施設に戻って、良いことがあった。
時期的に介護士さんたちの入れ替えがあり、新しいメンバーが。
その中に50年配の男性がいて、彼が母のフロアーの担当に配置された。
驚きました。
本当に驚きました。母は幸運なのか、これまで自分以外の人達に尽して来た人生の
ご褒美なのか・・
この男性介護士さんAさんの介護振りは、まるで自分の母親に精一杯尽すが如くの
献身的な対応
食事介護は、もう何も口に入らないので一口食べさせるのだけでも大変
スプーンで口元に持って行ったって、はい、食べて!と言うわけには行かない。
これを実に根気強くやってくれていた。
入居者を〇〇様と呼ぶ、この施設だが・・
「はい、おかあさん、おいしいよ。少し食べてみようか?ね?ほら・・あ~
そうそう、えらいな~食べられたね?ゴックンはゆっくりでいいからね。慌てないで・・大丈夫?アァ、えらいえらい。出来たよ。大丈夫だよ。こうやって少しずつ食べて行けば、元気になるからね・・」
と、こんな具合だ。10年以上のキャリアがあるそうで、流石だが
彼はただの年数ではなく介護士の仕事に真剣に向き合って、どうしてやったら
お年寄り達が少しでも幸せ気分になれるんだろう・・と、いつも模索して勉強しているそうだ。
私が居るからではなく、不意に行っても彼の担当だと同じようにしているから
誠心誠意の人なんだろうな・・と感じた。
そして、もう1人
この施設では初の外国人・・インドネシアの若い女性がきてくれた。
Aさんに教えられながら「はい、はい」と真剣に学びながら介護してくれるのだが
お・・恐ろしい程の美人・・・インドネシアのお姫さまか!と言う位のすごい綺麗な
綺麗な女性。
東南アジアの女性は年長者を敬う・・とは言うが、前の施設じゃベトナムの
衛生管理大丈夫か?と言う事がしばしばあったので・・
彼女は・・V さん。
優しい、物凄く優しい・・・母にかがみ込んで一生懸命、優しい声で話しかけ
母もあまりの美貌のお姫さまの顔を見て、ジッと見つめる事が多い
優しいトーンと、優しい仕草・・時に床に膝を付いて、母に近づき
「〇〇さま、これ・・とっても美味しいです」と、スプーンを近づけると
母は、彼女には気を許しているようで協力していた(笑)
良い介護士さんたちが入ってくれて良かった。
それと基本的に母は他人に迷惑をかけるのが絶対イヤなので、
オムツを替える時や、身体を清浄したり着替えさせたりするときに
誰が担当でも、横を向かせると反対側の手すり(ベッドの)を掴んで身体を向こうに
向ける・・協力態勢大!
そして食事も口を開けないけど、「お薬だけ飲んで欲しいな~」と言うと、それに
必ず協力する。
だから、マニュアル介護士以外は皆、「ご協力有難うございます」と笑顔になっていた。(マニュアル介護士は外してもらいました。はい、食事。食べない?じゃ片付けます的な人)
日に依って、目を閉じたまま何も話さない時もあったけど、まだ大丈夫
聴覚は最後まで大丈夫と聞いていたので、私は後で悔いる事なきよう
今迄の懺悔(これが多い)と、感謝と、どれだけお母さんが好きか・・を
毎日、毎日耳元で言い続けました。いつも手を繋いで・・握って
ある日、具体的に「いついつ・・こんな事があったとき、酷い事いってごめんね。
本当はすごく嬉しかったのに、私がいじけて、お母さんに意地悪言っちゃったよね。」と言ったら、母が毛布をひっぱりあげて顔を隠した・・泣いちゃった・・母との暮しでは、ごめんね・・・が多すぎる私でした。
もう声が出なくなってしまった頃、
耳元で言ったんです。
「お母さん、今度また生まれ変わったら、〇〇ちゃん(私の事)のお母さんになってくれる?」
母がしっかり二度頷いてくれた。
「また、我が儘娘を育ててくれる?」
また、二度頷いてくれた・・・それで、じゃあ約束・・と、指切りしました。
そうそう、ある日スキヤキを作ったんですが、スキヤキのタレを使ったのに
美味しくなかった。それを母に言ったら、首をかしげた。
だから、
「お母さん、また家にもどって作ってくれる?」と聞くと
頷いてくれた。丁度来た施設の看護師さんにそれを言うと
「ワァ、いいですね。〇〇さま~私にもスキヤキ作ってくれますか?」
そしたら、母が首を横に振った(笑)
料理が上手な母です。縫い物も何でも見たら、すぐに作ってしまう。
習った事がないのに、どういう風に出来て居るか頭の中にパズルが組立つように
浮かぶらしい・・抜群に頭がいい。(ちなみに私にその遺伝子は来ていない(T_T)
母のまぜご飯が食べたくて食べたくての私に、
病院にいるとき、こんな事を言ったっけ。
「きのうね、お弁当作ってあげたよ。」
「誰に?」
「お前に(ニコニコ)」
「何を作ってくれたの?」
「まぜごはん」
夢で作ってくれたんだ~(^o^)
そう・・夢と言えば
やはり病院で、こんな夢を見たと言った
「お母さんね、死んだ夢を見たの・・それであんたが、無理矢理そこから
ひっぱり上げて・・真っ白い所を歩いたの」
「真っ白な所?怖かった?」
「怖くないよ。だって、お手々繋いでいたから(^o^)」
切なくなった・・
ずっと手を繋いでいるからね・・・と言うと
「うん」
「だから、どこ行っても怖くないし、心配ないよ」
「うん」
今月になって、かなり動かなくなって来ていた。水が一滴も飲めなくなっていたから
私も・・さすがに・・
16日 帰るね・・と言ったら、イヤイヤイヤイヤと首を横に振ったので
少しだけ延長したが・・ずっと居られないので、明日また来るねと帰った
17日 何の反応もない。手を握り続けた
18日 眠って居るだけ・・・なのに、この日は私が手を触ると振り払った。
え?と、また今度はそっと指にふれた。スッと離れる。反対側の手に触れると
それも避けられた。動けるの?手だけ?どうしてきょうは、まるっきり触らせてくれないの?
手を繋いでみた。すると、こんな力があるの?と思う程、押しやられた。
「ご機嫌悪いのかな?じゃ、また来るね」と、1時間早く帰ることにしたのだが
戸口で、母を見た時 なんか胸騒ぎがした・・
いつもと同じ姿でベッドにいるのだが、何かが胸をざわつかせた。
それを振り払い、気のせいだと自分に言い聞かせて帰ったら
1時間ほどで施設から電話。
「呼吸がとまっています・・・」
アァ、やっぱり!!と、思った。
お母ちゃん、私が居たら逝けなかったのね?だから、追い払ったんだね?と咄嗟に
感じた。