香港から世界のチャイナタウンへ(浄土真宗親鸞会講師の記録)-オランウータン

ボルネオ島と言えば、思い出す話があります。

そうです。猩々(オランウータン)です。

今回、訪れたサラワク州クチンから車で約40分の

ところに、野生動物センターがあります。

※資料http://www.greenholiday.com.sg/sin/kch/index2.html

【セメンゴ野生動物リハビリセンター】
クチンより32Km、サラワク州で最も古い森林保護区にあり
オランウータンを代表とする稀少動物を保護し野生へ戻す
為のリハビリ・訓練を行っています。
半野生のオランウータンやテナガザル、ワニ、ハリネズミなど
が生息する森にはウツボカズラや絞め殺しイチジクなどの
珍しい植物も観察できます。


<白道燃ゆ>

◎ハエと人間


ボルネオ島の土人達が、猩々を捕えるのに面白い方法がある。
アリックと言う強烈な酒を彼らは愛飲するが、その酒を数滴
落とした水ガメを、猩猩の巣の下に置く。
 すると猩々は、その香りに誘われて木を降り、稍て、それ
を飲み出すのである。
翌日から彼らは、酒の分量を少しづつ増してゆく。
猩々は生まれつき大酒飲みではないが、毎日少しづつ酒を濃く
してやると、知らず知らずの中に酒の味を嗜み、酒豪に変身
するのである。
 最後には、生のまゝのアリック酒を置いても、ガブガブ一気
に飲み干してしまうようになる。しかし、その時はさすがに
猩々は、ポーッといゝ気分になって人間と同様、酔っぱらいに
なり、あたりかまわず石を投げたり、木を折ったり、散々暴れ
回る。果ては高鼾で寝てしまうのである。
 そこを彼らは、まんまと捕えるというのである。

五欲という迷酒に酔っぱらって、その自覚もない人間程、
危ないものはない。
 瀬戸内海で遊覧船が沈没し、大勢の人達が死んだことがある。
報道によれば、死んだ人の多くは甲板上に出ていた人達だそうだ。
船がグラグラした時に、その人達は我先にと自分の船室へ荷物を
とりに行って、逃げ損ねて死んだのである。
 地震や火災の時でも、少しでも多くの金や品物を持ち出そう
として、いったん外に出たのに、又家の中へ引き返して、その為
に死んでいる人もある。五欲に命をとられたことに間違いはない。
 万物の霊長を誇示する人間も、先の猩々を笑うことはできない。

金でも物でも名誉でも、我々の五欲は、渇愛の法則で、満たせば
満たす程、欲望は倍加されてゆく。
 その為に生まれ難い人生の目的を見失い、五欲のとりこになり、
その為に一命を奪われるのである。
 ハエとり紙に沢山のハエが、餌を求めてきては附着する。驚いて
逃げようとするが後のまつりである。
 羽根をブンブンいわせているものもあれば、足を引きずって
何とか逃れようと必死のものもいる。ジタバタもがけばもがくだけ、
増々附着して、どうにもならなくなる。

「金をくれても二度と行く気がしない」と言うのは、大阪万博帰り
の人々の言であった。数時間も立行列して、漸く入れば十五分
たらずで、トコロテン式に押し出される。
 何を見たのやら見ないのやら、残ったものは疲れだけ、と言う人
が殆どである。
にもかゝわらず開催中は、押すな押すなの盛況であった。こんな
評判を聞きながら、なぜこんなに人々が押しかけるのか。
 ハエとり紙に引っかゝって、身悶えして苦しんでいる同僚を
見ながら、また飛んできて引っかゝる、ハエの愚かさと何処が
異なるのだろうか。所詮人間も、ハエの愚かさを嘲笑できない、
哀れな業を担っているとしか思われない。

見よ!! 愛欲を求めては附着し、財産を追っては苦しみ、名誉や
地位を求めては悩み、その他、無限の欲を求めて悶え苦しんでいる者
ばかり。やがて、ぬきさしならぬ従苦入苦の境界に入るのだ。
 果して人間は、順境が幸福なのか、逆境が幸福なのか判らない。
順境に甘えて真実の生を忘れて仏法を求めねば、そのまゝ奈落だし、
逆境に発奮して真実の仏法を求めて大信心を獲得すれば、たちまち
人生の勝利者になるからである。
 問題は、老少善悪貧富を問わず、真実の仏法を聞信して魂の解決
をするか、否かで未来永劫の運命は決定することを、銘記しなければ
ならない。

高森顕徹先生公式サイトより
http://www.takamori.info/book/byakudo/08flyandman.html