その6では陣地の東側に残る空中聴音機掩体と思しき遺構を見に行きます。
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(過去記事)
北九州の防空㊵ ~風師山高射砲陣地 その1(概略と陣地南側の探索)
北九州の防空㊶ ~風師山高射砲陣地 その2(電波標定機周辺)
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1948年の空中写真だと右上の場所となります。
見取図です。
道路から山に入ると瓦礫が転がる平坦地があります。北側の高い位置に上がると複数の塹壕や掩体が築かれていますが、その中でもひときわ大きいすり鉢状の円形窪地を聴音機掩体だと推測しています。
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道路脇に瓦礫が転がっています。
ここから山に入ると広めの平坦地があります。
建物跡は確認できませんが瓦礫はたくさん転がっています。
陶器の瓦礫もあります。
平坦地北側はヤブですが、矢印から一段高い場所に上がってみます。
平坦地Aに上がりました。
平坦地Aから幅広に窪んだ道があります。
30mほど進んで突き当たりました。見取図ではここを窪地(B)としました。
窪地(B)を見下ろしていますが、なんとなく円形っぽく見えます。
窪地(B)と土塁を挟んで平坦地(C)があります。
北側から見ると土塁を挟んでいるのがよく分かります。
平坦地Cから北に進ると...
円形に窪んだ窪地Dがあります。
窪地Dの右隣りにすり鉢状に窪んだ円形窪地があります。これが聴音機掩体です。
繁っているので少々分かり難いですが、中央の黄色線に向けてすり鉢状に窪んでいます。なお、ちょーアバウトな計測で全長約22mでした。
中に入ってみました。これくらいの高さ(深さ)があります。
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空中聴音機は接近する敵機の爆音を聞き取って位置、進行方向などを探知する兵器です。陸海軍共に使用されましたが、聴音機を置いた掩体は直径20m級の大きな円形窪地であるのが特徴です。
陸軍では聴音機と照空灯をセットで配備した照空隊が各地に展開しており、北九州・関門地区でもこれまで数多くの照空陣地の遺構を確認しています。ただ、現地では大きく窪んだ円形窪地だと判別できても写真では茂みや木漏れ日が邪魔をして伝わらないんですよねぇ(^^;
石峯山の聴音機掩体と思しき円形窪地。
対して海軍は、聴音機と探照灯をセットにした聴測照射所と呼ばれる見張所を展開していました。掩体はほぼ同じ形状ですが、内部に据付台座が残っていることが多いのが特徴です。
周囲が刈られて形状がよく分かる大水無瀬聴測照射所の聴音機掩体。中に人がいるので大きさも分かりますね。
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さて、風師山で見つけたこの大きい円形窪地も聴音機掩体だと思われますが、聴音機掩体の標高は230mに対し砲座標高は270mなので砲座より低い位置に置かれています。正直、同一標高以上の位置にあると思っていたので意外だったりもします。
また、各地の照空陣地の遺構を見ると、聴音機と照空灯の位置は近接した配置であることが多いですが、風師山の照空灯掩体は最左翼にあったと推測しました。ちょっと離れ過ぎでは?と少々疑問に思うところですので、もしかしたら平坦地Aや窪地Bが照空灯掩体だったのかもしれませんね。
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掩体の横に塹壕が走っており、折れ曲がって東側に下っています。
結構長いです。
塹壕の道筋は消えましたが、道路が見える所まで下って来ました。
以上で風師山高射砲陣地跡で確認した遺構のすべてを紹介し終わりましたので、これにて6回に亘ってお送りしたレポートを終了します。