92人の死から見えてきたものは~「氾濫発生情報」那珂川の未発表地点は15か所に | Just One of Those Things

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巡回途中で本当に申し訳なく思っておりますが、溜まりに溜まっておりますので、取り上げます。

 

科学オタクの主婦が危機感から一人でこねまくっております、危機管理シリーズより、自然災害編。
 
台風19号の検証されたデータの報道を取り上げます。
 
現在確認されている死亡者数は93人ですが、92人のままだった頃の当時のものを取り上げます。
 
 
11月14日。台風19号による豪雨被害から1か月。全国で92人が亡くなり、3人が行方不明のままです。下記はNHKが検証したものです。
 
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92人の死から見えてきたものは
2019年11月14日 20時29分 NHK
 
©NHK

台風19号による豪雨被害から1か月。全国で92人が亡くなり、3人が行方不明のままです。
 
災害担当の記者として、何を伝え、どのような呼びかけをすれば少しでも被害を減らすことができたのか…。

犠牲になった方が被害にあった場所や状況を詳しく調べることで、課題や教訓を導き出せないかと私たちは調査を始めました。
 
そこで見えてきたのは、「ハザードマップの限界」と「災害時に社会をどう止めるのか」という2つの大きな課題でした。
 
(台風19号取材班・社会部記者 藤島新也・ネットワーク報道部ディレクター 田中元貴)
 
※分析には、令和元年11月12日現在の情報を用いた。

■92人はどこで亡くなったのか
 
©NHK 自治体が作成しているハザードマップ

「ハザードマップをもとに、自分がいる地域の危険性を確認してください」
 
これまで私たちが台風の前に何度も呼びかけてきた言葉です。
 
ハザードマップは、浸水や土砂災害のおそれがある場所を示した防災マップ。市町村が配布したりHPで公開したりしていて、リスクを把握し避難を判断する重要な材料になります。
 
では、今回の台風による被害は、ハザードマップなどで事前にリスクが示された場所で起きていたのでしょうか?
 
それを検証するため、各地で取材にあたった記者を通じて情報を集め、防災が専門の静岡大学の牛山素行教授とともに詳しく見ていくことにしました。
 
©NHK
 
■亡くなった人と土砂災害危険箇所・浸水想定区域の関係は
 
まず、92人が亡くなった場所とともに、ハザードマップを作るもとになる土砂災害の危険性がある「土砂災害危険箇所」と、川が氾濫した場合の浸水範囲を示す「浸水想定区域」を地図上で重ねました。
 
そのうえで、水害と土砂災害で死亡した79人について、亡くなった場所と、リスクが想定されていた場所との位置関係を調べました。

■7割は「想定された範囲内」 3割は「想定外」
 
©NHK
 
すると、7割にあたる52人があらかじめリスクが想定された範囲内で死亡していた一方、3割にあたる27人は、土砂災害危険箇所でも浸水想定区域でもない、いわば「想定外」の場所で命を落としていたことが見えてきました。
 
「想定外」の場所で死亡した人は、
▽宮城県が12人、
▽福島県が6人、
▽群馬県と神奈川県が3人、
▽長野県、静岡県、岩手県でそれぞれ1人でした。
 
©NHK
 
©NHK

宮城県と福島県では、中小河川の周辺で被害にあったケースが数多くありました。

群馬県は全員が「土砂災害」の犠牲者で、想定されていない斜面が崩れたことによって犠牲になっていました。

■宮城 丸森町 7人が「想定外」の場所で

最も想定外の場所での死者が多かったのが宮城県丸森町です。

町内で亡くなった10人のうち7人が死亡したのは、リスクが想定されていない場所でした。
 
©NHK
 
上の図は、丸森町中心部の竹谷地区の周辺です。

阿武隈川の支流の新川が氾濫しましたが、住民が命を落としたのは、確かに浸水想定区域の外側でした。
 
©NHK
 
丸森町の住民はどのように感じていたのでしょうか。
 
住民に話を聞いてみると「すぐそばを流れる川の水は、ふだんは幅が2メートルほどで、深さも30センチ程度。水が多いという印象は全く無いです。氾濫も考えていませんでした」と話していました。
 
ハザードマップなどの外側でもあり「まさか…」という思いがあったようです。

■なぜ、危険性が想定されていないのでしょうか?
 
実は「中小の河川」は、事前の想定を行う対象になっていないのです。
洪水などへの備えを定めた「水防法」では、事前に浸水範囲の想定を行う対象を、流域面積が広い川や洪水が起きた場合に影響が大きい河川としています。
 
国土交通省によると、今回の台風で堤防が決壊した全国の71の河川のうち6割にあたる少なくとも43の河川は、浸水想定を行う対象ではなかったということです。
 
©NHK
 
宮城県丸森町では、阿武隈川の支流の新川や内川、五福谷川といった中小河川が氾濫しましたが、浸水の想定を行う対象ではなかったのです。このため、事前にリスクが示されていませんでした。

■「地形」に注目を 特に注意すべきなのは…
 
事前にリスクが示されていない場合、私たちはどう備えれば良いのでしょうか?
 
一緒に分析を進めてきた牛山教授は、「地形」に注目することが大切だと教えてくれました。特に注意すべき地形が「低地」です。
 
©NHK
 
「低地」とは周囲と比べて低い土地のことで、標高は関係ありません。川沿いの平たんな土地などは典型的な低地にあたります。
 
川岸と高さが同じような場所は「低地」で、浸水するリスクがあるということです。
 
牛山教授が平成11年から去年までに発生した水害で死亡した人のうち、被害にあった場所が詳しくわかった270人を調べた結果、93%にあたる251人は「低地」で被害にあっていたということです。
 
今回の台風19号で、「浸水想定区域」の外で水害にあって死亡した人は17人。このうち被害にあった場所が詳細に判明している13人は、全員が「低地」で被害にあっていることがわかりました。
 
先ほどの宮城県丸森町の現場も低地です。
 
©NHK 静岡大学 牛山素行教授

これについて牛山教授は「ハザードマップは避難の参考になるので、行政は整備を進めていくべきです。ただし、河川の数が多いため、整備には時間がかかります。このためハザードマップがない地域でも「地形」に注目し、リスクを知っておく必要がある」と指摘しています。

■見えてきたもう1つの課題

今回の分析で見えてきたもう1つの課題。

それは、「仕事中」「通勤・帰宅中」に犠牲になった人が多かったということです。
 
©NHK

福島県飯舘村で新聞配達のために勤務先に向かっていた75歳の男性や、宮城県大和町で、食品工場での勤務を終えて帰宅中だった58歳の女性がいずれも水害で犠牲になっています。

■約15%は「仕事中」「通勤・帰宅中」
 
©NHK
 
今回の分析では、こうした「仕事中」「通勤・帰宅中」に被災した方は13人と、全体のおよそ15%に上ることがわかりました。
 
さらに「避難中」や「避難呼びかけ中」など、屋外での移動中に被災した方も20人にのぼりました。

この結果について、牛山教授は、
「屋内にいれば助かった可能性もあり、何とかできないかと強く感じます。屋外は非常に危険で、車も簡単に流されることを多くの方に知ってほしい。また、災害の危険性が高まった時には、無理な出勤や帰宅をさせないなどの対応を、企業は考えておく必要がある」と話しています。

■災害時の社会活動を止める必要性

「仕事中」「通勤・帰宅中」に死亡した13人のうち、12人が宮城県と福島県でした。
 
都市部では、鉄道の「計画運休」をきっかけに会社や学校が休みになるなど、社会活動を一時的に止める動きが広まりつつあります。

結果として、屋外で行動する人が減る効果が指摘されています。
 
一方で、より車での移動が多い地方では、企業などの社会活動を止める仕組みが働きにくい側面があるのではないでしょうか。
 
災害が迫る中での出勤や帰宅のルールづくりを企業は進めていく必要がありますし、地域として足並みをそろえる準備が大きな課題として突きつけられたと感じます。

■想定には限界も 「もしも」を想像してみる

今回の災害では、死亡した人の7割がハザードマップで危険性が指摘された場所で死亡していました。

あらかじめわかっているリスクを把握し、早めの避難を心がけることが重要なことは、今後も変わりはありません。
 
そのうえで、台風19号が突きつけた課題は「想定には限界がある」ことでした。

国や自治体には「想定外」を減らす努力が求められますが、私たちも、日頃から「自分が住む場所を知る」努力が欠かせないと強く感じました。
 
「うちは大丈夫」と思うのではなく、もしも近くの川があふれたら?崖が崩れたら?と想像してみることが大切です。
 
そして、防災・減災報道に携わる私たちも、日頃からどのような呼びかけができるのか、災害が迫った時にはどのように注意を呼びかけるべきか、考えていきたいと思います。
 

★分析結果 死亡した原因別
 

▽水害…62人(67%)
▽土砂災害…17人(18%)
▽船の沈没…7人(8%)
▽風…3人(3%)
▽事故・関連死等…3人(3%)
 
★分析結果 被災した場所・災害種別
 

▽屋外…57人(62%)
(内訳)・水害…41人(72%)
    ・土砂災害…4人(7%)
    ・風…3人(5%)
    ・他…9人(16%)
▽屋内…35人(38%)
(内訳)・水害…21人(60%)
    ・土砂災害…13人(37%)
    ・他…1人(3%)
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11月15日。台風19号による豪雨で茨城県の那珂川が氾濫した際、国土交通省が氾濫発生情報を出さなかった問題で、当時、氾濫が確認され情報を発表すべきだった地点が合わせて15か所にのぼっていたことが分かりました。国土交通省は検証チームを設けて改善策をまとめることにしています。
 
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「氾濫発生情報」那珂川の未発表地点は15か所に
2019年11月15日 5時22分 NHK
 
©NHK

台風19号による豪雨で茨城県の那珂川が氾濫した際、国土交通省が氾濫発生情報を出さなかった問題で、当時、氾濫が確認され情報を発表すべきだった地点が合わせて15か所にのぼっていたことが分かりました。国土交通省は検証チームを設けて改善策をまとめることにしています。

台風19号の豪雨で茨城県を流れる那珂川では3か所で堤防が決壊して氾濫しましたが、国土交通省と気象庁は「氾濫発生情報」を出さなかったとして先月、陳謝しました。
 
国土交通省はこうした情報発信の課題について検証するチームを設け、14日に初めての会合を開きました。
 
この中で、当時那珂川では決壊した場所以外にも各地で川の水が堤防を越えてあふれたのが確認されていて、本来「氾濫発生情報」を出すべきだった地点は、茨城県と栃木県で合わせて15か所に上っていたことが報告されました。
 
このほか、茨城県を流れる久慈川でも1か所で、本来出すべき「氾濫発生情報」を発表していなかったということです。
 
また、氾濫が発生した際や氾濫のおそれがある際に住民の危険を伝える緊急速報メールも、全国7つの河川で送られず、宮城県の吉田川と長野県の千曲川では実際に氾濫が発生したことを伝えるメールが送られていませんでした。
 
これらの原因について「堤防の決壊や越水などが複数の地点で相次ぎ、現場が混乱していた」などという報告が上がってきているということで、検証チームでは、担当者から話を聞くなどし、来年3月までに改善策をまとめることにしています。
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検証シリーズは少しずつ取り上げております。ご了承くださいませ。最新情報を知りたい方は、下記をご覧くださいませ。今後も続きます・・・。
 
≪NHKのコンテンツ≫
「台風19号 支援」-NHK NEWS WEB
「台風19号 検証」-NHK NEWS WEB
「台風19号」-NHK NEWS WEB
「台風19号 被害」-NHK NEWS WEB
「台風19号 影響」-NHK NEWS WEB
「台風19号 交通」-NHK NEWS WEB
気象・災害ニュース一覧-NHK NEWS WEB
 
≪NHKのスペシャルコンテンツ≫
ニュース特設 大雨・台風19号 豪雨災害
「台風19号 93人死亡 3人不明 71河川で決壊 8万棟余で住宅被害」となりました。
※「台風 大雨の農林水産関係の被害額 3300億円超」となりました。
※その後、「台風と大雨 農林水産関係の被害3600億円 西日本豪雨上回る」となりました。
※その後、「台風19号とその後の大雨 農林水産被害額 3000億円超える」となりました。
※「JR東日本 台風19号の被害 478億円の見通し」となりました。
 
※今後に役立てるために、昨年の豪雨と同じく、データを取りあげつくして、後でまとめてデータベース化します。
 
≪家族のペットのために≫
ももこひめさんより。

≪これからの家族のペットのために考えて≫
※別記事で立てる予定でしたが、先に取り上げます。
ももこひめさんより。
ペットがいる被災家族の苦悩 避難所を断念、全壊認定家屋2階で暮らす
避難所にペット 千葉県内、対応に差 千葉市「ケージやリードを」市原市「場所ない、屋外で」
『避難所への「ペット同行」どうすれば 「断られた」報告も』-に思うこと。
豪雨災害でペットはどうする? 全国初と言われたペット同伴避難所の実態とは
台風19号 ペットの同行避難問題について
ペット同伴避難が認められず自宅に留まる~筆者の台風襲来時の体験記~
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※落ち着いたころ、ペットを守るための防災対策の記事でこれらの記事を取り上げます。
 
 
※度重なる通院で、巡回等が大変遅れております。申し訳ございません。
 
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