372)タイトル:つる子さんからの奨学金 著:まはら三桃 出版社:偕成社 | クレクス先生の児童書ナビブログ

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とある小学校の図書館で司書をしています。
仕事で出会った素敵な絵本や児童書の中からオススメの本を紹介したいと思います。
(たまに児童書以外も紹介します。)

 藤村わかばは、中学2年生。3月の日曜日、曾祖母のつる子に呼び出されます。呼び出しって何事?とドキドキしながら、両親と一緒につる子の家を訪れたわかば。そんな中、つる子から出てきたのは「高校の学費を私が援助する」という話!戸惑うわかばと喜ぶ両親。ただ、それには1つ条件が。それは「今の実力よりもワンランク上の学校を目指すこと」!わかばは、奨学金ゲットに向けて、受験に向けて進学塾に入ることになりますが…

 タイトルだけの印象では、「ひ孫思いのおばあちゃんの優しいお話?」と思っていましたが、作品の中で、「女であること」で女学校への進学を反対された、つる子おばあちゃんの悔しさがあふれていて、ちょっと切なくなりました。そして、このことをきっかけに、わかばたち家族は、ジェンダーについて深く考えさせられることになります。

 また、中三の生活の中で、学校や塾の成績に一喜一憂する様子や、塾の友達との関係性、部活との両立など、受験生の揺れ動く気持ちがとてもリアルに描かれているな~と感じました。今後受験予定の中1・2年生や、その家族にもおすすめしたい1冊です。中学生の夏休みの読書感想文にもおすすめです!

 さて、わかばの受験の結果はどうなるのでしょうか?ぜひ自分の目で確かめてみてください!