看護師・介護福祉士人材派遣の矛盾
OFW、つまり海外出稼ぎ労働者からの送金額が、フィリピンのGDPの13%だか15%だかと言われているフィリピン。その出稼ぎ労働者達の手続きを行っているのがPOEA。
なので、ここも相変わらず、人、ヒト、ひと
今回は、EPAの協定に基づいてフィリピン政府と日本政府間で実施されている、看護師、介護福祉士の派遣事業に関してヒヤリングした。
数字の情報なんかももらったけど、フィリピンからの看護師の派遣は2009年から開始されていて、看護師の入国者数は合計で約300名。介護士の入国者数は合計で約480名強。
が・・・
大きな問題点として、これらの看護師、介護士が長期で日本に滞在するためには、日本の国家試験を日本語で受験し、そしてパスしないといけないという、極めてたかーーーい、ハードルが設定されている。
その結果、国家試験をパスした人の数は、
看護師が累計で、25名
介護士が累計で、43名
三年、四年かけてやっとこの数字。
入国前に6ヶ月、入国後に6ヶ月も猛特訓し、その後も施設の協力や、政府や地方自治体の補助金なんかで日本語の特訓をしても、国家試験に落ちた人は帰国しないといけない。金と時間をかけて、何百人も教育しても、結局残れるのが数十名という現実に対し、何のためのEPAなんだろう?というのが率直な印象だ。政府間の政策として、こんなんでいいのかね?
人の命を預かる仕事といえばその通りなので、高いレベルの日本語が求められるのは理解できるけど、外国人に日本語の国家試験を強いる事そのものに大きな疑問。
今後益々高齢者が増えて、ニーズが高まるこの分野。少子化の日本では、外国人の労働力に頼るしか解決の道はないと思うのだけど、今のスキームではあまりにも現実離れしている気がする。
もちろん日本での就労者は日本人と同様の賃金が保証される。が、その額は実は、欧米諸国に比べたらすごく低い。となると、そもそも、時間と金をかけて、苦労して日本語を習得し、国家試験のハードルまで越えないといけないという仕組みの「日本」に対して、応募したいという人そのものがいなくなるのではないか?
ドイツも同様に政府間で同分野の派遣を開始した。ドイツ語の取得は必要要件だけど、現地の言語での国家試験パス、という仕組みにはなっていない。
サウジアラビアなどは、オンラインで現地の試験を受けることが出来る仕組みが既に出来上がっている。
カナダなどはそもそも移民を受け入れているから、本人だけでなく、家族も一緒に移民する。賃金もすごくいい。
当然それらの国に優秀な人材はどんどん流れていく。
日本はこの分野の労働力補強は必須。
今の制度では通用しないし、他の国に勝てないのは明白だけど、これからどうするんでしょうね??
色々な意味で矛盾が多いなぁ。