ダラクダラクダ13話(終り)・ラクダは去った
さて、ラクダがいなくなって、1カ月が経ちました。
「えええええ、急に話が飛んでるよ!」
軽井沢のぶきはそう言って、驚いた。
驚くのも無理はない。彼は何も知らない。
「俺は!一ヶ月間!何をしてたんだ!」
彼は自分の一ヶ月間を思い出す。
そう、いつものように仕事をして、でもいつもより結構頑張っていた。そしてロードバイクを復活させて、運動に励んでいた。結果、ラクダはやってこなくなってしまった。
「そうか、俺、頑張ったなあ」
そして、変なやつらがやってこなくなって、めでたし、めでたし。
「お、終りにする気ですか!」
軽井沢のぶきはそう驚く。
そう、物語はもう終わりなのである。
何でもない唐突な終わり方に、人気のなかった週間マンガ雑誌の突然の連載終了と同じような終わり方をさせてしまおうというのである。
「そうか、俺がやる気を持って頑張ったから終ってしまうんだね」
「いや、そうじゃないんだよ」
ラクダだ。ラクダの声がする。
さいごのお!だ、だ、だ、だーらーくーだー、だーらーくーだー、ら、ら、らくだのらくださん。だ、だ、だらくのらくださん。らくだのらくだ、だらくだ、らくだ、わ、わ、わわわわ、ワーンだーラぁーんどぉおおおおお
「やあ、のぶき君、久しぶりだね」
「らくだ。戻ってきたのか!」
「違う。わたしは新しいパートナーを見つけた」
「そ、それは?」
「そいつはね、この物語を書いている作者ってやつでね」
(そう、わたしはこの1ヶ月間、さらにやる気もなく、何も書かなくなってしまった。そしてそのおかげで、ダラクダラクダにすっかり取り付かれてしまったわけである:作者の話)
「と、いうわけで、わたしは消えはしないが、のぶき君、君とはお別れだよ。じゃっあねえ」
おわり。
「えええ、終わりなのぉ!」とのぶき。
(というわけで、今回の連載は打ち切りって感じで終わりだ:作者)
「じゃあ、作者さん、これからもよろしく!」
と言う、ダラクダラクダなのであった。
終了。
ダラクダラクダ・12話 わたしは遊ぶより寝て過ごす!
どーーーーーん
「どうしたってわけ?元気?」
僕が家で疲れて休んでいると、知らないおじさんがやってきた。
「どうしたの?そんなに疲れちゃって?何?寝てんの?」
「誰ですか、あんた。勝手に家に入ってこないでくださいよ」
口をたこのように尖らせて、鼻を膨らませた、目の大きな、艶々した黒髪のおじさんが寝ている僕を上から覗いていた。
「わ、わ、わーたーしーはーー、回転、カイテン、カイテンジャーさんですよぉ」
「何じゃそれ?いったい何なの?」
おじさんはいーとまきまきのように、両腕をクルクル回転させる。
どーーーーーーん
おっさんは体を壁にぶつけて、はしゃいでいる。
「うへっへっへっへっ!」
「ちょっとぉ!そんな事したら、隣から苦情来るでしょ!」
「だぁーーいじょうぶ。今、隣留守だから。電気付いてなかったよ」
「もう、いいですよ。それよりあなた、何なんですか?」
「だぁかぁらあ、回転、カイテン、カイテンジャーだって言ってるでしょ!」
「で、そのカイテンジャーさんは、何のようなの?」
「それはさあ、あんたがちょっとダラダラしすぎているから、よくないと思ってきてやったのよ」
「リョウシンジャーさんの知り合い」
「ああ、彼は、パチンコ批判したから、パチ屋の裏の人たちに消されてしまったの」
『う、こわ』
「そして、わたくし、回転、カイテン、カイテンジャーがやってきたわけ。だいたいリョウシンジャーじゃ、君を元気にさせる事はできないんでね」
「僕は、やる気がないんです」
だ、だ、だらくだらだら、だらだらだ、だらくだらくだのラクダさん。ダラクダラクダのラクダさん。やってきましたラクダさん。ダラクダラクダ、ららら、ラクダ、ニュー。ニュー。ν・ワーンだーらーーーーんど
「やってきたよ。ラクダですよ」
今度は部屋の窓から身長2mの立ったラクダがやってきた。
「のぶき君は、やる気がないのよ。それでいいんだよ」
「そうは、いかん!この世の景気を回転させるため!この、カイテンジャーのおじさんが、のぶき君を立ち上がらせるのです!」
カイテンジャーのおじさんは人差し指で天井を指し、びしっと決まって立っている。
「いいか!のぶき!働いて、金稼いで、金遣え。美味いもん喰って、良いもん買って、楽しもうジャン!」
「僕は、仕事に疲れているんです。お金もそんなに稼いでないし。いや、むしろ残業代でないから貧乏だし。やる気はなくなるばかりですよ。はあ、もう仕事したくない。俺は、ニートになりたい」
「だめえええええええ、だめ、だめ、だめ、そんな事だから、日本経済はダメなの!もっと元気にやっちゃおうよ、いっちゃおうよ。キャバクラ、ぱいぱぶ、いけいけ、遊んじゃお」
「おっちゃんの時代とは時代が違うんだよ。バブルじゃないんだよ」
と、僕は言う。
「だ、そうですよ」
ラクダはそう言って、僕の味方をする。
「酒が足りねえなあ。酒が!頭がクルクル回らないと、あったま回って、楽しくなっちゃえば」
「胃が、痛くて、酒なんて、飲めん!」
「はあ、だから、ダメなんだよ。最近のガキは!」
カイテンジャーのおじさんは手を開いて、じゃあな、のポーズ。
「また来るわ。俺ががんばってやっからよ」
そう言って、去っていった。
「はあ、何だか疲れるオヤジだなあ」と、僕はぼそっと言う。
「まあまあ、忘れちゃいなよ。何もかも。明日も、明後日も、何もかも忘れちゃいな」
はあ、ダラクダラクダ。僕はそのダメダメな感じ、それがとても、楽だ。
まだまだ僕は、この世界から離れられそうにない。
カイテンジャーのオヤジはまた来るのだろうか?
つづく
(新種のチャレンジャー登場です:作者の一言)
ダラクダラクダ・11話 心に栄養を頂かないわけにはいかない!
なんとなく生きている。なんとなく生きていても、僕は死なない。死なない限り生きている。この世の誰かと同じように生きている。
この数週間、何があったろう?何があったかも覚えていない。僕は数週間、生きていて、明日も生きている事だろう。
ここ数週間、ダラクダラクダさんはお休みしていてやってきていない。
代わりにリョウシンジャーがたまにやってくる。
ぴんぽーーーん!
「やあ、僕だよ!のぶき君。リョウシンジャーだよ!」
「どうしたんだい?こんな真夜中に?うちに来て」
「最近、ロンドンオリンピックばかり見ててね。ついつい夜になってしまうんだよ」
「リョウシンジャーがそんな不規則な生活をしていていいのかい?」
「ちっがーーーーーーう!ロンドンオリンピック!あの、一つのメダルを目指したアスリート達の闘い!あの!素晴らしさ!観ないわけにはいかないだろう!そうやって!心に栄養を頂かないわけにはいかないだろう!」
「じゃあ、リョウシンジャーもやる気がなくなっちゃうこともあるんだ」
「そりゃそうだよ。人生やってらんない事もたくさんあるもんだよ。でもね。リョウシンジャーとあるが故に、そこをダラダラした生活をして送るわけにはいかないんだよ。わかる?大変なんだよ」
「そうなんだ。やめちゃえばいいじゃん」
「とぅ!そうわいかない!そうはいかないぞ。そんな事を言っていると、奴が、奴がぁ、奴がぁああ、やってきてしまう!」
だ、だ、だだだだだだだださ、ださい、ださい、ださくさ、くさ、くさくさ、ちょうーくさい、だ、だ、だ、だ、だらくのだらくのらくださん。だ、だら、くだ、くだ、くだらない、らくだの、にゅー、にゅー、にゅー、わ、わ、わ、わわわわ、ワンダーらぁーーーーーんど
「俺を呼んだかい?」
「出たな!ダラクダラクダ!」
「そうだよ、出たよ」
「のぶき君は、最近やる気を見せて、君を追い返していたんだ!」
僕は、そんなやる気を見せた覚えはない。
「ちっげーよ!ただよ。最近くそ暑ちーじゃん。だからよ。ちょっと涼しい世界で涼んでいたわけよ」
僕が言う前に、ラクダが反論する。
「す、すずしい世界!それは!どんな世界なんだ!ラクダ!夏は暑いものだろ!」
「パチンコだよ。パチンコ。打ってたの!」
「な、なんだとぉ!あれこそ!あんな場所こそ!ダメ人間の溜り場だ!」
「ふわぁああああああ、お、おまえ!そんな事言っていいのか!世の中の、パチンコファンの皆さんを敵に回したな、リョウシンジャー!」
「そうだ!わたくしリョウシンジャーは、パチ野郎を認めない!あんな金を吸い込む装置!リョウシン的にNGだ!」
「ふぅうううん、そんな事言って、どうなっても知らねぇぜ。全国のパチファン、パチンコ業界の皆さんから葬り去られるぜ」
「でも!のぶき君は、パチンコはやらない!」
「そうだよ!だから、こいつの所には最近来なかったの!」
「つまり!のぶき君はダラクダラクダ!きさまはもうこの場に来る必要はないという事だよ。よかったな。のぶき君。これで君も、もう堕落の悪魔に取り付かれる事はない」
「でも、リョウシンジャー、パチンコやる人がダメ人間っていうのは、どうかと思うよ」
と、僕は言う。
「ぬおおおお、何だと!僕は、のぶき君!君の味方をしていたのに!その、ダメラクダの肩を持つのか!」
「いや、ラクダじゃなくて、パチンコやる人のだけど」
「いいさ、いいさ、好きにすればいいさ。もう!君とは絶交だ。うぇーーーん」
そう言って、泣いたふりをしながら、リョウシンジャーは真夜中の僕の家を出て行った。
「あ、どうも、ラクダさん、おひさしぶりです」と、ラクダに僕は挨拶をする。
「やあ、まあ適当に行こうや」
そう挨拶を返して、ラクダさんはまた僕の家でゴロゴロし始めた。
「いやあ、しかし、オリンピック、楽しいよね」と言って、ラクダはテレビを観ている。
ラクダもオリンピックに心の栄養を貰っているのだろうか?しかしこのラクダはどこまでいってもダメな堕落の悪魔のはず?堕落していても、心は生きる?
僕はラクダと共に、この夏を適当に過ごす。
人生頑張ってばかりも要られない。
(先行き不明ですが、つづけます:作者の一言)
ダラクダラクダ・10話 安らぎよりも堕落やろう。
この間、リョウシンジャーがやってきて、いろいろ大変だったけど、結局あまり生活は変わらないんだ。人間そんな簡単に変わるものじゃないさ。
「おっつかれぇ」
わーれは、らくだ、らくだ、らくだだ、だらく、だーらくだ、だらくだ、だらくのらくだ。らくだ、だ、だっだっだっ、わーれは、らくだ、らくだ、だっだっだっのらくだ。だらくだ、らくだ、にゅぅ、わぁーん、だぁー、あ、らんど。
ラクダは今日も僕のアパートにやってきた。いつも僕の生活はニートのように家から出ない。ちゃんと働いているんです。安月給19万3千円で働いてるんです。ボーナスは15万円しかありませんでした。出るだけ幸せです。きっとそうなのです。
はぅ!ついムダな告白をしてしまった!軽井沢のぶき!だぁーいしったぁーーい!
と、心の中で一人で騒いでる。
でも、税金高いし、アパートの更新料払わなくちゃならないし、何も買えねえ。いつだって貧乏だ!どうせ俺は、びんぼーーーーだーーーーーーー!
と、心の騒ぎが止まらない。
「とぅ!大丈夫か、軽井沢青年。今、わたしが君を助けにやってきた!」
リョウシンジャーがやってきた。
「なんだよ。またおまえかよ」と、ダラクダラクダが言う。
「今、わたしには軽井沢青年の心の苦しみが聞こえたんだ」
「リョウシンジャー!今日は緑色じゃないか!」
「そう、今日は緑のコスチュームに変えてみた。その名も、リョウシンジャーァ、グリーーーーン!」
コスチュームを変えたって、おまえ一人二役かよ。と、心の中で、ドンビキの僕。
「わたしが心の安らぎを君に与えてあげよう(にっこり)」
(にっこり)は仮面でわからないので自分で言っていた。
「その必要はないぜ!彼はこのラクダさんが楽にしてやってるんだ」
「おまえのやっている事は!安らぎとは違う!この!堕落野郎!」
「めんどくせーな、やるのかよ。この緑亀野郎!」
「むむむ、わたしは亀ではない!」
ラクダは立ち上がる。(さっきまで寝っ転がって、鼻くそをほじっていた)
「食らえ。堕落の鼻くそ!」
それを使うのか!
「むむむ、なんてお下品な!わたしの美しい緑のコスチュームをそいつで汚そうというのか!そうはさせないぞ」
「ええい、ええい」
「おい、やめろ!それはやめろ!」
ラクダはリョウシンジャー緑に迫る。
緑は玄関へと逃げてゆく。
「く、くそ、覚えていろ!いつかおまえを倒してやるからな!」
そう言って、リョウシンジャー緑色は去っていった。
ラクダは鼻くそを壁にこすりつける。
「うわっ」と僕は言う。
「まあ気にするなって、その内かぴかぴになって、ちょっとしたただの汚れになる」
そう言って、ラクダはまた寝っ転がる。
僕も何かを考えるのが、めんどくさくなった。
毎日の生活が続く。毎日会社に行って、帰ってダラダラして寝る。金がない。けど、節約とかもめんどくさい。借金せずに何とかやっている。なんとか地デジTVだって買ったんだ。テレビを観ながらダラダラするぞ。明日も仕事だ!
毎日毎日、僕の部屋は汚れていくけど、これで生きていくんだ。毎日毎日、新しいアイドルがTVで生まれる。僕はそれに喜んで生きていくんだ。
僕は今日も、ダラクダラクダと共に生きている。
(なんだかわからないが、つづく、である。)
ダラクダラクダ・9話 わたしが助けにやってきた!
「大変です。ラクダさん、知らないマスクマンが玄関の前に立っています!」
部屋で漫画を読みながら横になってポテチをかじるダラクダラクダさんにその事を伝えた。
「何だよ!今いいとこなんだよ」
と、ラクダさんは言った。
僕は玄関に戻り、覗き穴から外を見る。そこにはゴレンジャーのような赤いマスクをした男が動かずに僕が出てくるのを待っているみたいだ。
絶対怪しい。絶対怪しいが、このまま、ゴレンジャーを家の前に放っておいていいものだろうか?それはつまり、何だか僕が悪い事をしているかのような気持ちにさせられるわけだ。いろいろな意味で。
ガチャ!
「おい、何なんだよ。おまえ、誰だよ」
「とお、良かった。軽井沢へたれ君。君はまだ無事だったんだね」
「へたれじゃないよ。のぶきだよ。一時もかぶってないよ。それ間違えでもなんでもないよ。いったいなんで僕が軽井沢って苗字だって知ってる?」
「ラクダは中にいるのか!」
「ええ、あなた、あのラクダを知っているの!」
だ、だ、だ、だーらくだ。だ、だ、だ、だーらくだ。らくだだらくだ、わんだーだ、わんだー、わんだー、にゅーにゅーにゅー、わんだーだ。だだだ、だぁらくだ、らくだっ、わんだぁーらんど。
そして、ダラクダラクダさんは玄関前にやってきた。
「来たな!リョウシンジャーレッド」
「ラクダ!こんなところにいたとは。探したぞ。今日こそ、おまえを神世界のハローワークへ連れて行ってやる!」
「いやだね。俺は働かない!それよりリョウシンジャー、中でポテチ喰いながら、マンガ読まねえか」
「とお、そうはいくか、ダラクダラクダ。おまえの堕落光線は食らわないぞ!」
「いつも言うように、俺はそんな光線持ってねえよ。まあいいや、じゃあ、元気でな、リョウシンジャーレッド。俺は今、のぶきの隠し持っていたエロマンガに夢中なんだ」
僕はたまげる。
「な、なぜ!それをおまえが持っている!」
「ふふふ、この3ヶ月。もう俺はおまえの部屋の全てを把握してしまった。おまえの隠している全てを知っているんだ」
「や、やめてくれ」
「そうわいかない。まだ15冊も残っている。全部読ませてもらうぜ!」
「軽井沢ヘンタイ君。このリョウシンレンジャーが何とかしていやる。とお」
「ヘンタイでは
ないっす」
ダラクダラクダは再び僕の部屋の中へと入ってゆく。そしてそれを追って、僕の家の中にリョウシンジャーレッドが入っていって、狭い台所を通って、(自転車は家の外に出された)6畳一間の僕の部屋へ。
僕の隠し持っていたエロマンガが散らかっている。さっきまでヤンジャンを読んでいたラクダはいつのまにかエロマンガを部屋の中にばら撒いている。
「な、何てことだ!」と、リョウシンレンジャーは言う。「い、いかんぞ!いろいろいかんぞ!全部処分するんだ!」
「それは!やめてくれ!」と、思わず僕は叫んでしまった。
「残念だったな、リョウシンジャー」ラクダは太い声で言う。「そこにいる男、軽井沢のぶきは俺が認めたダメ人間。簡単に俺がここを離れられると思ったらおお間違いだぜ」
「軽井沢ダメダメ君。このままじゃダメだ。もう一度やり直さないか!」
「僕は!ちゃんと働いている!そして働いて、マンガを買ったんだ!好きにさせてくれ!」
「い、いかん。そのままじゃいかん!頑張らんといかんのです!」
僕は思った。このリョウシンジャーレッドというキャラ、めんどくさい。まだラクダの方がいい。結局人間は、楽な生き方がいいのです。僕はダラダラ生きたいのです。
冷たい目で、僕はリョウシンジャーを見つめる。
「な、なんだと!」リョウシンジャーは後ずさりする。「むむむっ。わかったさ。わたしはいずれ、君を助けにやってこよう。今日は一度引こう。ラクダ!覚えておけ。わたしは必ずおまえをハローワークへ連れて行ってやる!覚えて置けよ!」
そう言い残して、リョウシンジャーはマントをはらりと翻して去っていった。
なんだか、僕はちょっとだけ心が痛かった。ああ、僕は・・・・。
ラクダはエロマンガを見ながらポテチを食べ続けていた。
(こんな方向性になっています:作者の一言)