クレクス先生の児童書ナビブログ

クレクス先生の児童書ナビブログ

とある小学校の図書館で司書をしています。
仕事で出会った素敵な絵本や児童書の中からオススメの本を紹介したいと思います。
(たまに児童書以外も紹介します。)

 4年生のあすかは、近くの養鶏場で鶏が処分されている場面を偶然目にしてしまいます。そして1匹の鶏を救ったことで、鶏肉を食べること、生き物の幸せ、そして自分たちのすべきことなど、たくさんのことを悩みながら考えていくことになります。そして、あすかはその想いを新聞にまとめることにしました。

 かわいいイラストでほっこりした印象ですが、内容は硬派です。小4の主人公が自分の目で見て感じることは、現代を生きる私たちが知り、考えるべきことだと思いますが、普段はなんとなく隠されているものばかりだなと感じました。私たちは、生き物の命をいただいて生かされています。その意味を、もう一度見つめなおしたいと思いました。夏休みの読書感想文の本としてもおすすめです。

 

 

 

 

 「青空小学校いろいろ委員会」シリーズの最新刊は、放送委員です!

 4年1組の放送委員は、学校の人気もの、ピョンタ。放送委員になってわくわくしていたのに、担当の先生は暗いし、委員長はピョンタの苦手な6年生のモトキ。なんだかがっかりのピョンタ

ピョンタの放送委員生活は一体どうなる?!

 このシリーズは、登場人物たちがとてもリアルで生き生きしていて、読んでいてもとても楽しいのですが、この1冊も同様でした。でも、楽しく読み進めながらも、「自分の見えている世界がすべてではない」という人生の真理がさらりと表現されていて、それも良かったです。次回作もとても楽しみなシリーズです。

 

 

 

 

 絵心がない私。そんな私でも「…ちょっとねこの絵、描いてみようかなあ」と思った1冊です。

 ロングセラー絵本「11ぴきのねこ」シリーズで有名な、馬場のぼるさんの絵の描き方の紹介絵本です。ねこやうさぎ、十二支の動物などを描く方法を丁寧に説明してくれています。基本の形が示され、描く順番も紹介されているので、「これならできるかも!」と絵を描くハードルをググっと下げてくれる本です。年齢にかかわらず楽しめると思います♪絵に苦手意識がある人に特におすすめです!

 

 

 

 

 

 

 この本の著者は、小学校の給食を作る現役の栄養士さんである、松丸奨さん。学校栄養士になろうと思ったきっかけや、ご自身の小学校時代のこと、職場である小学校の子どもたちへの思いなど、とても素直に綴られています。

 読んでいて驚いたのは、松丸さんの「おいしい給食を作りたい!」という情熱です。安くて美味しい野菜を仕入れるため、八百屋さんが学校に野菜を届けれくれる朝5時に学校にいて、八百屋さんと直接お話することで情報収集。胃もたれしない揚げパンを目指して自宅で100個の試作。おいしいラーメンを給食で再現するために、研究に研究を重ねる。そしてその情熱は実を結び、「全国学校給食甲子園」で2,266校の頂点に立つことになります。

 学校栄養士さんの仕事や、給食の調理員さんのお仕事を知ることができるのはもちろんですが、仕事におけるジェンダーのことや、学校の教室以外の子どもの居場所について、世界の子ども食事情、コロナ禍での給食などなど、考えさせられることがたくさんある1冊でした。

 私も小学校が職場のため、毎日給食にお世話になっていますが、学校栄養士さんについて、そして給食について知らないことばかりでした。給食を日々食べている少・中学生におすすめしたいのはもちろんですが、学校に勤務している教職員のみなさんにもぜひ読んでもらいたいと思いました。毎日栄養士さんが手間暇をかけてくださっていることをかみしめながら、感謝しながら給食をいただこうと思います。学校栄養士さん、いつもありがとうございます!!!

 

 

 

 

 

 

 夏休みに「選挙啓発ポスター」を描く課題が出ている、中学・高校生のみなさ~~ん!!まずは選挙についての本を1冊読んでみませんか~~~!

 

 池上彰さんの書いた、18歳からの選挙シリーズの1巻目「知れば知るほど面白い選挙」を読んでみました。選挙が生まれた理由、選挙権と被選挙権、選挙の種類、議会の仕組みなどなど、選挙の基本を知ることができます。

 大人になってからしばらく経っており、選挙には毎回行っている私ですが、改めて知ることも多く、とても勉強になりました。「『次の選挙で落選するかもしれない』と思わせることによって、政治家たちに一生懸命仕事をさせる。これが選挙制度の本質です。」とう一文が、とても印象に残りました。中高生のみなさん、宿題頑張ってください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 藤村わかばは、中学2年生。3月の日曜日、曾祖母のつる子に呼び出されます。呼び出しって何事?とドキドキしながら、両親と一緒につる子の家を訪れたわかば。そんな中、つる子から出てきたのは「高校の学費を私が援助する」という話!戸惑うわかばと喜ぶ両親。ただ、それには1つ条件が。それは「今の実力よりもワンランク上の学校を目指すこと」!わかばは、奨学金ゲットに向けて、受験に向けて進学塾に入ることになりますが…

 タイトルだけの印象では、「ひ孫思いのおばあちゃんの優しいお話?」と思っていましたが、作品の中で、「女であること」で女学校への進学を反対された、つる子おばあちゃんの悔しさがあふれていて、ちょっと切なくなりました。そして、このことをきっかけに、わかばたち家族は、ジェンダーについて深く考えさせられることになります。

 また、中三の生活の中で、学校や塾の成績に一喜一憂する様子や、塾の友達との関係性、部活との両立など、受験生の揺れ動く気持ちがとてもリアルに描かれているな~と感じました。今後受験予定の中1・2年生や、その家族にもおすすめしたい1冊です。中学生の夏休みの読書感想文にもおすすめです!

 さて、わかばの受験の結果はどうなるのでしょうか?ぜひ自分の目で確かめてみてください!

 

 

 

 

 

 

 

 大正時代の最後の年である、1926年に福岡で生まれた料理研究家、桧山タミさんの生い立ちをつづったノンフィクションです。自分の母校の小学4年生に対して行った授業の続き…という内容なので、小学生にも楽しく読める内容になっています。

 大正、昭和、平成、令和…と4つの時代を経験している桧山さん。11人兄弟の10番目として誕生。病気で1年学校を休み、20歳前後で太平洋戦争を経験、戦後結婚して双子の男の子を出産。子どもたちが4歳になった年に夫が病死。女手一つで子どもたちを育てるために、自分で「桧山タミ料理学院」を立ち上げます。トピックだけ見ると、波乱万丈、ハードな人生を送られてきたんだな…と感じますが、語り口がカラッとしているため、読んでいるこちらが元気をもらえる内容でした!桧山さんの口癖は「クヨクヨするなら寝たほうがマシ!」前向きなメッセージがたっぷりの1冊です。親子で読むのもおすすめです。(親の方が夢中になってしまうかも?!)巻末には、おいしいおにぎりの作り方が紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 小学生のういさんが、4人のLGBTQ+の当事者のみなさんに質問をした絵本です。
 「トランスジェンダーの人は、何に困っているんですか」「ふつう、あたりまえ、ということばは、いやに感じますか」などの疑問に、オードリー・タンさん、杉山文野さん、ロバート・キャンベルさん等が答えています。優しい言葉で書かれているので、小さい子どもでも理解できるようになっています。内容も良かったのですが、私は巻末にあった、監修の松中権さんの言葉が、特に印象に残りました。
 
 「みなさんのお子さんや家族、友だち、職場の仲間などが、『LGBTQ+の当事者なのかも?』と思ったとしても、クローゼットの扉を無理やりあけないてください。本人が自分自身と対話し、自分の気持ちを整えて、自分のペースで、自分のタイミングで、扉をあける準備をしている時なのかもしれません。また、性のあり方は、ひとりひとりが違うだけでなく、ひとりの人生においても変化するとも言われています。」
 確かに、カミングアウトする選択肢と同じように「カミングアウトしない選択肢」もありますよね。一番大事なことは、その人のジェンダーがどうであれ、そしてカミングアウトしてもしなくても、「みんなそれぞれ、違っているのが当たり前だし、そのままでみんなが幸せに生きていける」という世界にしていくことが大事なんじゃないかな、と思いました。まだまだ、理想と現実は離れていますが、少しでも近づけていけるように、私はこの本を図書館に置きたいな、と思います。まず、自分のできる所から…
 世の中にあふれるレシピ本ですが、「理数系」と「スイーツ」が一緒になっている本は初めてみました!「え、え、どんな内容??」と興味津々で読み始めました。
 スイーツを作る上では、材料を数えたり、材料を計ったり、色々な形に切り分けたり、1つのケーキを等分に切り分けたり、チョコレートの溶ける温度を調整したり…などなど、算数や理科のエッセンスがぎっしり含まれています。そんな中で、楽しみながら、算数や理科について考えてみよう!というスタンスの内容になっています。
 ページの中にポイントのコラムがあり、そこが他のものと一味違うところ。1本の串に刺したお団子を食べると残りは何個あるか。500mlの牛乳でミルクゼリーを5つ作ると、1つあたり何mlずつになるか。パイを作る時に色々な三角形を作ったり、立方体のサイコロゼリー、など、「算数のドリルなんかも、こんな感じにレシピ入りで作ったら、ちょっと面白いかも…」なーんんて思いました。写真もとてもすてきなので、理数系が苦手な人でも十分に楽しめますのでご安心を…
 にんげんは、でかけていった。さて、これから、るすばんのじかん。ねこがおとなしく、るすばんしているとおもうなよ…
 タイトルから「飼い主がいない家の中で、のんびり昼寝でもするお話かなぁ」なーんて予想しながらページをめくりましたが、とんでもないっ!この猫ちゃん、ただものではありません。家を抜け出し、カフェでお茶したり、バッティングセンターに行ったり、銭湯でお湯に浸かったり…と、留守番タイムを大大大満喫!
最高なのが、その表情。どんな場所でも堂々としていて、どこもすでに常連さんなんだろうな、と感じさせられました。
猫に限らず、「留守番お願いね」と家に残してきた動物や子ども、自分のパートナーなどは、自分の想像とは違う時間の使い方をしてるのかも…なーんて思いました。そういえば、自分も子どもの時の留守番で、親に「宿題やっててね」なんて言われてもこっそり遊んでたことを思い出しました。(笑)