気候変動生態学: 白化したグレートバリアリーフのその後 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、17号目のネイチャーのハイライトより。

 

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気候変動生態学: 白化したグレートバリアリーフのその後
Nature 556, 7702
2018年4月26日 


世界最大のサンゴ礁系であるグレートバリアリーフは、2016年の記録的な海洋熱波を受けて深刻な白化事象を経験した。今回T Hughesたちは、この熱波における熱曝露の地理的パターンと熱波によるサンゴ群集の死滅の状況を、サンゴ礁系全体にわたってマッピングした。その結果、この白化事象によるサンゴの大量死により、全サンゴ礁系の3分の1近くが多大な影響を受けたことが分かった。個々のサンゴ礁スケールでは、死滅の深刻さは白化の規模および熱曝露のレベルと高度に相関していた。白化後の死滅によって、白化がより深刻だったサンゴ礁ではその機能的構成が変容し、成長の速い造礁サンゴは、成長が遅くてより単純な形態を持つタクソンに取って代わられた。


Letter p.492
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グレートバリアリーフのサンゴの大量死は地球温暖化によって受けたものです。地球温暖化の指標として、まず挙げられるのは、グレートバリアリーフのサンゴの大量死でしょう。

 

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気候変動生態学:地球温暖化により変容するサンゴ礁群集
Nature 556, 7702 |  Published:  2018年4月26日  |


地球温暖化は、生態学的な完全性や機能に対する普遍的な脅威として急速に顕在化しており、これは、熱への曝露が生態系の復元力および生態系に依存する人々に及ぼす影響についてのより良い理解が緊急に必要であることを強調している。今回我々は、グレートバリアリーフで2016年に生じた記録的な海洋熱波の結果として、熱曝露露の累積がDHW(degree heating week;週積算高水温)の臨界閾値である3~4°C-weeksを超えたサンゴ礁で、サンゴが即座に死滅し始めたことを明らかにする。8か月後には、6°C-weeks以上の熱曝露によってサンゴの群集構成に前例のない地域スケールの変化が生じた。これは、異なるタクソンでは熱ストレス応答が著しく異なることを示している。成長の速い枝状サンゴおよび卓状サンゴは壊滅的な大量死に見舞われ、この世界最大のサンゴ礁系を構成する3863のサンゴ礁のうち29%で三次元構造と生態学的機能が変容した。本研究は、生態系の初期状態と崩壊後の状態の両方を厳密に明確化することにより、国際自然保護連合(IUCN)の生態系レッドリストの新しい枠組みに基づいて、生態系崩壊のリスク評価に関する理論と実践との溝を埋めるとともに、こうした変化の主要な駆動要因を明らかにして、生態系崩壊の定量的な閾値を設定するものである。サンゴの白化後の大量死の増加・拡大は熱帯サンゴ礁の撹乱体制の急変を表しており、この急変は、繰り返し発生するサイクロンなどの局地的な脈動事象の影響を増大させるだけでなく、そうした影響をはるかに上回るもので、これらの象徴的な生態系の長期的な未来への根本的な課題を突き付けている。

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人はなすすべもなく、サンゴはあっという間に大量死してしまいましたが、あっという間に生態系が変わって来ているのがわかりました。人はどうすべきなのか、人はどうやったらいいのか、各々が考えていかなければならないことだと思います。

 

温暖化を肌に感じ取っているのが、今回の論文の研究者たちや自然に関する仕事に携わっている人々です。ネイチャーでは報告で、北極の氷が沢山流れてきているのを見て恐怖に大騒ぎしたこともありましたが、現在では苦悩しているもようです。

 

次回は、免疫学よりイタコン酸についての論文を取り上げます。

 

 

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