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★社労士kameokaの労務の視角

ー特定社会保険労務士|亀岡亜己雄のブログー
https://ameblo.jp/laborproblem/

最近は、労働問題と言えば必ず「パワハラ」が関係すると言っていいほど、「パワハラ」が多い。当事務所でも年間を通してかなりの件数のパワハラ問題を取り扱う。何回もパワハラ対応を行っているのだが、いたってマンネリ化せず、新しい手法に驚かされる。

 

今回、取り上げる事案もそうである。場所は京都刑務所で、加害行為者とされるのは刑務官、被害者とされ得るのは2名の受刑者である。刑務官から受刑者へのパワハラ行為自体があってはいけないのだが、奇妙なのは行為内容である。以下に記事を掲載しておく。

 

去年、京都市山科区にある「京都刑務所」で刑務官が複数の受刑者に対して、マスクがずれていたことを理由に“一発芸”をするように強要していたことがMBSの取材でわかりました。  京都刑務所の元受刑者の男性によりますと、去年冬ごろ、男性刑務官が受刑者2人に対して、一発芸をするよう強要するハラスメント行為をしたということです。  男性がいた雑居房には当時5人の受刑者がいて,声が大きいなど問題行為がある場合に減点されて、テレビを見ることができなくなっていたということです。男性刑務官は、受刑者のマスクがずれて鼻が出ていたことを指摘し、「減点されたくなければ一発芸をしろ」などとして、受刑者2人に女優や怪獣の真似をさせたということです。  (被害を受けた元受刑者の男性)  「ゴジラが出てきたところで、びっくりするものまねなんやろうと刑務官が言い出して、お前がしろといわれたんです。刑務官が楽しがっているのか何のためにやっているのか僕にも理解ができないですけど」  京都刑務所は、関係者に謝罪して刑務官を注意したということですが、MBSの取材に対して「公表する事案ではないので回答は差し控える」としています。

 

こうした事案もコロナ騒動の一幕を彩るシーンと言えるかもしれない。受刑者のマスクがずれていただけで一発芸を強要している行為なのだ。真実はわからないが、何かマスクを餌にして本音では一発芸をさせて楽しんでいる行為のようにも受け止められる。

 

受刑者の「刑務官が楽しがっているのか何のためにやっているのか僕にも理解ができないですけど」

といったコメントにも現れている。

 

もし、本当にマスクがずれているだけで芸を強要しているのなら裁量権逸脱であろう。芸をさせていいことにはならないし、マスクをきちんとすることが刑務所でのルールだとしても、注意喚起で足りるはずである。

 

さらに、5人の受刑者の声が大きいという問題で減点されテレビを見ることができなくなっていた状況は、そのような減点になるルールだったということ、大声の問題があったことなどから頷けるものである。わからないのは、このことと2名の鼻だしマスクとの関係である。記事からはよくわからない。

 

減点されたくなければ芸をしろとの事実がみえる。減点が多くなることで、さらなるペナルティがあるのかもしれない。

 

いずれにしても、刑務所で鼻だしマスクが禁じられて、減点の対象になるのであれば、そのことを告知すれば済むだけである。

 

加えて、強要している内容がすごい。女優か怪獣の真似とは、刑務官が受刑者を利用して遊んでいるとしか思えない行為だ。パワハラの行為アイテムに「ものまね」が・・・いじめ・嫌がらせ行為は違いない。

 

少なくとも、受刑者に規律を指導することなどとは程遠い行為である。つまり、刑務官の業務上の必要行為ではない

 

法的なパワハラに該当するとされる代表的な類型にあてはめると、「人格を否定するような侮辱的な言動」にあたる精神的な攻撃であろう。勤務に直接関係のない作業(この場合はものまね)を命ずるという過大な要求にもあたるかもしれない。

 

受刑者は勤務している者ではないが、パワハラの内容やグレードとしては、勤務者である刑務官が、受刑者の服役に直接関係ないことを強要している点で過大な要求の例にあたる可能性もある。

 

刑務所内の珍事件ではあるが、社労士としては、また、珍しいパワハラの手口であると、こうして検討せずにはいられない。

 

数年前にニュースになったパワハラ事件、確か、静岡県警だったと記憶しているが、LINEの仲間にならないことからパワハラが始まったという事案があった。その時もパワハラの内容に目が点になった。腕立て伏せ150回や鍋の熱々豆腐を頬につけるなどの行為だった。警察ならではと言えるパワハラ行為に唖然とした。調査の結果、複数名の警察官が処分を受けた。

 

京都刑務所内のパワハラ行為もそれに匹敵するほどの珍事件パワハラと言えるであろう。

 

【特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

 

 

少し前に、JR東海が従業員の一時帰休を行うとのニュースがあった。今回は、このニュースを素材に、一時帰休の性質や問題について述べたいと思う。

 

 

JR東海は24日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、9月1~30日に1日当たり約200人規模の一時帰休を実施すると発表した。JR東海は1~6月にも一時帰休を実施しており、今回が2度目となる。

 

 同社は9月の東海道新幹線の臨時列車を350本程度減便する検討をしており、業務量の減少が見込まれるため。対象は新幹線の乗務員の拠点や車両の保守・検査をする車両所、工場などで勤務している社員約9800人。

                                 〔2021年8月24日 共同通信〕

 

記事は短めなのでさーっと通り過ぎそうになるが、「1日あたり200人の一時帰休」とある。「一時帰休」と登場しても、多くの方はわかるようでわからないといったところかもしれない。

 

1 一時帰休ってどういうもの

 会社が仕事量を減らすことになり、そのため一時的に従業員を休ませることを一時帰休と言っている。

あらためて聞けば、ああ、どこの会社でもよくある、「仕事減ったから休んで」ということか・・・とピンとくるかと思う。通常は、一時帰休という言葉をあまり口にしないことから、一瞬、面食らうのかもしれない。

 

一時帰休を実施する理由でよくあるのが、売上減少など会社の経営困難だ。従業員にとってはいいことではないものの、リストラや賃金カットされるよりはましというのも事実である。

 

法的には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合に、平均賃金の60%以上の手当を支払うことになっている(労働基準法第26条)。この「使用者の責に帰すべき事由による休業」は一時帰休と同義と理解していい。

 

ちなみに、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、経営サイドには厳しいが、不可抗力以外はすべて含まれると考えておいていい。

 

会社の判断で従業員に休んでもらうわけであるから、会社の責任に帰すわけである。ただし、多くの会社では、法律上の最低保障の60%止まりの支払いのようだ。

 

2 一時解雇との違い

 一時帰休は、休みになるだけで雇用が維持されていることが特徴である。したがって、休業保障60%以上も対象になる。

 

しかし、よく似た言葉で、一時解雇というのがある。一時解雇はレイオフということばでも言われるので、聞いたことが有る方も多いのではないかと思う。これは、解雇の名の通り、雇用は継続されない。したがって、賃金の支給保障もない。一時帰休とは次元が異なる。

 

ただ、一時帰休になったことで、会社が危ういと考える従業員等では、休みの間に次の就職先を探す活動をする場合も有るようだ。この辺はそれぞれの任意活動である。、

 

3 理由を含めて説明を

 JR東海でも、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響で一時帰休を思考するようだ。正式な経営状況までは調べていないが、おそらく、コロナの影響で乗客が減少し、売上低下になっていることが原因なのだろうと推察する。

 

リストラや賃金減額措置よりは、まだ柔らかい措置と考え、踏ん張るという策が一時帰休とも言える。

 

会社の労務対策として重要なのは、従業員は様々な受け止め方をするので、誤解のないように、具体的な理由を含めて説明をすることだ。いつからいつまで一時帰休を実施するか、実施期間も重要になる。

 

【特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

 

 

 

 

7月23日の夜、待ちに待ったオリンピックの開会式が行われた。ここに至るまでには紆余曲折があったものの、国民の多くがワクワクしながらテレビにかじりついていたかと思うと感慨深い。

 

ところで、社会保険労務士としては、子どもたちがたくさん出演して、開会式の盛り上げ役を担ってくれたことは喜ばしい一方で、この時間に働かせて大丈夫かと思ってしまった。

 

ここで言う子供は、法律が定める18歳未満の年少者であるが、原則として、22時から5時までの深夜に働かせることは禁じられている。

 

さらに、児童(法律で言う、ざっくりとした括りでは中学生以下)は、禁止される深夜時間帯が、20時から5時となっている。

 

どう見ても、働かせてはいけなかったという結論になってしまう。それでも、オリンピックの開会式の出演だけだよとの意見もありそうだが、たった、1日でも、1時間でも、雇用にあたる場合は、労働基準法の深夜労働の禁止があてがわれてしまう。

 

また、青少年の健全や育成の概念からは、正当な理由がある場合以外、青少年を深夜(この場合の深夜は23時から4時)に外出させないようにとの努力義務がある【東京都青少年の健全な育成に関する条例第15条の4】。

 

健全育成条例の深夜時間は、同様の条例がある都道府県により異なる場合があるが、東京都では、労働基準法の規定を考慮して23時から4時となっているようだ。

 

続けて条例は、、正当な理由がない場合は、青少年を深夜に連れ出し等してもいけないとある。子供たちに賃金が出たのかどうかは不明であるが、何回か大人の指揮のもとに稽古を繰り返して準備をし、開会式本番に出演したのだろうから、臨時ではあるものの実態は雇用は雇用と考えられるのだろう。

 

オリンピックの開会式でふと、こんな景色を見ていたことは、職業病かもしれない。

 

しかし、開会式は自分でもワクワクと胸躍るものがあった。スポーツはいい。

 

【特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

 

 

 

まずは、今回とりあげます事案の新聞記事です。

 

雇い止めを巡る労働審判の内容を口外しないよう長崎地裁の裁判官らでつくる労働審判委員会に命じられたことで、支援してくれた元同僚らに解決内容を伝えられず精神的苦痛を受けたとして、長崎県大村市の男性(59)が慰謝料など150万円の国家賠償を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は1日、口外禁止条項を付けたのは違法と判断した。男性が明確に口外禁止を拒否していたのに命令したことで「過大な負担を強いた」と指摘した。

 

 原告代理人の中川拓弁護士によると、労働審判で裁判官らが口外禁止を命じたことを違法と判断したのは初めて。労働審判は毎年3000件以上が申し立てられており、判決が今後の労働審判に影響を与える可能性がある。一方、地裁は労働審判委が口外禁止条項を盛り込んだのは「早期解決の道を探るためで、審判に違法または不当な目的があったとは言えない」として、国賠請求を棄却した。

 

 男性は2016年4月から県内のバス営業所に有期雇用の運転手として勤務していたが、同僚と共に会社に待遇改善などを訴える要望書を作成したところ、17年3月に雇い止めにされた。男性は同11月、会社に地位確認と損害賠償など約270万円の支払いを求める労働審判を長崎地裁に申し立てた。

 判決などによると、18年1、2月にあった労働審判の審理で、審判官の武田瑞佳(みか)裁判官(現大阪高裁裁判官)は、会社側が要望した「内容を第三者に口外しない」とする口外禁止条項を盛り込むことを条件に会社が解決金230万円を支払う調停を男性側に打診。男性は泣きながら「同僚の励ましが精神的な支えになってきた」などと述べて拒否したが、武田裁判官は同条項を盛り込んだ労働審判を言い渡した。

 

 判決で古川大吾裁判長は「労働審判法上、労働審判の内容は事案の解決のため相当なものでなければならない」と指摘。そのうえで、男性が涙ながらに拒否した経過を踏まえ「原告が将来にわたって口外禁止条項に基づく義務を負い続けることからすれば、原告に過大な負担を強いるもので、原告が受容する可能性はなく、相当性を欠く」と判断した。

 判決について、男性は「お金と引き換えに口をつぐむように言われて苦しかったが、主張が認められて良かった。判決をきっかけに労働審判を申し立てる労働者たちが口を封じられるようなことがなくなってほしい」と話した。

                                     (毎日新聞 2020年12月1日)

 

そもそもの労働紛争の内容は3段落目に出ている通りなのですが、労働審判はあくまで調停よる和解になりますので、何を条件に合意するかなどは各事案ごとに様々なわけです。

 

支援してくれた同僚の励ましが支えになってきたことから、申立人の男性は口外禁止条項を拒否しています。会社側はどのような態度を示したかは明らかになっていませんが、最終的に裁判官が合意文書に口外禁止上条項を盛り込むことを決定したとのことです。

 

男性にしてみれば、事件が終結すれば、こういう内容で終わったよと報告もしたいし、支援してくれた同僚からは遅かれ早かれ聞かれるでしょう。一生口外できない合意条項は厳しいものがあると言えます。

 

ただ、和解の口外禁止の争点について初めて判決がなされた点で非常に貴重だと考えられます。小職がお手伝いさせていただく、労働局や労働委員会のあっせんにおける和解でも、合意文書に必ず、口外しないことというのが盛り込まれますので、思わず感がさせられましたし、参考にせざるを得ないところです。

 

労働審判での口外禁止条項の問題ですので、労働審判の和解の際に影響してくる可能性が考えられますが、あっせんにおける和解でも、口外禁止条項という点では同様ですので、影響してくる可能性はあります。

 

あっせんの和解の際には、労働者側から口外禁止条項の拒否を主張してみることは可能ですので、主張する労働者が増加してきて、どこかで主張が通った例がでてきますと変わってくることにもなるでしょう。

 

会社側が拒否に応じないとの姿勢を貫くと、あっせん委員も動かない可能性はありますが、今回の裁判所の判決を根拠に(特別の事情があればなお根拠づけができますが・・)主張してみる価値はありです。

 

少し補足しておきますと、あっせんというのは、裁判外の紛争解決の手法で、労使(労働者と会社)が譲り合って解決をする、例えるなら、双方ともに手ぶらで帰ることがないようにして、握手して終了(本当に握手をするわけではありません)・・というようなものです。

 

小職の経験では、あっせんにおける口外禁止条項は、期限など尽きませんから未来永劫禁止という意味です。禁止条項は、あっせん委員から自動的にかつ無条件に盛り込まれる形になることが多いと言えます。ただし、事案内容や被申請人(会社側)の意向などにより、郊外禁止条項でも表現や内容が微妙に異なってくることもあります。

 

こうした郊外禁止条項つきの合意文書を交わしても、実務レベルでは、後日、社内で従業員にあっせんの内容等が広まっていたというのもあるようです。こうした場合には、会社側が話していると考えられます。

 

また、退職者のあっせんの場合は、元同僚などとLINEや電子メールなどのやり取りをすることで伝わっていることもあるかもしれません。

 

いずれにしましても、労使双方とも、未来永劫、誰に対しても口を閉じていることが現実になることは考えにくいわけです。今回の判決ではないですが、そもそも、苦痛をかなり伴うというのはその通りかと思います。

 

応援してくれた仲間がいれば、仲間は当然聞いてくるわけで、その際に黙秘すれば、人間関係の破壊になる可能性があります。特別な事情がなくても相当な苦痛になることは間違いありません。

 

こうしたことが現実かと思われます。その点で、今回の毎日新聞のニュースは、一つの指針を示してくれたと言えます。今回の判決が端緒となって、労働者側が、合意文書への郊外禁止条項を拒否してくるパターンが増えるかもしれません。

 

企業からすれば、紛争とされ金銭要求されていることで、もう抵抗感いっぱいですから、実際実現するかどうかに関係なく、その和解の場では、何が何でも口外禁止を遵守させたいと強く思うでしょう。

 

あっせんでも、労働者のほうから積極的に口外しませんということは、まずありませんから、そのような構図になるのが一般的です。

 

今後は、和解の場で口外禁止条項を拒否する労働者が出てくる可能性が考えられるところですが、今回の事案では、支援してくれた者に伝えたいという事情が絡んでいるからこそ、口外禁止条項の盛り込みが違法とされたともみることができます。

 

その点では、一事案を素材に、やたら口外禁止条項を拒否すればいいということになるものでもないと考えておくべきかもしれません。

 

もちろん、紛争解決の合意文書に口外禁止条項が入った場合には、労使双方とも「はい、わかりました」との態度に徹する必要があることはいうまでもありません。

 

参考になりましたら幸いです。

 

                特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄

 

 

三菱電機は25日、労務問題を防止するための追加対策を発表した。上司のほか、部下や同僚からも人事評価を受ける「360度評価」を2021年4月に導入する。パワハラの事例や件数、心の健康を損なった人数などの従業員への開示も始める。

 

 長時間労働の抑制など、働き方改革に取り組む姿勢を「労使共同宣言5か条」としてまとめた。全ての役員と従業員に、パワーハラスメントなどを行わないとする宣言書を提出させる。

 三菱電機では昨年8月に20歳代の男性新入社員が、上司から「死ね」などと言われたと記した遺書を残して自殺した。他にも長時間労働が原因の自殺などが複数認定されている。

 

 これを受け、1月に社員教育の充実などを盛り込んだ防止策を発表したが、外部の弁護士らから「有効性が十分ではない」との指摘を受けたため、労働組合も交えて追加策を決めた。

                                             (読売新聞 2020年11月25日)

 

 

パワハラ対策もここまでやるかといった領域になってきました。11月25日の読売新聞のニュースです。働き方改革に取り組む姿勢に関して、「労使共同宣言5か条」にまとめたと言います。

 

このことは模範的な姿勢と言えます。働き方改革は立法措置が絡む話ですので、遵守は当然かもしれません。実務上の注目点は、こうした宣言条項が存在した場合、その宣言が守ることができているかの点です。労務・労働の世界は実態で評価されるだけに、気を引き締めないと宣言のみが立派だったということにもなりかねません。

 

今回の大きなテーマは働き方改革ではなく、パワハラの関する同社の方針・姿勢についてです。三菱電機は、全役員と従業員にパワハラを行わないとする宣言書を提出させるとしています。

 

小職の知る限り、そうそう例がない対応かと思われます。効果としましては、全役員と従業員という以上、外れる者がなく、全員としたことで、抑止力になる効果が大きいと考えられることです。

 

パワハラは、上司から部下だけではなく、同僚同士、部下から上司へのケースもありますますので、漏れなく全員を対象にしたことは首肯できます。

 

加えて、こうしてニュースになって駆け巡っていますので、さらに抑止効果があると言えます。ただ、実務でパワハラ問題を対応していて言えることは、どんなに宣言しても、決まりを作っても、パワハラの多くが、業務範囲や指導等の範囲を超えているかの問題になります。

 

ひとたび加害行為者とされる者が、被害者とされる者に対して行為する場合、ほとんどが感情の世界になっています。嫌がらせ行為ですから、その人物の何かが嫌だとか、気に入らないとか、頭にくるとか、そうした感情が表面化して行為となっています。

 

三菱電機の宣言書に、実務上、大人の世界とはいえ、感情をコントロールできる効果が、どこまであるかはわからないと言えます。うまく効果が得られるように願うばかりです。

 

こうした取り組み自体には拍手を送りたいと思います。なかなかここまで対策できるものではありません。仮に、社労士が同じことを企業に提案した場合に、企業体質や社風、パワハラの規制強化への意識にもよりますが、抵抗がある企業のほうが多いと推測します。受け入れてもらえないのではないか思います。

 

人間は「○〇をしない」ことを約束することに対して、ただでさえ抵抗感があります。ましてや役員や従業員でも役職者ともなれば、相当な抵抗感はあるでしょう。だからこそ、全役員と従業員とすることで抵抗感をかなり下げる効果もあるのでしょう。みんな宣言するんだからと。

 

こうした例に触れてみると、パワハラにあたる例とあたらない例をいくつか事例を挙げて全員に対して社内研修をしておくことは効果的でありますし必須事項だと考えます。

 

「パワハラはいたしません」と宣言はしたものの、業務上の必要な範囲で叱責する場面が絶対にないわけではありません。どのような行為ならセーフに転ぶのか、逆にどのような行為ならばアウトになるのかは、完全ではなくても、相応に抑えておくことが必須であると考えます。

 

また、セーフの行為でも、部下はパワハラされたと主張するかもしれません。全員に対し、共通の研修をしておうことが、効果的かと思われます。

 

もっとも記事になって出てきていないだけで、すでにこうした内容も専門家などからレクチャーを受けているのかもしれません。

 

ここまで三菱電機を駆り立てたものは、記事になっていましたが、上司からの「死ね」などのパワハラ行為が原因で死者を出していたり、長時間労働でも死者を出していたりするという事実です。

 

昨今は、裁判例でも自殺の裁判例を多く目にするようになっています。ここまでの事実にならないと、上記のような対策にならないのかとも言えます。これからの時代は、世の中の企業が、従業員の物心両面の幸福を考えるような大義名分のもとに経営する、利己ではなく利他の精神で経営する企業であってほしいと思います。

 

さすれば、宣言などなくても健康な企業になるのではないかと考えます。

 

最後までお読みいただきましてありがとうございます。

 

                                    特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄