいキャラクターではない。
それでも、新人の主演2人の個性と魅力だけで何となく観続けられるし、作品全体の雰囲気も相まって観終わった後にはそれなりに満足感が得られる不思議な映画。
少々過大評価されているような気もしますが、悪くはないです。
「トレイター/TRAITOR 国を売った男」('19-'20)
2004年のエストニアのNATO加盟を背景に、同国の国防省の官僚がロシアのスパイになったとの実話をもとにしたスパイサスペンスドラマ全6話です。主演はタンベット・トゥイスク、共演はマルトゥ・ヌルク、エヴァ・コルディス、インドレク・タールマー、マリ・アベル、ヴェイコ・ポルカネン、マルゴ・ミット他。
あくまで実話から着想を得たフィクションなので、荒唐無稽なところは多々あるものの、現実味はそれなりにありました。
ソ連の解体で独立を果たしてから10数年後の2004年のエストニアには、ソ連時代のエリート官僚たちがまだまだ現役で、比較的簡単にロシアのスパイになってしまう可能性があったというのは確かに納得。
ただ、ドラマとしてはイマイチ…。
主人公を追い詰める側があまりに非力で、どんなピンチもことごとくロシアの工作員たちによって都合よく対処されちゃうのはあまりに単純だし、盛り上がりに欠けて、全然ハラハラドキドキしない…。
また、この全6話で完結しておらず、既に本国エストニアではシーズン2も放送済みとのことですが、そこまで引き伸ばすほどの題材とは思えないのですけどね…。
不満はいっぱいありますが、主演のタンベット・トゥイスクのハマり具合は悪くないし、シーズン2が放送されたら観ちゃうだろうなとは思います。