もう少しくわしく説明しますと、丸くソフトボールくらいの大きさで、表面にはトゲがあるのが「アリノトリデ」です。トゲがあり、いかにもがんじょうそうに見えるため、敵から守る「トリデ」の名前がつきました。
アリノトリデは、アカネ科の着生植物です。茎がこぶ状にふくらんだもので、中は小さな部屋がいくつもあります。部屋はアリのすみかになり、アリのはいせつ物や食べかすは、植物の栄養となっています。すみかを提供し、かわりに栄養物をもらい、おたがいに助けあいながらすむことを「共生」といいます。
このように体内にアリをすまわせている植物を「アリ植物」といい、栄養分の少ない土地に多く見ることができます。
同じアカネ科のアリノスダマもあり、こちらは表面がすべすべしています。そのひとつが、観察用のため断面状に切り落とされ、内部を見ることができました。内部には小さな部屋がいくつもあり、まさにコブ全体が「家」となっていました。
アリノトリデは、ボルネオのコタ・キナバルの日曜市でも売られていました。煎じ薬として使うそうです。
ベトナムの森を歩いていると、ツムギアリの巣を発見しました。 木の葉を糸でつづりあわせて巣がつくられており、植物はミツを与えるかわりに、葉を虫から守ってもらっています。棒でつつくとあっという間に、たくさんのアリが出てきました。