読書って、1冊の本から次々と読みたい本がつながっていく。
先日読んだ瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」に登場していた、
チェーホフなどのロシア文学を訳した湯浅芳子。
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瀬戸内さんは彼女のことを
「レズビアンの先駆者は男装のロシア文学者」と表現している。
その湯浅芳子は、多くの女性とつきあってきたが、
最も愛したのが、宮本百合子。
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宮本百合子については、日本共産党の宮本顕治の妻として知られている。
私的には、社会派のお堅い作家、というイメージが強かったが、
この時代の女性作家は、すごい!恋愛にも積極的。
「百合子、ダスヴィダーニヤ ―湯浅芳子の青春」(沢部仁美著)は
芳子と百合子の7年間の恋愛を描いたノンフィクション。
↓2人が一緒に住んでいた蜜月時代。
↓2人共、親が裕福で、ロシアに遊学し、ヨーロッパなどを旅している。
この写真は多分、パリで洋服と帽子をあつらえて撮ったもの。
当時のファッションも楽しんでいる。
深く思索し学びながら、実に生活を楽しんでいる。
この金持ちの令嬢・百合子(左)が、
社会主義に目覚めて何度も投獄されるのだ。
本には、互いにやり取りした手紙が多く紹介されているが、
大正から昭和の戦前・戦後を生きた女性作家の、
並々ならぬ深い洞察力と人間探求、表現への希求に改めて感動した。
当時は、人間として平等な関係を求めて、
女性同士の恋愛に行き着く女性も多かったようだ。
しかし、結局、百合子は芳子を捨て、宮本顕治という男性の元へ走る。
1度も読んだことがない百合子の本を読みたくなった。
↓戦後の宮本百合子。
宮本百合子は1951年、51歳で急逝。湯浅芳子は1990年、93歳で没。
今までの2人の「お堅い」イメージが払拭され、
女性としての生々しく激しい生き方に刺激を受けた。
2人へ導いてくれた瀬戸内寂聴に感謝。
瀬戸内寂聴が書いた女性の評伝をことごとく読みたい。