下山事件と松本清張 | マダムルージュ

下山事件と松本清張

先日のNHKスペシャル。久々に NHKの底力を見た。

 

 

戦後の未解決事件の一つ、「下山事件」を松本清張の目から読み解く。

 

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事件の真相を追う東京地検の主任刑事を演じるのは森山未來。

 

 

 

これまでの役柄からすると意外なキャスティングの森山未來だが、

検事役がすごくいい!森山未來は大好きな役者。どんな役もうまいなあ!

 

 

「未解決シリーズ」で松本清張を演じる大沢たかおも素晴らしい!

 

似ているのはヘアスタイルだけだけど・・・。

 

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1949年7月、国鉄職員10万人の解雇に関して労組と交渉中、忽然と姿を消した下山定則総裁。その後、無残な轢死体で発見された。

検死解剖の結果、死体から血が抜き取られていたことが発覚。

自殺か他殺かをめぐる大論争へともつれ込んでいく。

東京地検の主任検事として捜査を指揮することとなった布施健(森山未來)は、自殺として不可解な点が多いことから、他殺の糸口を探っていく。

 

 

今回、NHK取材班は、厚いベールに包まれてきた怪事件に光を当てる

“極秘資料”を入手したという。

4年にわたる解析・取材の末に浮かび上がってきたのは、検察が追っていた真犯人の実像と、その水面下で繰り広げられていた超大国の緻密な謀略だった。


 

取材班が入手した数百ページに渡る“極秘資料”には、

下山事件の知られざる姿が記されていた。

中でも、注目すべきはソ連の諜報員、李中煥の資料だ。

 

これまで謎とされていた「下山総裁がどう拉致されどこで暗殺されたのか」など、死への道程が詳細に語られていたのだ。

李は、下山総裁の殺害は、ソ連が行なったと供述したと記されている。

 

しかし、「ソ連の謀略」と供述した李は、

アメリカの諜報機関 CIC に出入りし“ある密命”を受けていた可能性が浮上した。李の供述は、アメリカに強いられた、嘘の供述ではなかったか?

アメリカが実行したからこそ、殺害の詳細を知っているのではないか?

 

李と関わりを持っていたアメリカの反共工作部隊、Z機関(通称キャノン機関)の動きが明らかになる。

 

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ここまでくると、見ている方は、

下山総裁は、アメリカの反共工作のために殺されたのだと思う。

 

ドラマもそのように示唆している。

 

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これまで「下山事件」については、数多くの本や映画がつくられており、

私も関心を持って読んだり見たりしてきた。

いずれも、真犯人は薮の中という結論にいたっている。

しかし、今回は、はっきりと、アメリカの反共政策による謀略と結論づけている。

当時のアメリカは、それほど共産主義が怖かったのだ。

 

共産主義者が多かった国鉄労組を貶めるために、仕組んだ事件だ。

浮かばれないのは、下山総裁だ。

 

日本橋三越に入店したのを最後に、行方が分からなくなった下山総裁。

お顔を見るかぎり、官僚らしからぬ、温和な印象を受ける。

 

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この時代は、「下山事件」「三鷹事件」「松川事件」と

国鉄がらみの怪事件が相次いだことも不思議だ。

 

日本を反共の防波堤とするために暗躍していたアメリカの“工作部隊”の存在と思惑が浮かび上がる。占領期の深い間の奥で、下山事件は起きたのだ。

そう、日本はアメリカに「占領」されていたのだ。