連鶴の簡易版は、小学生の連鶴教室のためにアレンジしました。連鶴の作者である魯縞庵義道さんは、江戸時代の桑名のお坊さんです。百種類もの連鶴を考案しました。天才であることは間違いありませんが、かなり物好きのようです。
桑名市博物館学芸員の大塚さんの話では「義道は洒落者で、歴史や文化に造詣が深く、多くの著書を残していました」著書は桑名の歴史書、名所案内など多岐に渡ります。その中に百品五百羽の連鶴を表した「素雲鶴」もあったのです。
残念ながら、そのほとんどが昭和20年7月の桑名空襲で焼失しました。30年ほど前「秘伝千羽鶴折方」の研究本を手に入れました。江戸時代に出版された本で、連鶴のうち49種類が載っています。それが、唯一残された資料だったようです。
当時は蕎麦屋で忙しかったので、折り紙をする余裕はありませんでした。ケガや病気で入院でもした時に折ろうと楽しみにしていたのです。それが、ガン手術で入院して「秘伝千羽鶴折方」が日の目を見ます。夢が叶ったというわけです。
本にはそれぞれの完成図と展開図が載っています。義道さんの頭の中では、立体図と平面図が自由に描かれていたようです。百品の完成までに18年を要したといいますから、単なる思いつきではなかったのだと思われます。
友人M君から、高山での連鶴ワークショップを持ちかけられました。観光協会の偉いさんと仲良くなって話が進んでいるとのことです。僕は折ることと教えることは好きですが、飾ること売ることには興味がありません。
一方、M君はリースなどの製作販売をしていて、飾ることにも長けています。連鶴をフォトフレームに飾る案を出しました。義道さんの連鶴は立体的です。僕の連鶴はどれも平面的で、フォトフレームにぴったり。
義道さん、勝手にアレンジしてすみません。ついでに義道さんのおしゃれなところも真似して、名前と短歌を添えます。花売車「華やかな 彩り溢る 花車 引く子の衣装 比ぶるなかれ」輪舞「愛し子に 旅をさせよと 聞きしかど 幼きうちは その手離さじ」