この病気(聴神経腫瘍)であることが確定すると、
辛い現実が突きつけられる訳です。
小さいうちに腫瘍が見つかれば、
治療法が選べます。
経過観察か、放射線治療か、手術か。
そして、聴力の温存の可能性も高くなります。
私のように、すでに大きくなってしまっていた場合は、
その後の選択の余地はほとんどありません。
いわく、
治療(手術)目的は、
今の状態を改善することではなく、
命の危険を回避すること。
手術をすれば、聴力の温存は難しい。
患側の右耳は聴こえなくなってしまう。
つまり、生活をする上で
確実に今よりも不便な状態になる
ということです。
おさらいすると、
腫瘍が発生した聴神経というのは、
バランス感覚を伝える上下の前庭神経と
音を伝える蝸牛神経の3つが束になっています。
聴神経腫瘍はほぼ9割以上、
前庭神経を覆っているカバーのような部分から発生するそうです。
腫瘍の発生元の前庭神経は、
当然、腫瘍もろとも切除されてしまうので、
患側のバランス機能は使えなくなりますが、
これは反対側が機能して
通常の生活には支障ない程度に回復します。
問題は聴力です。
私の場合、手術の際に
蝸牛神経は外見上つながった状態で残されました。
解剖学的には温存されている状態です。
しかし、この神経は外的な作用に非常に弱く、
ちょっとした刺激で簡単に機能しなくなってしまいます。
手術中に神経モニターの信号が途絶えているため、
回復することはないそうです。
片耳が全然聴こえない世界というのは、
いったいどんな世界なんだろう。
この先、どんな世界が待っているのか...。
ステレオで音が聴こえない
音のする方向がよくわからない...
手術までの数カ月間、
まだ、わずかに聴こえる右耳に指を突っ込んで、
片耳が聴こえない状態をシュミレーションしたりとか
いろんな状況を想像しては落ち込んだものです。
つづく..(^^;
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