「ナイル殺人事件」('78)
アガサ・クリスティの「エルキュール・ポアロ」シリーズの1つである「ナイルに死す」を原作としたミステリ映画で、ピーター・ユスティノフがポアロを初めて演じた作品です。共演はジェーン・バーキン、ロイス・チャイルズ、ベティ・デイヴィス、ミア・ファロー、ジョン・フィンチ、オリヴィア・ハッセー、ジョージ・ケネディ、アンジェラ・ランズベリー、サイモン・マッコーキンデール、デヴィッド・ニーヴン、マギー・スミス、ジャック・ウォーデン他。
→ Wikipedia「ナイル殺人事件 (1978年の映画)」
今でこそエルキュール・ポアロと言えば、1989年から2013年まで24年にわたって放映されたテレビシリーズ「名探偵ポワロ」のデヴィッド・スーシェのイメージが強いですが、それまでの自分にとってポアロと言えばピーター・ユスティノフ。原作のイメージに近いのは明らかにデヴィッド・スーシェですが、ピーター・ユスティノフは彼独自のポアロを演じていて、こちらもとても印象的。
そんなピーター・ユスティノフ版ポアロの第1作で、テレビ放映時に何度も観ているはずなのですが、ほとんど覚えていないので、久しぶりに再見。
豪華なキャストと観光ビデオのような美しいエジプトの景色。
それだけでも充分なのですが、それに加えて、気を衒わない格調高い演出、そして本来は嫌味で気持ち悪いポアロというキャラクターを、クマのぬいぐるみのような容姿で愛嬌たっぷりに演じたピーター・ユスティノフが殺伐とした物語にユーモアを加えてちょっとした箸休めのような役割をも見せていて![]()
改めて「ピーター・ユスティノフ版ポアロはいいなぁ」と確認できた気分 (^^)v
「キングメーカー 大統領を作った男」('22)
キム・デジュン大統領の選挙参謀だった実在の人物をモデルに、韓国のある政治家を大統領にするために、ありとあらゆる手段に打って出る選挙参謀を描いたポリティカルスリラーです。主演はイ・ソンギュンさん、共演はソル・ギョングさん、ユ・ジェミョンさん、チョ・ウジンさん、パク・イナンさん、ユン・キョンホさん他。
この手の選挙を題材にした映画は「政治の闇」の部分を強調したものが多いですが、この映画では「光と闇」をわかりやすく対照的に描いているのが特徴。
実際にはそんなに単純な話ではないはずですが、それが気にならないような作りになっているのは巧み。
また前半で青春映画のような明るくコミカルな雰囲気を出すことで、後半の陰鬱な展開の切なさを際立たせているのも![]()
ただ、終盤は失速しちゃったかな…。「物語」の結末としてあまりに呆気なくて「えっ? こんなあっさりした終わり方?」という生煮え感でいっぱい。韓国映画らしい「余韻」を大事にしたかったのかも知れませんが、物足りなさは否めませんでした。
「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」('22)
バイオテクノロジーを駆使して蘇らせた恐竜による騒動を描いたマイケル・クライトンのSF小説を原作とした人気パニックサスペンス映画シリーズの6作目となる完結編です。主演はクリス・プラット、共演はブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニール、イザベラ・サーモン、キャンベル・スコット他。
→ Wikipedia「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」
清々しいまでにご都合主義に徹したテキトーで雑な脚本 (^^;;;
でも、作り手もそんなことは百も承知で、はなから物語としての面白さを追求するのは諦め、映画館の大画面で楽しむ「アトラクション」と割り切っているのでしょう。
観る側もそのつもりでなきゃダメ (^^)v
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「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」('21)
記憶喪失になり自分をヒーローだと思い込んだ俳優が巻き起こす騒動を描いたアクションコメディです。監督・主演はフィリップ・ラショー、共演はジュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、エロディ・フォンタン、アリス・デュフール、ジャン=ユーグ・アングラード他。
→ Wikipedia「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」
う〜ん…。
これは酷いな…。
ハリウッド製ヒーローアクション映画のパロディとしてアイデアは悪くないし、ところどころに笑えるシーンもなくはないんだけれど、行き当たりばったりのテキトー過ぎる脚本で、途中で飽きちゃう。
90分に満たない短い尺なのに、それでも「間伸びして長い」と感じてしまうほど。
「映画」ではなく、「ショートコントの羅列」と割り切れば、まだ観られるかな…。
いずれにせよ、映画館にまでわざわざ足を運んで金を払って観るような代物ではないです。
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「秘密の森の、その向こう」('21)
森の中で8歳当時の母親と出会った8歳の少女を描いたファンタジー映画です。主演はジョゼフィーヌ・サンス、共演はガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス、ステファヌ・ヴァルペンヌ、マルゴ・アバスカル他。
世界観自体は子供向けの絵本のような感じ。
しかし、説明的なセリフは一切なく、決してわかりやすい作りではないので、子供向けというよりは「大人のための絵本」といった方が良さそう。
ただ、主人公2人があまりにそっくり(実の双子同士なので当然)で区別がつかなかったのには観ていて少々戸惑いました (^^;;;
それもまた作り手の意図通りだったんでしょうけど。
また、その2人がとても綺麗な顔立ちで「かわいい」といよりは「美しい」という表現がぴったりなので、この2人が大人になったら相当に美しい女性になるんじゃないかと大いに期待してしまいます (^^)
「キャメラを止めるな!」('22)
日本映画「カメラを止めるな!」('17) をオスカー監督ミシェル・アザナヴィシウスがフランスでリメイクしたコメディ映画です。主演はロマン・デュリス、共演はベレニス・ベジョ、グレゴリー・ガドゥボワ、フィネガン・オールドフィールド、マチルダ・ルッツ他。オリジナルの日本映画から竹原芳子(どんぐり)さんが出演しています。
ビックリするほど元の映画と同じで、しかも、その同じであること自体をもギャグにしているのは面白いアレンジの仕方。また、リメイク版で独自に加えられた音楽担当のキャラクターが映画を邪魔せず、いい「箸休め」的な役回りになっていたのも![]()
そんな感じで概ね「良いリメイク」だっただけに、ベレニス・ベジョだけが思いっきりミスキャストだったのが本当に残念。彼女は美人すぎるし、この役に最も必要な「危なさ」が全くない![]()
いい女優であることを否定はしませんが、いくらミシェル・アザナヴィシウスのパートナーとは言え、明らかに間違っているキャスティングに誰も何も言えなかったんでしょうか?
主演のロマン・デュリスが予想外にはまっていただけに本当に本当に残念。
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「CELL 8 〜ある脱獄囚の真実〜」('22)
北欧の作家ルースルンド&ヘルストレムの人気小説を原作とし、恋人がアメリカから逃亡してきた死刑囚と知ったスウェーデンの捜査官の女性を描いた全6話のサスペンスドラマです。主演はミモサ・ヴィッラモ、共演はフレディ・ワイズ、レオナルド・テルフェルト、クリストファー・カミヤス、リチャード・リンターン、ヴィクター・マクガイア、ウィリアム・フランシス・ソープ他。
酷い偏見に満ちた不快なドラマ。
このドラマが米国製ならまだ納得ができます。ハリウッド映画でも死刑制度や冤罪の問題をテーマにした作品がいくらでもありますから。
でも、これがスウェーデン製となると話は別。
どこからどう見ても「人権意識の高いヨーロッパ人が、腐り切った米国の司法制度を上から目線で批判、というよりもバカにしている」としか見えない内容なんですから。おそらく、そんな「遅れた」「野蛮な」米国の言いなりになっているように見えるヨーロッパ各国の政府への批判もあるのでしょうけど、それにしても…。
その内容自体はまだフィクションと割り切れば受け入れられないこともありません。しかし、それを描くことに汲々とするあまり、米国の描き方が雑過ぎて偏見まみれ。とにかくリアリティがなさ過ぎ。
ヨーロッパ人として死刑制度に反対したい気持ちはわかりますし、物語のオチとして、自分たちの上から目線の醜悪さを自ら皮肉っているのもわかりますが、しかしそれらの全てを「米国は酷い国」というイメージでまとめ上げちゃうのはいかがなものでしょうか?
説教臭いだけのクソドラマでした。
「スワンソング」('21)
老人ホームで余生を送る往年の花形ヘアメイクドレッサーが亡き親友に死化粧を施すための旅に出るさまを、実在の人物をモデルに描いたロードムービーです。主演はウド・キアー、共演はジェニファー・クーリッジ、リンダ・エヴァンス、マイケル・ユーリー、アイラ・ホーキンス他。
題材自体は悪くない。
同性婚が認められていなかった時代に愛するパートナーを亡くした男性の苦悩や悲しみとともに彼の最晩年を描いた物語としては確かに切なく胸を打ちます。
一種のロードムービーのような展開で、主人公が旅の途中で出会う人々が主人公に対して都合が良すぎるほど親切な態度をとる人ばかりなのも、それまでにさまざまな苦労を重ねてきた主人公への最後の「ご褒美」とも言えますし。
が、主人公のキャラクターがどうしても好きになれなかった…。
歳を取れば「面倒臭い」人間になるのは珍しいことではないし、同情もできなくはないのですが、それにしても…。
もちろん、主人公に「愛される」部分があるのは確かだし、それは重要なポイントなんですけど、僕としてはもうちょっと「愛される」要素が欲しかったのです。僕にはギリギリ「愛せない」キャラでした…。
「マイスモールランド」('22)
難民申請が認められず、在留資格を失ってしまった在日クルド人一家の少女の苦悩と葛藤を描いた社会派のドラマ映画です。主演は嵐莉菜さん、共演は奥平大兼さん、藤井隆さん、池脇千鶴さん、平泉成さん他。
予想はしていましたが、ただただ切ない話でした。
日本と友好関係にあるトルコへの「配慮」から、クルド人難民を受け入れることに極めて消極的な日本の現実を広く国内外に知らしめるには充分な出来。
ただ、細かいところで「?」となるような少々現実味のない描写が多く、そのために映画全体としてリアリティを損ねてしまっていたのは残念。
作劇上の「演出」として、この程度なら受け入れられる、気にならない人もいるでしょうが、僕にはちょっと無理でした。
それにしても、池脇千鶴さんの変貌ぶりには愕然 (@o@)
「泣く子はいねぇが」('20)
なまはげ行事中の失態で妻子と別れ、秋田から東京に出た青年が、2年後、過ちと向き合うため故郷に戻るさまを描いたドラマ映画です。主演は仲野太賀さん、共演は吉岡里帆さん、寛一郎さん、山中崇さん、余貴美子さん、柳葉敏郎さん他。
お世辞にも「面白い」話ではないのだけれど、男に都合がいいだけのハッピーエンドじゃないのは![]()
失敗してもやり直しはできる。
でも、壊れたものは完全に元通りになることはない。
という当たり前のことを切なさとともに描いていて、いつもながら仲野太賀さんの説得力のある演技で心に残る物語になっていました。
演出と編集はちょっと好みじゃなかった(呼吸が合わなかった)けど。