下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671
mixi日記2016年10月17日から
テーマサイトは下記。
【「ぐうかわ」「ゆめかわ」…若者言葉に「かわいい」新語続々】(全文は末尾に)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/trend/sankei-lif1610170011.html
いろいろなことがよじれて絡み合っている気がする。
まず、「若者言葉」の定義をどう考えるのか、という問題がある。
たとえば「ヤバい」も若者言葉なんだろう。じゃあ、連呼しているオジサンのリアクション芸人や、流行らせた張本人と思われる裏切り者扱いされているベテランアイドル?は若者なの?
「超~」って接頭語も若者言葉って言われたよね。これは「超弩級」以来の由緒正しい日本語とも言える。そのせいかすっかり定着した気がするけど、まだ若者言葉ですかね。
当方は、バイト敬語と若者言葉を仲間扱いすることはあるけど、ひと括りで語る気はない。無謀すぎるから。
●バイト敬語/若者言葉
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html
で、本題。
「ぐうかわ」「ゆめかわ」「ぎゃんかわ」「げろかわ」「めっかわ」……よく考えたもんだ。
こういうのは若者言葉って言うより、「ギャル語」じゃないかな。「ちょべりぐ」の類いだよ。
もっともらしい説明があるけど、厳密に使い分けているのかな。たぶん、同様の使い方をするのでは。あまり意味のない言葉遊びじゃないかな。すべて、「very可愛い」の意味だろう。
これに比べれば、何年も前に流行った「きもかわ」(気持ち悪いけど可愛い)のほうがまだ意味があった。
専門家によると「『かわいい』の対象が広がりすぎ、意味がぼんやりしてしまった。そのため、より意味を限定しようという動きが出ているのではないか」か。そうなのかぁ。
この先生は「流行語に詳しい」んだ。「MAX敬語」の専門家だとばかり考えていた。
以下、2万字略。
ついでに書くと、この記事の筆者は何者? ギャラをもらう原稿なんだから、推敲くらいするよね。「黒い猫」「おいしいコメ」っていつから形容詞になったんだろう。「黒い猫い犬」とか「おいしいコメく食べられる」とか言うんだ。これも若者言葉か。
以下、この記事に関する悪態、5000字削除。
本題に戻ろう。
ギャル語の類いだから、かなり高い確率で消えると断言してもいい。断言しても一応逃げ道を用意しているあたりが姑息(誤用か、正用か)。
ただ、これがホントに新しいか否か、当方には判断できない。少なくとも数十年前に「げろまぶ」って言葉はあった。ほとんど「死語」だと思う。
下記によると1990年代のはじめから「very」の意味の「ゲロ」はあった。流行語に詳しいはずの先生はなんでこのあたりのことをコメントしないんだろう。
http://zokugo-dict.com/09ke/gero.htm
==============引用開始
ゲロ
ゲロは「嘔吐」「自供」「蛙」「とても」といった複数の意味を持つ。
【年代】 意味により異なる 【種類】 -
『ゲロ』の解説
[1] ゲロとは胃の中にある飲食物を吐き戻すことで「ゲロする(過去形:ゲロった)」「ゲロる」ともいう。また、そうした吐き出された吐瀉物を指しても使われる。この意味では昭和初期から使用されており、世代を超えて最も頻度の高い意味である。
[2] ゲロとは自白・自供という意味で、もともと警察の隠語であったが不良を中心に一般にも使用されるようになる。自供・自白が「隠していることを吐く(話す)」ということから、[1]の意味とかけて出来た意味である。
[3] ゲロとは「とても」「すごく」といった後に続く内容を強調する言葉として、1990年代に入った辺りから若者に使用されている。「ゲロかわいい」「ゲロブス」「ゲロうま」「ゲロまず」といった形で使われ、後に続く内容は特に限定されていない。
[4] ゲロとはカエルのこと。これはカエルの鳴き声「ゲロゲロ」からきている。ただし、この意味での使用は少ない。
==============引用終了
さらに言うと、当方はなんでもかんでも「可愛い」で済ませることを否定し切れない。
【「あはれ」と「をかし」をめぐって 独り言です36くらい──日本語教師関連編15くらい】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-723.html
==============引用開始
説明のために(「をかし」の)意味を簡略化する。次の3つということだろう。
1)滑稽
2)疑わしい
3)趣深い
このうち3)は、例を見てもわかるように、現代的な用法とは言えない。現代では、1)と2)の意味で使われる。現代の国語辞典にここまで出ていれば、古語辞典の出番はないか。
とか思いつつ古語の「をかし」の意味を調べて、のけぞる。手元の『古語辞典』(角川書店)には、1)の意味の【可笑し】と3)の意味の【可愛し】が別項になっている。古語ではもっぱら3)だと思っていたorz。
ここで脱線。
1)と3)の両方の意味がある言葉がもうひとつあって、これは現代でもほぼ同様の意味で使われる。古語だと「面白し」で。現代語だと「面白い」。福山雅治演じるガリレオが「実に面白い」と言う場合は、言うまでもなく3)の意味。笑うところではない。さらに外れると、2)の意味はチー語では「あやちい」です。
えーと、気を取り直して……と書きつつ際限なく外れていく。
昔、古文の授業(だったと思う)で教えてもらったこと。古文に出てくる「をかし」は「interesting」のこと。素直に納得したが、厳密に言えば1)の意味のときもあったのね(めったにないと思うが)。
『枕草子』あたりだとなんでもかんでも好ましいものを「いとをかし」で済ませていた印象がある。だから、『大辞泉』の3)もさまざまな意味をあげることになる。
数年前(いまでもそうだけど)、女子高生なんかが、なんでもかんでも好ましいものを「可愛い」で済ます傾向が批判された。本来の意味の「可愛い」以外の広い意味で使われた。この影響は大きく、「キモ可愛い」などという言葉も残っている。
あのときオジサンオバサンは「可愛いしか言葉を知らんのか」と憤慨していた。当方は若い世代の一員として悔しさに唇を噛み締めて呟いていた。
……清少納言に同じことを言えるもんなら言ってみろよ。「をかししか言葉を知らんのか」
==============引用終了
「ぐうかわ」「ゆめかわ」…若者言葉に「かわいい」新語続々
==============引用開始
「ぐうかわ」「ゆめかわ」-。若者が多用する形容詞「かわいい」を意味する新語が続々と生まれ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上などで盛んにやり取りされている。若者言葉では「かわいい」が示す範囲が広がっているため、用途に合わせて意味を限定する言葉として使われているようだ。
「ぐうかわ」は「ぐうの音も出ないほどにかわいい」という意味。メルヘンチックで女の子らしい様子は「ゆめかわ(夢のようにかわいい)」。衝撃を受けたような「ぎゃん」という擬音を付けた「ぎゃんかわ」、「吐くほどに」という程度を強調した「げろかわ」もよく使われる。
「かわいい」は、「黒い猫」「おいしいコメ」などと同様に名詞の前に付けてそのものの属性を表す形容詞の一つ。広辞苑によると、「小さくて美しい」ものなどを表現するために使われる。しかし近年は、若者を中心にグロテスクな深海生物など、これまで「かわいい」が使われていなかった対象にも用いられるケースが増えている。
流行語に詳しい名古屋大大学院の町田健教授(言語学)は「『かわいい』の対象が広がりすぎ、意味がぼんやりしてしまった。そのため、より意味を限定しようという動きが出ているのではないか」と指摘する。
「ぐうかわ」など新語は暗号のようで、若い世代の仲間内だけに通じるのが特徴。使うことで仲間意識を高める効果もあるという。
ほかの世代へ広がった例もある。「とても」を「超(ちょー)」と言い換える表現などが好例だ。町田教授は「若者言葉の大部分は短期間で消えていくが、使い勝手の良さなどから残るものもある。若者言葉には言語を創造していく力が備わっている」としている。(玉崎栄次)
==============引用終了