このところ、小さな連鶴に凝っています。7.5センチ四方の越前和紙で、大小13羽の繋がった鶴を折ります。桑名の連鶴をアレンジした「輪舞」や「花売車」。難しい重ね折りや、四方が繋がる箇所を省いた簡易版です。
小さな鶴は一片が1.875センチ。一枚だけでも折りにくいのに、あちこち繋がっているので、こんがらがる時も。無理に引っ張って千切れたら、元も子もありません。時には知恵の輪を解くように、慎重に折ります。
出来上がりは思いの外に上々で、美しい妻も「ちっちゃ!こんなの良く折るね」とおだてます。気を良くして、越前和紙販売所へ持参しました。保存会のごうじさんに見てもらったところ、「ワシはとてもようやらん」と大絶賛。
僕の作ったミニチュア連鶴に関心しきりかと思いきや、奥から何やら取り出してきました。指輪でも入れるような小さな箱を開けると、小さな折り紙が。目を凝らして見ると、連鶴の「青海波」です。「ちっちゃ!」
十円玉の面にすっぽり収まるくらいの「青海波」。僕のミニチュア連鶴の4分の1くらい大きさ。一羽の鶴だけなら折れそうですが、「青海波」は九羽の鶴が繋がっています。こんな小さな連鶴が人の手で折れるのか。
ごうじさんの話では、「作ったのはプロではなく郵便局員さん」「目では見えないので、指の感覚だけで折る」自作を自慢げに見せたことが恥ずかしくなります。上には上があるものです。いや、小には小があるというべきか。
本来の大きさのものを小さくして愛でる慣わしは、古今東西で見受けられます。ジオラマやドールハウスしかり。盆栽や雛人形しかり。ただ、動物を小さく交配するミニチュアダックスフンドやトイプードルはいかがなものか。
「猿の惑星」なら、人間を小さくしてペットにするかも。いやいや、余計な妄想はよしましょう。十円玉サイズの連鶴は、ストレスになりそうなのでやめておきます。上には上があっても、中くらいで満足するのが幸せのコツです。