店舗経営・賃貸経営困った時に読むブログ -64ページ目

経営改善の実例Part2

今回のお話は経営改善と言う程ではありませんが、私がサラリーマン時代に実際に行った実例です。
いかに、「影響度の大きい」ところから仕事をすべきか、「可視化」(数値化)が重要であるかお話しして行きます。にひひ

数字が出てきますので、ちょっと複雑に思えますが、ゆっくり想像しながら読んでみてください。べーっだ!

月に平均約5000万円の売上があるクライアントがいました。仮にA社としましょう。
A社の粗利率は10%。つまりA社からの月の粗利益はおよそ500万円です。

詳細は言えませんが、A社は簡単に言うと、私の会社から材料を仕入れ、ある物を作ると言う会社です。私の会社はメーカーから商品を仕入れる商社です。


まず、ここで最初にしたことが、「可視化」目です。
ここ1年のA社の売上(5000万円/月×12ヵ月)=6億円の中身を見て行くことにしました。

中身を見る「可視化」の基準は、売上・粗利をメーカー別に順位付けをすることにしました。
その根拠は、A社の業界ではある物を作る時、ある材料はこのメーカーから、またある材料は別のメーカーから、とはできず、一つの物は全て同じメーカーの材料で作らなくてはならないからです。
ですから、どのメーカーの材料を良く使うのかを「可視化」目しました。
A社の取扱いメーカーはおよそ200社です。

結果は・・・

なんと売上・粗利ともに80%以上が1社に集中いていました。!!
この会社を仮にB工業とします。

この数値を元に私はB工業に交渉を始めました。
詳しくは長くなるので割愛しますが、結論から言うと、
「A社用の材料を全て3%値下げ」してもらえるようにしたのです。

一方で、A社にはB工業の材料は今まで通りの価格で販売し、その代わりに行ったのが、B工業の材料で物を作る時に使う道具や副資材を出来る限り安価にしました。
つまり、3%値下げしてもらって出来たお金の一部を道具や副資材の値下げ分に充てたのです。

このことにより、A社はB工業の材料価格が下がらなくても、さらにB社の商品を買ってくださるようになりました。!!

もちろんA社には、B工業の仕入れが下がったなんて言ってません。
ただ、道具や副資材を格安で販売させて下さいと言っただけです。
道具や副資材の売上・粗利割合は全体の5%にもなりません。

「3%の値下げ」交渉後、一年間の結果を、前年度と比べると以下の通りです。

売上:6億円→7億2千万
粗利:6000万円→9216万円
粗利率:10%→12.8%

売上が上がったのはA社の営業努力が大きく,うれしい誤算でしたラブラブ!
ただ、道具や副資材を格安にしたのが売上向上の一因になったと思いますし、実際A社の方もそれを強みに営業をかけて行きました。
売上が上がり、粗利率が高まれば、当然粗利額も増えます。

もし「3%の値下げ交渉」をしていなければ、売上が上がっても

粗利:7200万円(値下げなし)
粗利:9216万円(値下げあり)

差額は2016万円です。

この例で、「可視化」して「影響力」の「大きな」ところから手を付けて行くと、結果も「大きく」なると言うことがおわかりななるかと思います。べーっだ!

「3%の値下げの交渉」は3日間で終わりました。
つまり、たったの3日間の仕事で、2016万円の粗利益が作りだされたのです。

もし売上が前年と同額(6億円)であっても

粗利:7680万円(粗利率12.8%)
粗利:6000万円(粗利率10%)

差額は1680万円

でした。

逆に、売上、粗利が全体の1%にしかならないメーカーに「3%の値下げ交渉」をしても、費やす時間は変わらないのに(むしろほとんど買っていないので時間がかかるかもしれません)、結果は「小さい」と言うこともイメージしてください。

(A社がB工業に8割も依存しているのは危険だという論議は別問題です。ここでは「可視化」と「影響度」のお話をしているので。)

今回も長くなってしましいました。
皆様も自分のお店、会社の「影響度」の大きなものを探してみてください。べーっだ!


人気ブログランキングへ

経営改善の実例

賃貸経営と書いておきながら、なかなか不動産のお話が出なくて不動産関係の方お待たせしました。ショック!
今回は駐車場経営改善で私が実際に行った実例をお話します。
商売はどんな業種でも本質は一緒ですので、不動産関係でない方も我慢して読んでみてください。べーっだ!

都内23区で自宅近隣に3つの駐車場を経営されている大家さんからの依頼です。
現状80台分のスペースに42台しか契約が無い状態でした。あせる
近所の不動産会社に全てお任せで、不動産会社からはもっと賃料を下げなくては埋まらないと言われていたそうです。叫び

前回までお話した通り

1:顧客第一で(顧客の視点で)
2:顧客にとって影響度の大きい所から始める
3:可視化(数値化)して物事を捉える

これをベースで進めて行きます。

まず「顧客」が誰なのかを「可視化」しました。
すると、

近隣の方:35人
遠方の方:7人

遠方の方の7人中4人が個人タクシーの方。3人が近所の会社へお勤めの方。
また、近隣の方の中に4人の個人タクシーの方がいらしたので、
個人タクシーの方は合計8人です。

ですから一番影響度が高いのは、「近隣の方」ですね。ここから手を付けます。ビックリマーク

顧客(近隣の方)の視点で駐車場を見ると、

① 駐車場に空きがあるのかないのかどうか分からない
② 空きがあってもどこへ頼めばいいのか分からない

状況でした。
ですから、近隣の方がすぐに分かる様に各駐車場に「空きあり」お問い合わせは「××へ」と明記した看板と、更に、のぼりを同じ内容で各駐車場に20本づつ取りつけました。
大家さんには派手な看板とのぼりが「歌舞伎町みたい」と笑われました。ショック!

ただ、顧客の立場を考えれば、「空いている」と分かったとしても、現在契約している駐車場を解約してまで、わざわざ別の駐車場に移動するメリットがありません。

そこで、顧客にとってのメリットを作りました。

① 敷金、更新料は一切頂かない。
② 不動産屋管理から自主管理に切り替え事務手数料は頂かない。
③ お話の中で、今の方が安ければ同額にする
④ 移動し易い様、初月度は日割り(プラス何日分サービス、数百円ですが・・)

不動産屋さんの立場から考えれば、この駐車場は数ある駐車場の中の一つにしか過ぎません。
自主管理であればもちろん自分の駐車場の満車のことだけを考えます。
また、月々の賃料は変わらなくても、手数料・敷金・更新料のメリットが出たことで、一気にお問い合わせが来ます。にひひ

ここで気を付けたいのが、お問い合わせに対する対応です。
対応次第で顧客の満足度が大きく左右します。
この件では依頼者がかなりの高齢ということもあり、全て私が対応しました。
どういった対応かは長くなるのでお話しませんが、なるべくお客様の要望にお応えする事が一番です。
ホテルマンの対応をイメージしてください。

上記だけで、3か月で25台決まりました。
ほとんどが口コミです。口コミほど素晴らしい宣伝はありません。
無料ですし、何より「顧客が満足してる」証しです。グッド!

次に手を付けたのが、個人タクシーの方々です。
人数は8人ですが、実は個人タクシーの方々は屋根付の駐車場に入られているので、賃料が屋根なしの倍です。
ですから、売上の割合として影響度も少なくないのです。

ここでも、個人タクシーの方々へメリットを作ります。

① 一人ひとりに木製の看板を作成しプレゼント
  ※個人タクシー経営者は、陸運局に作成した看板を撮影し提出しなければなりません。
② 他の個人タクシー経営者をご紹介くだされば謝礼金を差し上げる
③ 個人タクシーの方々の年末の飲み会代を毎年負担を約束(個人タクシーの会と言うのがこの駐車場にあるのです)

そして、同時にコイン式パーキングを導入し長期の固定賃料が約束されました。

そして最後に、せっかく入って頂いたお客様にはずっと満足して頂けるよう、
駐車場の巡回、清掃はもちろん、時には直接困っている事・ご要望はないかお聞きし、
常に満足の状態を保つようにすることにより、今では駐車場の「空き待ち」状態になっています。チョキ

ここまでで4カ月半です。

いかがでしょうか?
基本的に行った事は3つだけです。

1:顧客第一で(顧客の視点で)
2:顧客にとって影響度の大きい所から始める
3:可視化(数値化)して物事を捉える

どんな商売でも基本的な考え方は同じです。
ただ、それを丁寧にかつ徹底することが難しいだけです。

次回も実例でお話します。ニコニコ


人気ブログランキングへ

商売・経営の改善どこから手をつける?Part3

前回、前々回と「顧客」の視点から影響度の大きい順に仕事をして行きましょうとお話しました。
そして、「パレートの法則」について簡単に勉強し、仕事を「可視化」つまり「数値化」して行きましょうとお話しました。

今回はその補足説明になります。(前回、前々回をお読みで無い方は、お手数ですが戻って読んで見てください。ショック!

よく、「パレートの法則」(20:80の法則)を語る時、こんな言い方をされる方がいます。

「売り上げの8割を上位から2割のお客様が占めているのだから、下位の8割の顧客は切り捨てる。」
「売り上げの8割を上位から2割の商品を占めているのだから、下位の8割の商品は切り捨てる。」

確かに、影響度・重要度・緊急度に関して言えば間違えではないかもしれません。
私ももし、「どこから仕事に手を付けたらいいですか?」と問われれば頭の2割から始めてくださいと申し上げます。

しかし、「切る捨てる」はいかがなものでしょうかはてなマーク
ビジネス本などでは、読者へのインパクトを考えて、「上位2割以外は切り捨てろ」的な本もあります。
ただ、下位8割の顧客や商品の中にも、上位2割になる可能性は大いにありますし、その逆もあるということも常に頭に入れておくべきでしょう。

上位の2割は常に入れ替わっています。ビックリマーク

ですから、「可視化」して数字を確認することが重要になってきます。

また、「可視化」のお話を経営者の方にお話しすると、すぐにこんなお答えが返ってきます

「システムを導入することにしました。」
「POSレジを買うことにしました。」

確かに「可視化」するには便利です。
ただ本当に必要なのでしょうか?

例えば、個人商店でPOSレジを入れたとします。
本体の金額はウン十万円、保守費用も月々かかります。
個人商店で生み出す最終的な利益を考えたら、そこまでお金を払う意味があるでしょうか?
POSレジを使うために利益を作るようでは、本末転倒です。ショック!

例外ももちろんありますが、個人商店なら通常のレジを使いながら、紙と鉛筆で数字をまとめるだけで十分です。(パソコンが使えるなら、もちろんそちらの方が良いです。)

前回までをかんたんにまとめると

① 商売・経営では「顧客」が一番大切(顧客第一)。
② 商売・経営の改善は「影響度」の大きいところから始めよう。
③「可視化(数値化)」して物事を把握しよう。

とお話してきましたが、お話したことを極論で捉えず、大筋で捉えることが重要です。

「顧客」が何より大切とお話しましたが、お客様であっても極端なクレーマーであったり、暴力を振るうような方とはお付き合いしない方が良いと思いますし、
「可視化」して見ようと言っても、何から何まで数値化しても意味がありません。

ですから「常識」を働かせて、考えることもまた重要になってきます。
常識とはなんだろう?と、ふと考える時、私はいつもこの言葉を思い出します。

「世間は正しい」

これは松下幸之助さんの「商売心得帳」にある言葉の一つです。
(また松下幸之助さんですが、私はパナソニック関係者でも、宣伝してリベートを貰ってる訳でもありません。)

お客様が少なくなった、
売上が減った、
空き部屋が増えた、
アクセスが減ったetc

どんな商売をしていても、それが自分の商売への世間の評価で「世間は正しい」と思うのです。
ですから、自分の常識を世間の正しさに常に近づけて行く努力が必要なんだろうと思います。

また、長くなりました。
今回は説教臭くてすみません。しょぼん
次回は、私が実際に取り組んだ例をお話いたします。


人気ブログランキングへ