370)タイトル:みんなえがおになれますように 作:うい 出版社:学研プラス | クレクス先生の児童書ナビブログ

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とある小学校の図書館で司書をしています。
仕事で出会った素敵な絵本や児童書の中からオススメの本を紹介したいと思います。
(たまに児童書以外も紹介します。)

 小学生のういさんが、4人のLGBTQ+の当事者のみなさんに質問をした絵本です。
 「トランスジェンダーの人は、何に困っているんですか」「ふつう、あたりまえ、ということばは、いやに感じますか」などの疑問に、オードリー・タンさん、杉山文野さん、ロバート・キャンベルさん等が答えています。優しい言葉で書かれているので、小さい子どもでも理解できるようになっています。内容も良かったのですが、私は巻末にあった、監修の松中権さんの言葉が、特に印象に残りました。
 
 「みなさんのお子さんや家族、友だち、職場の仲間などが、『LGBTQ+の当事者なのかも?』と思ったとしても、クローゼットの扉を無理やりあけないてください。本人が自分自身と対話し、自分の気持ちを整えて、自分のペースで、自分のタイミングで、扉をあける準備をしている時なのかもしれません。また、性のあり方は、ひとりひとりが違うだけでなく、ひとりの人生においても変化するとも言われています。」
 確かに、カミングアウトする選択肢と同じように「カミングアウトしない選択肢」もありますよね。一番大事なことは、その人のジェンダーがどうであれ、そしてカミングアウトしてもしなくても、「みんなそれぞれ、違っているのが当たり前だし、そのままでみんなが幸せに生きていける」という世界にしていくことが大事なんじゃないかな、と思いました。まだまだ、理想と現実は離れていますが、少しでも近づけていけるように、私はこの本を図書館に置きたいな、と思います。まず、自分のできる所から…