気候変動生態学: サンゴの白化事象の群集規模の帰結 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、32号目のネイチャーのハイライトより。

 

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気候変動生態学: サンゴの白化事象の群集規模の帰結
Nature 560, 7716
2018年8月2日    

今回R Stuart-Smithたちは、2016年にグレートバリアリーフおよび珊瑚海で発生した大規模白化事象の後に魚類および大型無脊椎動物の群集の構造と機能に生じた変化をマッピングした。白化事象の後には、種の豊かさおよび機能的多様性の緯度勾配が弱まり、北部と南部の群集がより似たものとなっていた。多くの場合、こうした生態系レベルの帰結は、サンゴの死滅率とは無関係であるように見える。

Letter p.92
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今回は、これまで取り上げてきたものを取り上げた方がよいですね・・・。
Nature 556, 7702
2018年4月26日 
 
上記は直接関係ある物だけ取り上げました。
 
サンゴ礁で重要な役割を果たしているブダイ類は、度重なる海水温の上昇(2016年の大規模白化事象を含む)の後、グレートバリアリーフ北部と珊瑚海において個体数が減少しました。
ブダイ科 - Wikipedia
 
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気候変動生態学:グレートバリアリーフにおけるサンゴの大規模白化事象後の生態系の再構築
Nature 560, 7716 |  Published: 2018年8月2日 |

地球温暖化によってサンゴの大規模白化事象の頻度および規模が増大しており、これに伴って多様なサンゴ礁生態系が大きく変化しつつある。局地的な影響が関連地域全域へと拡大する仕組みは、サンゴ死滅率の不均一性、サンゴ礁に生息する生物種個体群への極端な海水温の代謝的影響、そしてタクソン間の相互作用など、数多くの要因に依存する。今回我々は、2016年の大規模白化事象の前後のデータを用い、グレートバリアリーフおよび珊瑚海西部を緯度的に網羅する186地点で、サンゴ、藻類、魚類および移動性無脊椎動物の生態学的変化を評価した。白化事象の1年後、極端な海水温を経験した調査対象のサンゴ礁では、サンゴ被度に最大51%の減少が認められたが、サンゴ死滅率の地域的パターンは不均一であった。被害が最も深刻なサンゴ礁では、サンゴ食魚類の一貫した減少が明らかだったが、サンゴ礁魚類および無脊椎動物の他の短期的な応答で原因がサンゴ被度の変化に直接関連付けられるものはほとんどなかった。しかし、地域全体に見られた顕著な生態学的変化は、大半がサンゴの消失とは無関係に起きており、むしろ海水温と直接的に関連しているようだった。群集全体で栄養構造の再構築が起きていることは明白で、魚類や無脊椎動物、およびそれらの機能群の多様性において、それまで存在した強い緯度勾配が弱まっていた。特に、サンゴ礁表面の藻類をそぎ取って食べる魚類は白化後の回復に重要と考えられているが、こうした魚類は北部のサンゴ礁で減少しているのに対し、別の植食性魚類は南部のサンゴ礁で増加していた。2016年の白化事象の影響の全貌は、死んだサンゴが今後の10年で崩壊するまで明らかにはならない可能性がある。とはいえ、我々の短期的な観察結果からは、回復の過程、そして最終的な影響の規模が、群集内の機能的変化によって影響を受けており、これは局地的なサンゴ礁関連動物相の温度に依存することが示唆された。こうした変化は地理的に異なると考えられ、多くの魚類および無脊椎動物がそれぞれの温度的分布限界付近に存在する場所では、特に深刻である可能性がある。
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Nature 559, 7715
2018年7月26日
上記は気候変動予測モデルを構築するためのものです。
 
多くの魚類および無脊椎動物がそれぞれの温度的分布限界付近に存在する場所を調査する必要があるようです。
 
今回は地球温暖化に関する資料は取り上げていません。
 
溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、代謝学より、 コハク酸は褐色脂肪組織に入り、代謝疾患で熱産生を高める、を取り上げます。代謝疾患の有効な治療法につながるかもしれません。
 
 

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