「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より」('17)
ウィリアム・ポール・ヤングの2007年の小説「神の小屋」を原作とし、殺人犯に娘を奪われた父親と、救いの手を差し伸べる3人組を描いた宗教映画です。主演は サム・ワーシントン、共演はオクタヴィア・スペンサー、グラハム・グリーン、ラダ・ミッチェル、アヴラハム・アヴィヴ・アラッシュ他。
→ Wikipedia「アメイジング・ジャーニー 神の小屋より」
題材はとてもいい。
信心深い家庭で父親に虐待されて育った故に、何か悪いことが起きると全て自分のせいだと思い込んでしまう主人公。
ある日突然、理不尽な理由で愛する家族を奪われた人間の苦悩と赦し。
ただ、あまりに説教臭く、ただの新興宗教の勧誘ビデオになっちゃってる…。
要は「安易」で「陳腐」な作りで退屈極まりないのです。
宗教的なのはいいんですけど、キリスト教の解釈が独特すぎるのも![]()
もったいないなぁ…。
「ベルイマン島にて」('21)
敬愛する巨匠イングマール・ベルイマンの聖地を訪れた映画監督のカップルが、苦悩に満ちた葛藤劇を繰り広げるさまを描いた人間ドラマです。主演はヴィッキー・クリープス、ティム・ロス、共演はミア・ワシコウスカ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、スティーグ・ビョークマン他。
ミア・ハンセン=ラヴ監督が当時の夫で映画監督のオリヴィエ・アサイヤスとの実人生を投影させたという作品。興味深いところもあったけれども、映画全体としては「で?」としか言いようありませんでした…。
前半はベルイマン監督作品のファンの「聖地」となっている島の「観光ガイド」のような映像で、それはそれで、それなりに楽しめます。
が、中盤以降は主人公である妻の構想中の映画の内容を映像で延々と見せられるのですが、それが呆れるほどつまらない。いくら劇中劇だからといって、ここまで手抜きな内容でいいんでしょうか?
映画監督同士の夫婦故の葛藤を描いているのはわかりますが、大して深みもないし、これなら最初から割り切って「イングマール・ベルイマン監督の聖地を紹介したドキュメンタリー」にしちゃった方がよっぽど面白くなったんじゃないかと思えてなりません。
「不死身の保安官」('58)
2つの牧場が対立するアメリカ西部の無法の町に、そうと知らずに販路を広げるためにやってきたイギリス人の武器商人が凄腕のガンマンと誤解されて保安官に任命されてしまったことから起きる騒動を描いたコメディ西部劇です。主演はケネス・モア、ジェーン・マンスフィールド、共演はヘンリー・ハル、ブルース・キャボット他。
いくらコメディとは言っても、あまりにふざけ切った内容に最初は「何じゃこりゃ?!」となりましたが、これは映画ではなく、長尺のコントだと割り切って観れば、かなり楽しめます♪
言ってみれば、後の日本のクレイジーキャッツやドリフターズの喜劇映画みたいなもんです![]()
「C.R.A.Z.Y.」('05)
1960年代から1980年代のカナダ・ケベックを舞台に、保守的な父親と4人の兄弟に囲まれながら育った青年が、自らの性的アイデンティティの揺らぎに苦悩するさまを描き、ジャン=マルク・ヴァレ監督の出世作となった青春映画です。主演はマルク=アンドレ・グロンダン、共演はミシェル・コテ、ダニエル・プルール、ピエール=リュック・ブリアン、エミール・ヴァレ他。
2005年の映画としてはここまでが限界だったのかなという感じ。悪くはないけれど、今の感覚からすると、主人公の揺らぎの描写が表面的で踏み込みがちょっと浅い感じ。
また、エンドクレジットでタイトル(原題同じ)「C.R.A.Z.Y.」の意味が明確にわかるようにしているのは良かったのですが、それならば、主人公の4人の兄弟それぞれをもっと踏み込んで描くべき。もちろん、それでは尺が足りないのはわかりますが、これもまた中途半端に見えてしまうのです。
評価の高い映画なので期待値が高すぎたのかもしれませんし、2005年の公開当時に観ていれば、もっと素直に「いい映画だなぁ」と思えたのかもしれません。それがちょっと残念。
「親愛なる同志たちへ」('20)
ソ連崩壊後の1992年まで30年にわたって隠蔽されていた、1962年に旧ソ連の地方都市で起きた大量虐殺事件を映画化した、アンドレイ・コンチャロフスキー監督によるサスペンスです。出演はユリア・ヴィソツカヤ、アンドレイ・グセフ、ヴラジスラフ・コマロフ、ユリア・ブロヴァ、セルゲイ・エルリシュ他。
この手の事件を題材にした映画は、一般的に被害者側の視点で描かれることが多いですが、この映画の場合は単純に被害者側ではなく、むしろ加害者側に近い立場の人間を主人公にし、事件が何故起きて、どのように隠蔽されたのかを描いています。
その点から言えば、主人公を加害者側に近い立場の共産党員に設定したのはいいアイデアだと思います。
ただ、その主人公が特権的立場や地位を私的に使うことに何の躊躇もない、典型的な「腐った」共産党員で、嫌悪感しか抱けない身勝手なキャラクターであるせいで、この悲惨極まりない事件の悲劇性が薄められてしまったように感じられてしまったのは残念…。
もちろん、主人公をこのようなキャラクターに設定した意図はわかります。歴史的に反ソ連寄りの地域(老父も反ソ連的)で生まれ、そのために共産主義の強烈な「洗脳教育」を受け、亡きスターリンを心の底から敬愛している人物に設定することで、この主人公もまたソ連の被害者であり、こういった人物も多かった事実を示したいのでしょう。それでも、もう少し感情移入しやすいキャラクターにして欲しかったな…。
結末も、意図はわかりますが、自分にとっては「違う」としか思えず、この映画に対する評価はこの結末でダダ下がり。結局、今のロシアではここまでが限界なんでしょうね…。
「天使が隣で眠る夜」('94)
ジャック・オディアール監督のデビュー作で、賭博師とセールスマンという、しがない2人の男の物語が交錯するネオノワールです。主演はジャン=ルイ・トランティニャン、ジャン・ヤンヌ、共演はマチュー・カソヴィッツ、イヴォン・バック他。
1990年代の映画なので敢えて「あいまい」に描いているためにわかりにくいところもありますが、最終的には1人の無垢な青年と彼をめぐる2人の初老男性によるプラトニックな三角関係の顛末を描いたラブストーリー。
今の時代なら、2人の初老男性を中年男性に設定して、もっとわかりやすく描くんじゃないかなぁと考えると、ジャック・オディアール監督にはセルフリメイクしてほしい気もします (^^)
「ロックド・イン」('21)
大量のダイヤを巡る争奪戦に巻き込まれた、トランクルームで働く女性とその17歳の娘を描いたクライムサスペンスです。主演はミーナ・スヴァーリ、共演はジェフ・フェイヒー、マニー・ペレス、ジャスパー・ポリッシュ、コスタス・マンディロア、ブルーノ・ビチル他。
意外に面白かった (^O^)
キャストも地味だし、絵に描いたような低予算B級映画ですが、期待値が思いっきり低かったこともあり、予想外に楽しめました。もちろん、ツッコミどころは満載ですが、それも込みで楽しめます (^^)v
ところで、主演の中年女性はどこかで観たことがあるなぁと思ったら、「アメリカン・ビューティー」('99) で小悪魔的女子高生を演じていたミーナ・スヴァーリ!!
くたびれきった中年女性という設定のせいもありますが、完全に別人で、その事実の方が映画の内容よりもインパクト大 (^^;;;
「パムの秘密ーある主婦の知られざる顔ー」('22)
2011年に米ミズーリ州で実際に起きた殺人事件をブラックユーモアを込めて描いたサスペンスドラマ全6話です。主演はレネー・ゼルウィガー、共演はジョシュ・デュアメル、ジュディ・グリア、ギデオン・アドロン、ショーン・ブリジャース、スアンヌ・スポーク、マック・ブラント、ケイティ・ミクソン、グレン・フレシュラー、キース・モリソン他。
事実は小説より奇なりとはまさにこのこと。
これがフィクションなら「こんな支離滅裂な言動を取り続ける連続殺人犯なんて、いるわけない!!」と言われるはず (^^;;;
遺族がいる事件で、もちろん笑っちゃいけないのは分かっていますが、それでも、あまりに常軌を逸した無茶苦茶で理解不能な言動を取り続ける主人公の姿には、ここまで行くと笑うしかない…。
どう見ても賢さのかけらもない人物が、理屈ではなく、持ち前の押しの強さだけで何となく切り抜けて来られたことが不思議でなりませんが、とにかく、二度と社会に出て来ないでほしいと願うばかりです。
「355」('22)
南米コロンビアの犯罪組織が開発した、あらゆるセキュリティをくぐり抜けて世界中のインフラや金融システムなどを攻撃できる最新装置「デバイス」の争奪戦に加わることになった女性エージェントたちを描いたスパイアクション映画です。主演はジェシカ・チャステイン、共演はペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴ他。
女性スパイのグループが世界を股にかけて活躍するというアイデア自体はいいんですけど本当にそれだけ。
ストーリー自体は絵に描いたような陳腐なB級アクション映画そのもの。
いくら女性たちが活躍するスパイアクション映画として作る「意義」があるとは言っても、こんなつまらない脚本でどうしてこれだけの大スターたちを集められたのか不思議に思ったのですが、中国が出資していることを知って納得。出資の条件として中国のプロパガンダを露骨に入れてますしね。「中国は欧米の皆さんの仲間で味方です!!」といういつものアレ。嘘をつくなって感じですよ。
とにかく、せっかくの面白いアイデアも素晴らしいキャストも全てが無駄になっている残念な映画です。
「復讐の荒野」('50)
ニューメキシコを舞台に、大牧場主とその後継である娘の愛憎を描いた心理西部劇です。主演はバーバラ・スタンウィック、ウォルター・ヒューストン、共演はウェンデル・コーリー、ジュディス・アンダーソン、ギルバート・ローランド他。
何故こうなった???
終盤になってヒロインが父親に復讐を始めるところからはバーバラ・スタンウィックらしさが活きているけれど、それまでは気が強いだけのヒロインの「若さゆえの幼稚さ」が物語の中心なので、とっくに40歳を過ぎていた彼女が演じるのはあまりに変。
そして致命的なのはヒロインが一目惚れしちゃうイケメン役をウェンデル・コーリーという華のない地味な非イケメンが演じていること。他にいくらでも二枚目俳優はいただろうに、どうして彼を起用する必要があったのか本当に謎。
とにかく、物語としては悪くないのだけれど、キャスティングのセンスがあまりにずれまくっていて、説得力の全くない長尺のコント(しかも全く笑えない)にしか見えませんでした。
