悪くはない、悪くはないんです。
ただ演出の自制が効いていない部分があるんじゃないでしょうか。
例えば鈴木浩介さん。彼や、古田新太さん、生瀬勝久さんなどのクセモノ俳優はスキあらばアドリブで何かぶっこんできます。おかしな表情だったり変な動作だったり、セリフだったり。演出家はそれがドラマの流れ上所期の目的に合致しているのであれば採用し、余分だと判断すればバッサリ切らないといけません。どうもそれが出来ていないように思います。鈴木浩介さんのシーンが無駄に引っ張られるというか、彼が面白い動作をすれば「もったいないから全部使っちゃおう」とする所があるんじゃないでしょうか。冗長に感じられることが多いです。
それに「しつこさ」と「やり過ぎ感」を感じてしまう事があります。
今回で言えば、城之内(桐谷美玲)がビニール傘で榊(成田凌)の雨宿りしているところへ行くシーン。しつこい。繰り返しの面白さはあるにしても繰り返しすぎです。
落ち武者も何回も出てきてしつこかったです。しかも桐谷美玲に落ち武者のメイクまでさせてその上頭を矢が貫通する描写はグロいだけです。やりすぎです。
佐藤(ブルゾンちえみ)が突然傘を捨てて雨の中に飛び出すシーン。いくら恋愛やオシャレに無知でもあれはないでしょう。突然雨中に飛び出してきて棒立ちする女性に声をかける他人なんてなかなかいないでしょう。怖いですし。やりすぎなんです。その上おじいちゃんに破れ傘をもらうという展開は、やり過ぎの上塗りです。
とは言えいい所もいっぱいあるんです。
冒頭の、榊に美容室で編み込みをしてもらった城之内が帰り際にコケる。時間が止まったように全員が動かない。そして動き出す、その間は絶妙です。
「ポジティブになる、というのは気の持ち方ではなく、積み重ねた努力が自信となってポジティブになれるんだ」という言葉は含蓄のあるいいフレーズです。
前半の「なくすことで得るものもある」というキラキラ女子のセリフが、最後の最後、城之内の身に実際に起きるというのはうまい展開で、ちょっとうれしくなりました。実生活では中々努力って報われないですからね。努力した城之内にいいことが起きてくれるのは素直に嬉しいです。
ビューティー研究も(傘はちょっと薄味でしたが)編み込みは興味深かったし、ツッコミも面白かったです。「ひとつまみ」がわからなくて「小さじ1/4」とか「数値で言ってもらわないと気持ち悪くてできない」とか。気持ちはわかります。が、数値で示されてもそれはそれで困る気はしますね(笑)
視聴率は悪化の一途のようですが、見限るには惜しい、というか意外と僕自身は楽しめています。このドラマのどこが好きなんだろう、と考えた時、思いついたのは、”僕は困難に直面して自分を変えようと努力するキャラクターが好き”なんだろうということです。なので「貴族探偵」のマンネリは耐え難く退屈に感じるのですが、このドラマは応援したくなるんだと思います。人におすすめできるかと言われれば躊躇してしまいますが(笑)
何はともあれ、ドラマも後半に入ります。主役3人がどう変わっていくのか楽しみたいと思います。