青道が勝つと信じながらも負けちゃうんじゃないかとハラハラしながら読んでいる読者のブログです。
前回ブログは、主に「チームの一体感」とは何なのか、そしてなぜそれが大事なのかについて考えてみた 274話 金丸と麻生の自信。稲実チームに一体感は芽生えるかです。
これまでのブログでは、コミックス30巻で描かれた稲実との決勝戦の序盤部分を取り上げました。
今回は、この決勝戦開始前の選手たちの様子を振り返る(主に28・29巻)ことで、30巻をさらに掘り下げ、今後の展開を読むのに役立てたいと思います。
稲実選手の様子
準々決勝の成孔戦で、キャッチャー多田野の有能ぶりが数字で証明された。ストレートの割合を6割強から3割弱に下げることで、日米野球で代表チームの4番を務めたほどの強打者の長田にも全く打たせず。10対0、8回コールド‼ 成宮の完封時の表情はまるでサムライ。今までで一番男前で雄々しい(22巻。28巻に回想シーン有)。他のアングルでも超男前の成宮2回出てきた。こんなファンサービスは稲実敗戦フラグ?-- 稲実は春大会以降、負けなし。天久の新球に似た成宮の新球カットボール「良かった。効果的でした」と多田野は言ったが、成宮は「もう少しスピード上げたいけどな」そして「さすがに疲れたー。前半からフルスロットルだったし」。多田野は成宮が「誰にも弱音を見せず、常に結果でチームを引っ張り続け、小さな背中にどれほどの期待と理想を背負ってー」と考え、涙ぐんだ。自分にだけはやっと弱音を見せてくれた嬉しさか。成宮に対して過剰適応中だし(過去ブログ 第268話 その3 成宮と多田野の危ない関係)。結果出す、それしかない成宮は孤独だ。
準決勝、稲実はエース成宮を温存。成宮は体力を十分チャージした状態で決勝に臨む。稲実1年生投手の赤松は独特のカーブの軌道で敵を翻弄。5回まで1失点と、好投。6回からは3年生投手の平野。稲実打線好調で9対2の圧勝。
その日の夜、成宮はひとり、御幸への復讐心で燃えていた。寂しい奴。何の復讐なのかを復習するには以前のブログで。
青道選手の様子
初戦の3回戦、対由良総合、10対2で勝利(7回コールド)。先発沢村は、チーム初戦でエースとして初先発のプレッシャーで、1回表に2点を許す。その後なかなか立ち直れず。交代した川上が「3年だから」(もう後がない)という意識をもって好投。最後に試合を決めたのは1年結城のツーランホームラン。監督の恩師でもある相手チーム榊監督「サインに動かされるんじゃなく、自分たちで考えプレーにつなげる。本当に強いチームはそういう選手が何人も揃ってる。いいチーム作ったな、鉄心」。御幸が決勝の王者の掛け声で言ってた自立心ですね。榊監督「チームがエースを育て、エースがチームを強くする。(沢村を指して)良い投手に育ててやれよ」-->この言葉、これから少しずつ効いてきそう。
4回戦前日、ブルペンでの練習で降谷は沢村に「明日は出番ないと思うから」と言いつつ「繋ぐから・・必ず次に繋ぐからーー」
4回戦 対八弥王子、8対0で勝利(7回コールド)。降谷は力みも少なく、キレのある変化球、ここ最近で最も好調。11三振。2四球(珍しい)。青道の二遊間が相手の得点を阻止。落合コーチは代打でヒットを打った由井のことを「貴重な左の代打としても、少しでも多く経験を積ませておきたい選手」。試合後に降谷は沢村に「繋いだから・・」と、エース経験者から現エースへの愛あるメッセージ。降谷は、前夜の「繋ぐから」に続いて、そんなことが言えるまでに精神面でも成長。沢村は3回戦の自分を反省「俺が背番号1もらったからって、降谷に勝ったわけでも、あいつの分まで俺が投げられる訳でもない・・ノリ先輩だって、金田だって、いつでも行ける準備をしてくれているんだ・・てめえ一人、思いあがってんじゃねえよ」。エース経験は降谷のほうが先輩。
5回戦前夜。片岡監督、三日後には準々決勝があるので「できるだけ明日は沢村一人に投げ抜いてもらいたい」。落合コーチ「片岡監督からの信頼の証・・心からのエールだな」。エース沢村を育てようという決意を示したか。
20日、5回戦、法兼(のりかね)学園戦。よく眠れず目にクマのある沢村、初戦よりマシな立ち上がり。御幸の判断が利き1回表でリズムに乗って力みが取れた。青道打線絶好調で初回から大量得点。安心した沢村のギアが上がり、低めは変化球が決まり、三振量産。4回裏の攻撃で満塁時、代打由井が2点タイムリー、沢村のバントで追加点。13対0(5回コールド)。試合後に降谷は沢村に水を持って行き「ナイスピッチ」。沢村は降谷に「繋いだぞ」
5回戦の日の夜、試合に出ていない結城は「自分もゲージ使わせてもらっていいですか」と3年生スタメンの前園や麻生でも譲ってしまうほど激しい競争心。ライバル由井が代打で2試合連続ヒットだから。
22日、沢村と奥村は監督に言われたとおり、稲実対成孔、三高対仙泉を観戦。稲実戦で沢村は成宮から多くを学ぶ「マウンドでの存在感、ピンチでの立ち居振る舞い、的を絞らせない配給・・自分がエースナンバーを背負ってみて、より深く理解できた気がする・・この人の凄さを・・」。第二試合では、空振りをしない三高が勝利。8回9回をふてぶてしいほど落ち着いた1年生投手の照井が無失点。天久は「人間凶器」と呼ぶ、今後が楽しみな新人。現在のチームは市大三高史上でほぼ最強というメディアの評価。
24日準々決勝、創聖戦。記者の話では、片岡監督が理想的なチームを作り上げている。降谷は御幸からの励ましを思い出し、落ち着いたピッチング。調子は上向きで、最高球速は1試合ごとに1キロ上昇。降谷は8回を投げ被安打6,四死球2、奪三振8、失点1。由井が代打でまたヒット、点差を広げる。川上が9回を締めた。前の試合と同様、メディアに取材されるのは監督と降谷だけ。
この夜、守護神川上は肘を怪我したっぽい。気づいたのは降谷。OB投手丹波がいるタイミングで、肘についての話を降谷が持ち出した。降谷は意外と策士?結局、川上は決勝の後、甲子園まで投げられないことが後の診断で判明。決勝で勝てなければ、川上はこのまま引退。
26日準決勝は、市大三高が相手。8回に逆転して青道が2対1で勝利。三高のピッチャー天久は、沢村のカットボールからヒントを得た新球が冴え、青道沢村も見事な好投で完投。両チームとも強力打線だが、互いになかなか打てず。今まで空振りをしなかった三高から沢村は大量の奪三振。理想のチームと過去最強チームの対戦、団結力の強いチーム同士が激しくぶつかる、熱く、感動的な試合だった。2対1のわずか1点差で青道勝利。試合終了時には両チームの選手ともユニフォームが真っ黒。
準決勝の日の夜、沢村は御幸と降谷の会話を立ち聞き。プロ入りについての話だったことと、その話を持ち出した相手が自分でなく降谷だったことで、嫉妬が激しく燃え上がると同時に、将来について初めて考えたので、沢村は錯乱状態に陥り、チームに迷惑。御幸には当たり散らす。心当たりのない御幸は困惑。これについてはブログ 273話 沢村のジェラシー に書きました。片岡監督は、川上を納得させるため、27日、28日朝にチーム担当医師に連れて行くことにした。なぜなら「グラウンドの選手だけでなくベンチも一丸とならなければ、稲実には勝てません」
27日。練習で元気そうにしている沢村だが内心「明日の決勝でも先発できた・・本物のエースなら任されたはずだ」とまたジェラシー。だが川上が、準決勝で投げられずベンチでふてくされていたことを、きちんとチームメイトに謝罪し、沢村と降谷に「頼むな」と爽やか笑顔で託すと、沢村は御幸にボールを受けてもらって自分の頭の中を整理することに決めた。御幸に、沢村が昨夜錯乱した理由を遠回しに聞かれたが、当然「あなたを取り合うやきもちです」と言えるわけもなく。御幸は「エースであるお前の力が必要な時はきっとくる。その時まで焦らず力をためておいてくれ」とナイスフォロー。
そして稲実との決勝28日。降谷は前の2試合同様、落ち着いていて、悟りを開いたようだ。降谷も成宮もゾーン状態、同等の見事なピッチング。青道初ヒットを打った降谷は初めてバッティングの楽しさに目覚めた様子-->今後二刀流へ?
以上、まとめでした。
三高戦と比べて、この稲実戦は熱さに欠けるような気がする。特に稲実、カッコよさは満点なんだけど。どこかスース―冷房が効いてる
ような感じ。それは・・・たぶん・・・稲実が冷めている
チームだから。プライドの高いクールな3年生スター軍団中心のチームは、互いを応援したりしない。稲実で熱く応援しているのはベンチやスタンドにいる選手たち。チームの一体感はない。異なる学年どうしの交流はこれまで描かれていない。唯一あった交流は、成宮にひどい仕打ちを受けつつ頑張る2年生多田野(過去ブログ 第268話 その3 成宮と多田野の危ない関係)。そして試合中に成宮にお世辞らしきことを言う2年生江崎。
成宮率いるスター軍団は野球技術が飛びぬけて高い。負け知らずだから、チームに団結が必要だと選手たちが感じたことはなさそう。現実社会でも、チームの精神的強さよりも、技術的強さに勝るチームが試合に勝つんだろうと思う。でも、高校野球という未成年の、アマチュアの世界で、精神面をおろそかにして、技術に走るとしたら、それは一体、何のため?
技術力が拮抗するチーム同士の戦いでは、精神的に強い方が勝つと思う。つまり青道が稲実に勝利。
でもクールで冷めた稲実スター軍団が、ここで点が取れなければ負けて引退という最後の最後になって熱くなり、チームがようやく団結すれば、試合はどうなるか分からない。
もし、稲実が青道に負けたら、どうなるか。・・・成宮という世代最強投手を抱え、他にも世代最強クラスの選手がそろっている。それなのに、春の選抜に続き、夏も、甲子園に出場できない。これはヤバい。とてもマズい。それに、成宮の自己抑制力のなさ(多田野に対してと、日米野球の練習で他校の選手に)はメディアの記者たちに目撃されている。たぶん試合の観衆にも。もしかするとスカウトにも。稲実の国友監督が、成宮たちの精神面を十分鍛えてやれなかったことを悔いている、と想像すると、監督は責任をとって辞任したいと言い出すかもしれない。そういや新任コーチが登場したし。似たようなことが青道でもあった(落合コーチが青道に来た理由ね)。決勝直前、国友監督が既に辞任を考えているかもしれないシーンがあった。成宮のことを「お前はよくやってる」と優しくほめたシーン。成宮は「それは死亡フラグだから、チームが負けるかもしれないから、やめて」と言っていた。滅多に褒めない人が相手を褒めるのは、それが、そうする最後の機会だから。負けてしまったら、褒める雰囲気ではなくなるかもしれない。・・・まあ、全部私の妄想なんですけどね。
マズいのは国友監督だけではないかもしれない。私は、成宮も大変なことになる可能性があると考えています。長くなってきたので、それはまた次回のブログで。
今回のブログで、夏の決勝前までの試合を振り返ってみて、思った。どのチームの選手も、監督から期待され、信頼されている。選手もチームメイトを期待し、信頼している。素晴らしい世界だと思う。心が洗われる。・・・うう、実は、私は誰からも期待されていません。頑張っても頑張らなくても何も変わらない。そういう状態がずっと続いています。それでも仕事があるだけ恵まれている。機会をもらえていることに感謝している。でも、何かこう、どうも・・・そんなだから、「ダイヤのA」に心惹かれたのかもしれません。沢村のように諦めず、前向いていこう。
降谷の「繋ぐから」にはハッとした。人のすることは誰かに繋がっている。たとえ繋がった先の人のことを知ることは絶対にない仕事だとしても、その人のことを想像しながら、頑張ってきたつもりなんだけど、十分だったか?いやいや。これからもっと角度を変えて「その先」の人のことを考えていこうと思う。
次回ブログ 成宮の今後が心配、プロスカウトなし? に続きます。