フィリピン人材派遣事業の矛盾 | マニラではたらく社長のブログ

フィリピン人材派遣事業の矛盾

昨日より、我が地元である千葉県から、県会議員さんの一行がマニラに来訪。

通訳、案内役を兼ねてアテンドしているが、今日訪問したのは日本向けにフィリピン人のワーカーを派遣している会社さん。

千葉でも農業、畜産、水産、そして製造業系はやはり人材不足及び老齢化が著しい状況であるが、その改善策として、フィリピンの労働力を日本に派遣していく仕組みづくりについて協議した。

訪問した会社はかなりしっかりした派遣会社

http://chartreuseph.com

日本人の講師により、基本的な日本語をマスターさせた後に、日本の組合を通じて、労働者を派遣していく。


溶接工などの建設現場のワーカーをメインとし、農業などの労働者を派遣。施設で研修を受けている間は、一つ屋根の下で共同生活をして、合宿生活を行いながらチームワークを磨いていくような仕組みになっている。

研修期間中は、「技能実習生」のポロを着て、皆、頑張って研修。もう必死だ。。。

家がちゃんと投資して大学までの教育を受けた子達は、コールセンターなりの仕事の機会は出てくるが、こういったワーカーの子達は殆ど高卒。日本で言えば中卒。学歴がないので、フィリピンにいてはまず仕事には就けない。

教育水準が高くなってきたと言われるフィリピンだけど、実際はフィリピンの若者の大半は、この層に属する。なので、仕事に就けない人が余って余ってしょうがない。その層を、人手不足と老齢化、そして跡継ぎ不在でで大変な苦労をしている、日本の農家や畜産などに派遣していく仕組みは、需要と供給を完全にマッチさせたビジネスモデルで、双方にとって、確実に、WIN/WINの関係を築けることと思う。

が、ここに、二国間の法律面、制度面で大きな矛盾が発生している。

それは今の二国間の関係では、上の写真のように、あくまでも、

「技能実習生」

ということで、実習生、いわゆるインターンという取り扱いでしか、ビザが出せないことだ。基本一年契約で、MAXでもたったの三年。

一年経って、二年経って、ようやく仕事にも、環境にもなれて、言葉もバリバリ出来るようになった頃に強制的に帰国しないといけない。そして彼らは二度と戻って来れない。

実習生なので、実習期間として、一年くらいが妥当という制度なのか分からないが、実際は、完全な、

労働者

なんです。

来る人も、雇う側も労働者として認識しているのに、法律と制度だけが、インターン。バカな話だなと思う。

日本に来る前に一生懸命日本語も勉強し、来た後も一生懸命仕事をし、やっと慣れたと思ったら、強制帰国。

建前上、実習生という枠でしか来れないからだけど、これでは来る方も受ける方も不便でしょうがない。

帰国しても仕事がないから、帰りたくないので、強制的に帰らされる前に逃避する。で、後になって、オーバーステイが多いとかで問題視される。


日本の場合、制度や法律を変えることは容易ではないのは分かってはいるけど、矛盾点に皆が気づいている変えることが出来ない。


EPAなんかも、こういった部分の見直しをしっかり行い、中央政府がしっかりとしていかないことにはなかなか改善しない現象だろうね。


矛盾だらけでもったいないな、とつくづく感じました。