名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊
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アガサ・クリスティ原作、ケネス・ブラナー監督・主演のミステリ映画「オリエント急行殺人事件」('17)、「ナイル殺人事件」('22) に続くシリーズ第3作で、原作は「ハロウィーン・パーティ」です。共演はカイル・アレン、ケリー・ライリー、ジェイミー・ドーナン、ティナ・フェイ、ミシェル・ヨー、カミーユ・コッタン他。
もはや原作とは一部の登場人物のキャラクターが同じだけで内容は完全な別物。ここまで変えるなら、原作ではなくて「原案」として、ポアロとオリヴァ以外の登場人物の名前は全て変えてしまった方がミステリとしては良かったんじゃないかなと思ったり。その一方で、敢えて原作と同じ名前にすることで「この登場人物をこういう風にアレンジしたんだ」と原作ファンを楽しませる意図もあったのかなぁとも思ったり。
とにかく、ケネス・ブラナーらしい格調高い仕上がりで「オカルトホラー風ミステリ」として上質な出来でした。ただ、ちょっと格調高くしすぎたかなという気も。
ところで、ポアロのボディガード役でリッカルド・スカマルチョが出演していましたが、年を重ねるごとに「コワモテ」な容姿になってますね…。若い頃の「影のある美青年」イメージはすっかり消え去ってしまいましたが、これはこれで役者としては良かったのかなとは思います。
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偶然の出会いから幸福な日々が続いていた男女のカップルのその後を描いた恋愛ドラマ映画です。主演はブレイク・ライヴリー、共演はジャスティン・バルドーニ、ジェニー・スレイト、エイミー・モートン、ブランドン・スクレナー、ケヴィン・マクキッド他。主人公の相手役ジャスティン・バルドーニが監督も務めています。
→ Wikipedia「ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US」
観る前は「女に都合がいいだけの甘ったるいメロドラマ」かと思って全く期待していなかったのですが、予想より遥かにシリアスな人間ドラマでした。
とは言っても、諸手を挙げて「傑作!!」と呼べるほど深みがあるわけではないですが、主人公のような境遇にある女性へのメッセージは明確にあるし、「男はみんなクズ」のような安易な結論で締めるのではなく、痛みを分かち合える男性の存在など、救いのある終わり方なのも![]()
まさに「拾い物」でした (^^)v
27歳の若さで急逝したイギリスの歌手エイミー・ワインハウスの半生を描いた伝記映画です。主演はマリサ・アベラ、共演はジャック・オコンネル、エディ・マーサン、レスリー・マンヴィル、ジュリエット・コーワン、サム・ブキャナン他。
エイミー・ワインハウスの存在はもちろん知っていますが、曲は一度も聴いたことがないので、この映画を「観る資格」はなかったのかもしれません。それでも、彼女がどういう人物だったのかを知る「入門編」のつもりで観てみました。
どう考えても長生きしないタイプですね…。
彼女の生み出す曲が、彼女自身の「破滅的な恋愛」の実体験を赤裸々に描くことで成立しているのですから、「まっとう」で「幸せ」な生活を送るようになったら、もはや曲は生み出せなくなるんでしょうし。
激情型で破滅型である一方で、「愛する男性と結婚して子供を産んで育てたい」という保守的な願望を持ち合わせている二面性も彼女の依存気質の原因の1つのように見えます。
とにかく、彼女を美化することなく、彼女の生み出した曲のように赤裸々に描いているのは![]()
自ら歌った主演のマリサ・アベラはもちろん、役者陣は好演してますし。
ただ、依存症という現実にある深刻な社会問題に対するメッセージが全くないのはちょっと引っ掛かります。身近にいながら、ここまでひどい状態になるまで放置していた父親の責任について何の言及もないのは、映画化するにあたって父親から何らかの「条件」が課せられたせいなのではと疑ってしまいます。そして、どう考えても彼女を破滅させた元凶としか思えない夫の描き方も中途半端ですし。こちらも実名で登場させるにあたって「配慮」があったのかもしれませんが。
とにかく、彼女の最も近いところにいた2人の男性の責任をうやむやにして誤魔化すのは、このような悲劇が繰り返されることを見て見ぬふりをしているだけのように思えて仕方ありませんでした。
元特殊部隊員のボディーガードがVIPの娘である13歳の少女を守るために戦う姿を描いたノンストップアクションです。主演はロシュディ・ゼム、共演はジャンヌ・ミシェル、レティシア・エイドゥ他。
どこを取っても薄味で、明日にも内容は完全に忘れちゃいそうですが、主演のロシュディ・ゼムの説得力で、一応「観られる」レベルにはなっていますし、時間つぶしには悪くないです。
が、それ以上のものではないです。
16世紀半ばのチューダー朝の英国を舞台に、暴君として悪名高いヘンリー8世の6番目にして最後の妻キャサリン・パーが自らの生き残りを懸けて戦うさまを描いた歴史ドラマ映画です。主演はアリシア・ヴィカンダー、共演はジュード・ロウ、サム・ライリー、エディ・マーサン、サイモン・ラッセル・ビール他。
→ Wikipedia「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」
ヘンリー8世関連の映画は好きなのでちょっと期待していたのですが、期待値が高過ぎたのか、肩透かしを食らった気分。
キャサリン・パーの生涯ではなく、彼女の「生き残りを懸けた戦い」に焦点を当てるアイデア自体は悪くないんですが、散々引っ張っておいての呆気ない結末に「これまでの視聴時間を返せ」と言いたくなる人は少なくないんじゃないかと思います。
どうせ史実を無視して脚色しまくりなんですから、もっと映画としての面白さを追求しても良かったと思うんですよ。
とにかく、キャサリン・パーを描くなら、彼女の教養の高さ、そこにヘンリー8世が惹かれたことや、庶子の身分に落とされていた2人の王女を呼び戻して王位継承権保持者の地位に戻すことに尽力したこと、国王代理の摂政として活躍したことなど、彼女の「功績」に焦点を当てた方が良かったんじゃないかと思います。
43歳のゲイの中年男性と16歳の少女の逃避行を描いたドラマコメディ映画です。主演はリュドヴィック・ベルティロ、共演はアフシア・エルジ、ピエール・ロール、リュック・パラン、フランソワ・クラヴィエ、パスカル・オベール、ジャン・トスカン、ジョルジュ・ヴォール他。
ものすごく変な映画。
なので「バカバカしい」「くだらない」「つまらない」と思う人も多いはず。
でも、めちゃめちゃ面白かった (^O^)
とにかく主人公をはじめ、登場人物たちが揃って「自由」。
「何でそうなる?」と思いつつも、「何でもありだな」と笑っちゃう (^^)
真面目に観たらダメな映画 (^^)v
1978年に起きた、イタリアの元首相アルド・モーロの誘拐事件を多角的な視点から6部構成で映画化したサスペンス映画です。主演はファブリツィオ・ジフーニ、共演はマルゲリータ・ブイ、トニ・セルヴィッロ、ファウスト・ルッソ・アレジ、ダニエーラ・マッラ他。
観応えがありました。
映画の中でも明記されているように、事件を客観的に描いたものではなく、再構築・再解釈した作品なので、この映画の内容をそのまま事実と受け取るべきでないことは確かです。
その一方で、同じ題材を「夜よ、こんにちは」('03) から約20年ぶりに再び映像化したマルコ・ベロッキオ監督が、この事件をどのように捉えているかがよく分かります。
当時から噂されている政敵による陰謀説は否定しつつも、結果的に当時の政府に「見捨てられた」ことを強調しているのは印象的。しかも、それをアルド・モーロ本人を含めた5人の人物の視点から描いているのも![]()
ただ、最初から最後まで気になったのは、アルド・モーロと近しかった当時の内務大臣フランチェスコ・コッシーガを演じたファウスト・ルッソ・アレジ。本作の演技でダヴィッド・ディ・ドナテッロ助演男優賞にノミネートされるなど、高く評価されているようですが、その不自然過ぎるメイクにしろ、演劇調の大仰な芝居にしろ、「悪人ではないが情緒不安定で無能」という役柄の表現とは言え、違和感は拭えず。彼が登場するたびにシラけてしまいました。
ロンドンに暮らすパキスタン系イギリス人の女子高校生が、大富豪の御曹司との見合い結婚を決めた姉を翻意させようと大暴走するさまを描いたアクションコメディです。主演はプリヤ・カンサラ、共演はリトゥ・アリヤ、ニムラ・ブチャ、アクシャイ・カンナ、セラフィーナ・ベー、エラ・ブルコレリ、ショナ・ババエミ他。
あまり期待していなかったせいか、意外に楽しめました (^^)v
中盤までは主人公の幼稚すぎる言動にドン引きしてしまって視聴自体が苦痛でしたが、その後の荒唐無稽な展開が![]()
イギリス映画とインド映画のいいとこ取りのような世界観も新鮮で![]()
華やかな衣装も印象的な娯楽映画でした (^^)
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの小説を原作とし、ノルウェーのオスロを舞台に、怪奇現象によって死の世界からよみがえった者たちと、その不在を悲しんでいた家族との不気味な再会劇を描いたホラー映画です。主演はレナーテ・レインスヴェ、共演はビヨーン・スンクェスト、ベンテ・ボアシュム、オルガ・ダマーニ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー他。
いわゆる「ゾンビもの」ですが、そんな手垢のつきまくった題材も、描き方を変えるだけで、全く違った趣になる、そんなチャレンジをした物語という感じ。
単なるホラー映画ではなく、観る者に「もしあなたの亡くなった愛する人が死体のまま蘇ったら、どうするか?」と問いかけてくる、異色の人間ドラマでした。
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