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クレクス先生の児童書ナビブログ

とある小学校の図書館で司書をしています。
仕事で出会った素敵な絵本や児童書の中からオススメの本を紹介したいと思います。
(たまに児童書以外も紹介します。)

 10代は、心と体の土台を作る大切な時期。この時期に意識しておきたい31のミッションが紹介されています。  

 著者は、「声に出して読みたい日本語」を書かれた、齋藤孝さんです。「あいさつで心を開け!」「まちがえてもいいから自分の考えをのべよ!」「経験して心を強くする!」など、具体的なタイトルがついているので、どこからでも読みやすくなっています。


 中でも一番印象的だったのは、「生活のミッション:優先順位を書いて確かめよ!」でした。その中に「ぼくは、この世の中で生き抜くためにいちばん大事な力は、優先順位をつける力だと思います。」という一文がありました。た、たしかに…毎日の生活は「今、何をするべきか」という判断の連続ですものね。そして、子どもだけでなく、大人にとっても日々磨かなくてはいけない能力だな、と感じました。限られた人生の時間を、より楽しく充実したものにするためにも、子どもはもちろん、大人にもおすすめしたい1冊です!


 

 

 ぼくには2人のママがいる。ぼくを産んでくれたママと、今一緒にいるママ。ある日ママに聞いたんだ。「ママ、ふつうママはひとりなの?」ママはにっこり笑って言ったんだ。「ママがひとりのひとも、ふたりのひとも、いないひともいるのよ。みんなそれぞれ、どれもふつう。」

 ご自身も里親である作者による、里親家庭で暮らす男の子が主人公の絵本です。温かい絵がとても印象的な1冊。登場人物を囲む大人たちの笑顔がとても優しくて、主人公がたくさんの愛に包まれて育っていることが伝わります。

 里親のママの言葉の「みんなそれぞれ どれもふつう」という言葉通り、「ふつう」は1つではなくて、それぞれの家族ごとに無数にあるもの。そう考えると、大人も子どもも、もっと生きやすい世の中になるのではないかな、と思いました。子ども達より先に生まれてきた大人として、私にできることはなんだろう…と考えてしまいました。1人でも多くの大人と子どもに読んでもらいたい1冊です。

 

 

 私たちが日々お世話になっている紙、それは、トイレットペーパー!!この絵本は、そのトイレットペーパーにスポットをあてた写真絵本です。

 巻かれているトイレットペーパーを全て伸ばしてみたり、縒ってみると強くなったり、たくさんの水を吸ったり…などなど、いつもトイレでは見られない姿が見られます!!最後のページには、トイレットペーパーに関するQ&Aコーナーもあります。たまにはトイレットペーパーに想いを馳せる日があってもいいのかもしれませんね…写真で表現されているので、小さなお子さんも一緒に楽しめます♪

 

 

 私たちがいつも美味しく飲んでいる牛乳は、どのように作られているのでしょうか?乳牛から牛乳を搾乳し、加工され、私たちの食卓に届くまでが、写真でわかるようになっている写真絵本です。普段なかなか見ることのない、乳牛の餌になる牧草をトラクターで刈る様子や、子牛の誕生の様子も紹介されています。
 個人的に一番驚いたのが、牛たちが放牧地で夜を明かしていること!「朝4時に朝ごはんのために牛舎に集まる」という一文を読み「…牛って放牧地で寝てるのか…!!」と驚きました。(寝るのは牛舎の中だと思い込んでいました…牧場によっても違うのでしょうか??)本文が全てひらがななので、小さなお子さんと一緒に読むのもおすすめです。美味しい牛乳に感謝しながら、読みたい絵本です。
 中2のタマキは、韓国のアイドル「ノベバ」に夢中。仲良しの桜子とは気が合う友人同士ですが、桜子はノベバには全く興味なし。ノベバファンのユマちゃんと、SNS上で仲良くなっていくタマキですが、ある日ノベバが来日することを知って…
 考える前に行動するタマキ、世の中をクールに見ながら色々考える桜子と、全く個性が異なる2人。女の子特有の「いつでもべったり」という訳ではなく、お互いの違いを認め合いながら気が合って仲良し、という関係がとっても素敵です。この2人にユマちゃんが加わることで、3人共新しい経験をし、新しい自分自身を発見していきます。
 SNS上で知り合ったユマちゃんを一気に信頼してしまったり、海外研修の家族のOKがあっという間に出たりなど、「うわわ、タマキ、気を付けてよ!大丈夫????」「何もかもうまく進みすぎ?!かな??」と気になる部分があるものの、それを上回る魅力がたくさんある作品でした。中学生時代の「これが好き!」という熱い想いや、その想いが原動力となって爆発的なパワーを生み出すことなど、自分の中学時代にも同じようなことがあったなあ…と懐かしく思い出しました。タマキも桜子もユマちゃんも、素敵に成長して楽しい人生を送ってほしい!!と親戚のおばさんのような気持ちになりました。中学生のお子さんと一緒に読むのもオススメです。
 
 
 
 食糧不足解消という切り口で、最近「昆虫食」が注目されています。児童書にも昆虫食に関する本がいくつかありますが、中でもすごく実用的でワクワクドキドキハラハラ?!する本を見つけました!

 この本は、まず昆虫食についての基本的な知識(昆虫食が注目される理由、歴史、虫の採り方や食べ方)のページがあり、その次に64種類の食べられる昆虫が1種類ずつ、おすすめのメニューと共に紹介されています。

 読んでいて衝撃を受けたのは、その細かさ!著者が昆虫料理研究家ということもあり、「味の特徴チャート」までついています。また、同じ青虫でも、「モンシロチョウの幼虫は、食べた野菜の風味がするのでコンソメスープがおすすめ」「アゲハの幼虫は茹でるとミカンの香りがするのでタルトが美味しい」など、それぞれ特徴があることにビックリ!素揚げしたニイニイゼミはアーモンドのような旨みあり、タイワンタガメのフェロモンは洋梨の香り、などなど、今まで全く知らなかったことが満載で、うわー!ぎゃー!と奇声を上げながらも楽しみながら読んでしまいました。今はまだマイナーな昆虫食ですが、昆虫が当たり前にスーパーに置かれるようになる時代も来るのかな…と思いました。
 個人的にインパクトが一番大きかったのは「オオツチグモ(=タランチュラ)入り野菜鍋」!お腹の部分はカニみそ風味だそうです…うぉう……

 小学生の美和は仲良しの英知と話をする時は、手話を使います。英知は人前に出るとうまく言葉が出てこないので、美和と一緒に手話を習ってコミュニケーションを取っているのです。そんな中、2人の周辺で不可解な出来事がいくつか起こります。美和と英知はその謎を解き明かすべく、行動していきます。さて、2人は謎を解明することができるのでしょうか?!
 小学生二人が謎を解く物語ですが、「ワクワクドキドキ冒険もの」というより、現代の子どものリアルが表現されている、ちょっとビターなお話でした。英知が発達障害や場面緘黙症という設定ですが、美和と英知が手話を使っていることに対して、手話を使えない子が疎外感を感じる、という描写があり、2人はこっそりと手話で会話する、というのがとてもリアルだな、と思いました。本当の小学校でもありそうです。読み終えた後、登場する子ども達に幸あれ!と願わずにはいられませんでした。読み応えのある1冊。大人の方にもおすすめです。
 
 夏休みの宿題で、俳句を作る課題が出たお子さんもいるのではないかと思います。そんな時助けてくれそうなシリーズを見つけました!
 今回はシリーズ全4巻中の2巻目である「夏の言葉」を読んでみました。夏をイメージする言葉が、写真やイラスト付きで紹介されています。言葉だけだとイメージしにくい「青田風(=苗が風で一斉になびく様子)」や、「万緑(=見渡す限り山や野原が草木の緑で覆われた様子)」などが写真付きで紹介されているので、それぞれの言葉がとてもイメージしやすくなっています。また、「すいか」や「とうもろこし」が秋の季語なんだ!という発見もありました。(昔の暦に基づいているため、今の季節と少しズレがあるとのこと)ながめるだけでも楽しいですが、自分でも一句作りたくなりました。大人の方も楽しめる1冊です!
 
359)タイトル:キャリア教育支援ガイド お仕事ナビ 11 ファッションに関わる仕事
著: お仕事ナビ編集室 出版社:理論社

 さまざまな仕事について知ることができる「お仕事ナビ」の中で、憧れている子どもたちが多そうな、ファッション関連の仕事の巻を読んでみました。「スタイリスト」「バイヤー」など、ふんわり知っていそうな職業ですが、あらためて知ることも多く、大人が読んでもすごく面白かったです。

 それぞれの仕事をされている1人の方に取材をし、仕事の内容、1日のスケジュール、Q&Aコーナー、仕事場紹介、こだわりの7つ道具、その仕事へのなり方が、詳しい写真付きで紹介されています。

 素敵な服をスタイリングするカッコいい仕事、というイメージのスタイリストさんのQ&Aの中には、「この仕事は、服が好きで可愛いものが好きだという人は向いていると思う。ただ、雑誌やテレビの仕事で一番大切なことは、約束や期限を守ること」という一文があったり、店長兼バイヤーさんの「数学が苦手だったけど、在庫管理や売上達成率など計算が必須なので、算数や数学はやっておくべき」など、とにかく「仕事のリアル」がわかる1冊でした。また、紹介されている方の人生や、仕事に対するプライドも知ることができて、「…みんな仕事頑張ってるんだな…私も頑張ろう!」と背中を押される本でした。仕事に興味を持ち出した子どもにもおすすめですが、大人世代にこそ読んで欲しいなと思いました。特に、この職種に転職を考えている方は必読!!です。


 タイトルの通り、「歴史上の人物は何歳の時に世に出たのか」を紹介した本です。一休、6歳で出家。美空ひばり、9歳で初舞台。ジョン万次郎、14歳で遭難。山口百恵、21歳で芸能界引退。コペルニクス、70歳で地動説発表。読みながら「えっ?!」「おおっ!」「へーっ」という声が思わず出てしまう内容ばかりでした。子どもももちろん楽しめますが、歳を重ねた大人世代の方が、より楽しめるかも知れません。
 個人的に、一番驚いたのが「中大兄皇子、19歳で大化の改新を断行」!若くして日本の歴史を変えた人だったんですね!