「百合子、ダスヴィダーニヤ ―湯浅芳子の青春」 | マダムルージュ
2018年08月31日(金)

「百合子、ダスヴィダーニヤ ―湯浅芳子の青春」

テーマ:

読書って、1冊の本から次々と読みたい本がつながっていく。

先日読んだ瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」に登場していた、

チェーホフなどのロシア文学を訳した湯浅芳子。

瀬戸内さんは彼女のことを

「レズビアンの先駆者は男装のロシア文学者」と表現している。

 

その湯浅芳子は、多くの女性とつきあってきたが、

最も愛したのが、宮本百合子。

 

宮本百合子については、日本共産党の宮本顕治の妻として知られている。

私的には、社会派のお堅い作家、というイメージが強かったが、

この時代の女性作家は、すごい!恋愛にも積極的。

 

「百合子、ダスヴィダーニヤ ―湯浅芳子の青春」(沢部仁美著)は

芳子と百合子の7年間の恋愛を描いたノンフィクション。

 

 

↓2人が一緒に住んでいた蜜月時代。

 

↓2人共、親が裕福で、ロシアに遊学し、ヨーロッパなどを旅している。

この写真は多分、パリで洋服と帽子をあつらえて撮ったもの。

当時のファッションも楽しんでいる。

 

深く思索し学びながら、実に生活を楽しんでいる。

この金持ちの令嬢・百合子(左)が、

社会主義に目覚めて何度も投獄されるのだ。

 

本には、互いにやり取りした手紙が多く紹介されているが、

大正から昭和の戦前・戦後を生きた女性作家の、

並々ならぬ深い洞察力と人間探求、表現への希求に改めて感動した。

当時は、人間として平等な関係を求めて、

女性同士の恋愛に行き着く女性も多かったようだ。

しかし、結局、百合子は芳子を捨て、宮本顕治という男性の元へ走る。

1度も読んだことがない百合子の本を読みたくなった。

 

↓戦後の宮本百合子。

 

宮本百合子は1951年、51歳で急逝。湯浅芳子は1990年、93歳で没。

今までの2人の「お堅い」イメージが払拭され、

女性としての生々しく激しい生き方に刺激を受けた。

 

2人へ導いてくれた瀬戸内寂聴に感謝。

瀬戸内寂聴が書いた女性の評伝をことごとく読みたい。