梶尾真治「美亜へ贈る真珠」
1971年梶尾真治氏のデビュー作「美亜へ贈る真珠」です。
最近は、「黄泉がえり」の映画化でのヒットなど、長編が多い梶尾氏ですが、私としては、短編をもっと書いて欲しいです。本業が実業家なので、忙しいでしょうが。
短編だし、SFなので内容は言いませんが、じんわりしみじみいい感じの作品です。私はこの作品の初読は、夕方の帰宅のバスの中だったんですが、もったいなくて、家に帰ってもう一度読み直した記憶がありますね。
先日、本屋へ行ったら、ハヤカワ文庫から新編集で短編集が出ていたので、手に入れやすいと思います。
サイン本の真偽
前回、ミステリについて、横田順彌氏の本の事を書きました。横田氏の本で一つ話があります。
十年前、佐賀の大学へ通っていた私は、佐賀市内に行きつけの古本屋が数軒あり、二週に一回くらいの割合で寄っていました。
その古本屋の一軒で、横田氏の「[天狗倶楽部]快傑伝」という本を買いました。本の内容は、前回書いた横田氏の本の中で触れていた、SF作家、押川春浪氏関係のノンフィクションで、押川氏が明治42年に作ったサークル「天狗倶楽部」の話です。
買うときは全く気付かなくて、家へ帰って、ページをめくった時に気付いたのですが、ページを開いて一ページ目にサインペンで字が書いてありました。(下の写真)
これを発見した時は、「あぁ、落書きがしてある。」と思ってガッカリしましたが、数日経って落書きを見て、ふと、「これサイン本じゃなかろうか?」と思いついたんですね。
その考えに、全く行き着かなかったのは、今考えるとおかしいのですが(「蛮骨壮遊 横田順彌」って書いてあるし)、考えてみて下さい。芸人のはなわ氏がネタにしていた”佐賀”。その佐賀の古本屋に、作家のサイン本がある、なんて考えられる訳ないですよ(笑)
そう思いついたキッカケは、横田氏が佐賀県出身(親が佐賀県に疎開している時にお生まれになったそうです)という事を、ふと思い出したからなんですけどね。
もしかして、出身地だから佐賀でサイン会があった、とか、佐賀市内に身内がいて、横田氏からサイン本をもらったが、古本屋に売りに出した、とか… そんな理由が思いうかんだんですけど…。とは言っても、横田氏の自筆のサインなんて見た事ないし、飽くまでも、私の想像の中で、です。
自分の頭の中では、( 「ただの落書き」95%、「本物のサイン」5% )くらいの割合で偽物派が圧勝しています。特別な理由はないです。ただ、佐賀の古本屋に作家のサイン本がある、という確率は少ない、と思っているだけなんですけどね(笑)。
歴史ミステリ 明治の文豪編+α
好きなミステリといっても色々ありますが、歴史ミステリが好きなので、その中でも好きな、明治の文豪が若い頃に探偵役を務めるミステリを紹介します。
先ず、海渡英祐「伯林 一八八八年」。
昭和43年に江戸川乱歩賞を獲っていますので有名な作品です。
若い時の森鴎外が、ドイツに留学して、コッホ博士の下で医学を学んでいた頃、森が好意を寄せていたドイツ人の女の子の紹介で、あるお城の舞踏会に招待され、その城の主人が殺される。そして、森の友人が疑われ、森は、友人を助けるために事件解決に動き出す。という話です。ミステリとしてだけでなく、普通の小説としても面白いです。傑作。
次に、島田壮司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」。
直木賞の候補に挙がったそうです。
この作品の主人公は、ロンドン留学中の夏目漱石です。同時代に英国で大人気だった、シャーロック・ホームズが登場し、漱石と殺人事件の推理対決を行います。
こちらは、笑えるミステリです。夏目漱石氏最高に面白いです。気軽に楽しく読めるところが好きです。ホームズと漱石のネタって他にもありまして、山田風太郎「黄色い下宿人」にも登場します。
あと、番外編ですが、横田順彌「時の幻影館」「夢の陽炎館」「風の月光館」「星影の伝説」「水晶の涙」「惜別の宴」。
アタマの三冊が短編集、後ろの三冊が長編です。はっきり言っておくと、ミステリの形(謎を解決するという形)はとっていますが、SFです。ミステリを期待して読むと、多分がっかりしますので、注意してください。
明治30年代~明治末まで活躍した、ジュブナイルの世界では文豪だった、SF作家の押川春浪という人がいますが、明治40年頃の、彼の周辺の物語です。
主人公は、鵜沢龍岳、新進SF作家です。そして、彼の恋人、黒岩時子との二人で奇怪な事件を解決していきます。この二人は架空の人物ですが、登場人物のほとんどが実在の人物です。
読んでいくと、この明治40年の、この小説の空間がたまらなく心地よくなります。いつまでも、浸っていたい、そんな気分になります。
北原白秋
北原白秋著の詩集「おもひで」(明治44年)です。
たまたま、家から10kmほど離れたお店に行った帰りに、チェーン展開している古本屋に寄りました。
ブラブラ回っていると単行本のコーナーにこの本がありました。
しかし、改めて思いますが、単行本の値段の安いコト安いコト。100円、200円、高くて500円でした。
この本は、初版本の復刻本で、奥付を見ると、白秋生家のハンコと定価2000円と記してありました。北原白秋氏の生家(白秋博物館みたいになってる)で買ったんだな、と。この古本屋での売価は400円でしたが。
北原白秋氏は、私の高校の先輩です(90年くらい先輩です 笑)。少し路線違いますが、萩原朔太郎氏とか、エキゾチックというか幻想的な詩好きです。
別に、詩を書く、とか、詩をよく読む、とかじゃないですが、小説を読む感じで、(地元の有名人ですし)北原白秋氏の本を読んで、いいなぁ、と。似たようなのないかと学生の頃ポツポツ読んだり。面白くないと駄目なんですけどね。
ヴィム・ヴェンダース「都会のアリス」
一昨年、レコード屋の売れ残り特価棚を漁っていて出てきたDVDです。「都会のアリス」、ヴィム・ヴェンダース(ドイツ映画)監督作品です。
「都会のアリス」の音楽を担当しているのが、好きなミュージシャンのCAN(間違っても「愛は勝つ」のKANに非ず)だったので(CAN「サウンドトラックス」に収録されている)、値段が安かった事もあり、買ってみました。
「都会のアリス」の内容はロードムービーです。アメリカで旅行記を書いているドイツ人のライター(主人公)が、うまく書けないので、ドイツに帰る事にする。空港でオランダに帰る母子と出会い、一緒に帰る事にするが、飛び立つ寸前に母が姿を消し、結局、二人でオランダに帰る。二人で少女の祖母を探す旅をする。という、話です(ロードムービーって説明しにくいです)。余り話の起伏がないのですが、しみじみ、ホントにいい映画です。いい映画としか説明できないんですが。
「都会のアリス」は、私の好きな映画を10本挙げるとしたら、確実に入ります。(1973年、西ドイツ映画)


