ザ・クリエイター/創造者
Amazon(アマゾン)

人類とAIが激しいバトルを繰り広げる近未来を舞台に、「クリエイター」と呼ばれる人物が生み出した、最先端の少女型AI「アルフィー」の破壊を命じられた元米軍特殊部隊の隊員を描いたSFアクションです。主演はジョン・デヴィッド・ワシントン、共演は渡辺謙、ジェンマ・チャン、スタージル・シンプソン、マデリン・ユナ・ヴォイルズ、アリソン・ジャネイ他。
何で「映画」にしたんだろ?
映画に登場していない裏設定とかいろいろありそうだし、どう考えても130分程度の尺に収まる内容じゃないので、全10話くらいのテレビシリーズの総集編を見せられた気分。
映像は確かにいい。
でも、あまりに尺が足りないので、映像以外、何も残らないのです。
また、西洋は基本的に白人のキリスト教文化で、ある程度ひとまとまりに表現できるけれど、そもそも東洋は宗教的にも民族的にもバラバラなのに、いかにも西洋人から見た東洋という「イメージ」だけで、ごった煮のように雑にまとめて描いているのも![]()
どうせやるなら、ストーリーや世界観の構築にもっと時間と手間をかけるべきでしょう。
ただ、アメリカをはじめとする西洋を一貫して「悪の枢軸」として描いているのだけは![]()
姿を消した女性スオミを巡り、彼女を愛した5人の男たちが自らの想いを熱く語り合うさまを描いた、三谷幸喜さん監督・脚本のミステリーコメディです。出演は長澤まさみさん、西島秀俊さん、松坂桃李さん、瀬戸康史さん、遠藤憲一さん、小林隆さん、坂東彌十郎さん、戸塚純貴さん他。
ここ数年、三谷幸喜さんのコメディ作品とは相性が悪く、この映画も全く期待しないで観たのですが、期待値が低かった分、「意外に楽しめた」のが正直な感想。いつもながらキャストは豪華で充実していますので、その演技のアンサンブルを観るだけでも充分楽しめますし。
でも、同じキャストで生の舞台で観たかったなとは思います。
登場人物のキャラクター造形にしろ、最初からオチが見え見えの陳腐なストーリーにしろ、舞台の方がもっと自然に受け入れられたはず。どちらも映像向きではないです。
タクシーの乗客と運転手として出会った2人が、車中で互いに本音を語り合う2人芝居の会話劇です。出演はダコタ・ジョンソン、ショーン・ペン。
濃い栗色から黒っぽい髪のイメージがあるダコタ・ジョンソンが金髪なので、最初は「ホントにダコタ・ジョンソン?」と思ってしまったほど。
それはともかく、
もともと舞台劇用に書かれた脚本を映画化したもので、確かにこれは舞台で観たら面白そうだなと思います。映像化向きかは微妙ですが、それでも「芝居」としては興味深く観られました。
ただ、アメリカ人だから成立する話だなぁという印象。日本人では絶対に成立しないとまでは言いませんが、中年の男性運転手と若い女性客で、ここまで踏み込んだ話をするというのが、日本人ではちょっと想像しにくい。ショーン・ペンの「老いてはいるけれど枯れてはいない」雰囲気がかなり生々しく感じられてしまい、こんな「雄味」がある初対面の中年男性に、若い女性がほとんど全く警戒心を抱かないのも微妙な違和感。この女性が年上の男性に惹かれやすいという設定だからなんでしょうけど、ちょっと引っ掛かるのです。
ストーリーそのものよりも、そんなことばかり考えてしまいました。
ゲイカルチャーに革命を起こしたとされるフィンランドのエロティック・アーティスト、トム・オブ・フィンランド(本名:トウコ・ラークソネン)の半生を描いた伝記映画です。主演はペッカ・ストラング、共演はラウリ・ティルカネン、ジェシカ・グラボウスキー、タイスト・オクサネン、シェーマス・サージェント、ヤーコブ・オフテブロ他。
→ Wikipedia「トム・オブ・フィンランド (映画)」
マッチョな体に黒いレザーの上下、そして口髭というゲイのイメージを確立したとされるトム・オブ・フィンランド。その存在自体は知っていましたが、特に興味がなかったので、トム・オブ・フィンランドは単なる筆名でアメリカ人なんだろうなと思っていたほど (^^;;;
そんな人物の半生を知ることができたという意味では観て良かったと思っていますが、イマイチ、ピンと来ず…。
彼の作品が持つ「明るく大らかでユーモラス」な雰囲気を反映した作り自体は悪くないのですが、逆に深刻な問題も軽くなってしまったようで全体に薄味。
また、時間経過が曖昧で、背景となる時代の変化が分かりにくいのもイマイチ入り込めなかった理由。
決して悪い出来だとは思わないのですが、観終わった後に物足りなさしか残らない映画でした。
1960年代から1970年代のシカゴを舞台に、実在したバイカー集団から着想を得た犯罪映画です。主演はオースティン・バトラー、共演はジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・ファイスト、ノーマン・リーダス他。
観る前から自分には合わないと分かっていましたが、キャストに惹かれて、本当にそれだけの理由で観てみました。
1mm も心動かず。
クズ男と、そんなクズ男に惚れるバカ女とか、こいつらがどうなろうと何の興味も持てず。
10代の子供ならまだ 1mm くらいは分からなくもないけれど、いい歳こいた大人たちが「暴走族」というよりも、ただのチンピラ集団なんかやってるの、見てる方が恥ずかしいし、ただただ寒い。
何だか中途半端にハッピーエンドっぽい終わり方も「で?」としか思えず。
それなりに充実したキャストも自分には無駄遣いとしか思えませんでしたし、本当に徹頭徹尾自分には合わない映画でした。
スタンリー・キューブリック監督の遺作となった映画「アイズ ワイド シャット」('99) の原作であるアルトゥル・シュニッツラーの中編小説「夢小説」を再映画化したセクシーサスペンスです。主演はニコライ・キンスキー、共演はローリン・プライス、ブルーノ・エイロン他。
キューブリックと比較されることを分かっていて敢えて再映画化した根性は見事。
また、キューブリック版では主演のトム・クルーズが絶望的にミスキャストだったり、アメリカを舞台にしている違和感が拭えなかったりしたのに比べると、主演と舞台はこっちの方が![]()
ただ、予想ほどチープではなかったものの映像も演出も極めて平凡。
油絵風の映像部分だけは一瞬「おっ!!」となったけれど、いかにも生成AIって感じのチープな絵柄でガッカリ![]()
この世界観は予算をたっぷりかけてゴージャスに撮らないとダメですね。
関連記事
俳優業を引退したブルース・ウィリスの最後の出演作で、他人の体を操作できる極秘開発技術を巡る、軍の特捜チームと犯罪者の攻防を描いた近未来サスペンスアクションです。主演はノムザモ・ムバサ、共演はアンディ・アロー、ドミニク・パーセル、ムスタファ・シャキール他。
題材やコンセプトは、新鮮味はないものの、悪くない。
映像もさほどチープではない。
ただ、SFというよりは、哲学的ファンタジーに近いのは意図的なんでしょうが、それにしてもディテールが雑すぎる…。
尺の都合でいろいろ割愛してるんでしょうけど、それにしても無理がある…。
今回もブルース・ウィリスは、脇役とは言え、全く活躍していないし、見せ場もなく、しかもこのレベルの出来の作品がブルース・ウィリスの最後の出演作というのはとてもとても残念。ブルース・ウィリス出演の近年のB級映画と何も変わらない出来でした。
ロス市警の型破りなベテラン刑事ジェームズ・ナイトの活躍を描いた犯罪アクションシリーズ三部作です。主演はブルース・ウィリス、共演はボー・マーショフ、ジャック・キルマー、マイケル・エクランド、ポール・ヨハンセン、ロックリン・マンロー、ジミー・ジャン=ルイ、ミランダ・エドワーズ他。
ブルース・ウィリスが出演しているB級アクション映画としてはまぁまぁ。時間つぶしにはちょうどいいかも。
ただ、ブルース・ウィリスは主演なのに、表情は常に険しいままでほとんど感情を表わさず、セリフもアクションも最小限。物語の中心は基本的に犯人側だし、周囲の登場人物(やスタントマン)が頑張ってブルース・ウィリスが主演に見えるように無理をしているのがありありと分かっちゃう。ブルース・ウィリスが失語症などの病を抱えているので仕方ないですけど、ここまであからさまだとどうしても気になっちゃいます (^^;;;
1948年に南米チリの国民的詩人にして共産党員のパブロ・ネルーダが政治犯として追われる身となったさまを描いたサスペンス映画です。主演はルイス・ニェッコ、共演はガエル・ガルシア・ベルナル、メルセデス・モラーン、アルフレド・カストロ、ディエゴ・ムニョス他。
いわゆる「サスペンス映画」を期待すると相当に肩透かし。
確かにストーリー自体はサスペンス映画「的」ではあります。
が、描き方は全然サスペンスフルでもスリリングでもない。
延々と続く観念的なモノローグで綴られる「映像詩」。
なので原語であるスペイン語の話者でなければ、真にこの映画を理解し、堪能することはできないのでしょう。
作り手の意図は分かりましたが、パブロ・ネルーダが唾棄すべきクソ野郎であること以外に、作り手が伝えたいことは何も分かりませんでした。
関連記事
1970年代の韓国の港湾都市クンサン市で海女たちが金塊の密輸を手伝ったとの実話を下敷きに、海女たちが自分たちを利用して私腹を肥やした悪党たちに反撃していく姿を描いたクライムエンターテインメントです。主演はキム・ヘスさん、ヨム・ジョンアさん、共演はチョ・インソンさん、パク・ジョンミンさん、キム・ジョンスさん、コ・ミンシさん他。
大まかには一般的な犯罪映画のセオリー通りの筋立てですが、海女の女性たちを主人公にし、海女ならではの海中アクションをクライマックスに持って来るなどの新鮮味はもちろん、全体に軽妙なタッチで描かれていることもあって、娯楽映画として充分に楽しめました (^^)v
ただ、バランスの悪さもあり。
海女の女性たちを中心にした物語のはずなのに、しっかり描かれているのは主人公の女性2人だけ。他の海女は中途半端な描き方でほぼモブ扱い。
それに対し、本来は悪役の位置付けのはずの密輸王は、イケメンスターのチョ・インソンさんが演じているせいか、必要以上に見せ場や出番が多く、どう考えてもバランスが変。彼のファンへのサービスを優先したとしか思えず、それが最後まで違和感として残ってしまったのは残念。