雪辱の涙
秋深く紅葉したハナミズキの葉と赤い実
晴れの特異日の今日文化の日、
秩父宮ラグビー場で正午にキックオフした
関東大学対抗戦で、早稲田大学は昨年度大学日本一の帝京大学に
33対14で勝利し、昨年12月27日の大学選手権2回戦で敗れた
雪辱を果たした。
今年4年生となりフッカーからナンバー8のポジション
に移った主将の有田君は一回り身体が大きくなり、
果敢な突破で、同じく4年生となったスタンドオフの
山中君と共に試合を引っ張り早稲田があげた5トライに
大きく貢献していた。
後半、山中君のキックパスを絶妙の姿でキャッチしゴールラインに
飛び込んだウイングの中靍君、最上級生となり、有田君の突破から
ボールを受け取りトライした同じくウイングの中濱君
そしてセンターの村田君、坂井君とフランカーの中村君のトライは
全て猛練習で培われたフォワード、バックス一体となった
チームワークの勝利であった。
試合後、感極まって流した山中君の涙に、昨年味わった悔しさの
深さと、この試合にかけていた意気込みを見た。
昨年の大学選手権2回戦は怪我で途中退場し、チームの負けを
フィールドの外で見つめていた有田君、
今日の試合は、楕円球に向かって突進する伝統のスタイルの
復活を感じた。
今日の勝利おめでとう、そしてさらなる目標に向かっての突進を
更に今日は50年ぶりの早慶戦での秋季リーグ優勝決定戦。
斎藤君をキャプテンとする早稲田の優勝おめでとう。
6回までの斎藤君のピッチングは完璧だったし、総力戦で
臨んだ慶応の戦いぶりも見事であった。
試合後斎藤君は次のようなニュアンスの言葉を語っていた。
“自分は何かを持っているといわれるが、
それは自分がいつも良い仲間に恵まれている“
このように感じさせるスポーツの力は素晴らしい。
モーターサイクル・ダイアリーズ 南アメリカ大陸への思い
雪でオートバイの制御が出来ないアンデス山脈の険しい道、
南アメリカ先住民族の高度な文明に
思いを至らせるクスコ、マチュ・ピチュ、
スペインに制覇された祖先の土地で暮らす
先住民族の血を引く貧しい人々、
そして南アメリカ大陸内部の交通の要である
茶褐色に濁り豊かな水を湛えるアマゾン川、
予備知識無しに観た “モーターサイクル・ダイアリーズ”は
物言わぬ南アメリカ大陸の大自然と、そこに暮らす人達を
思いやる心に溢れていた。
医者の卵であったチェ・ゲバラが大学時代に友人と二人で古いバイクで
アルゼンチンのブエノスアイレスから南下し、大陸の背骨ともいえる
アンデス山脈に沿って北上し、チリ、ペルー、コロンビアを通って
最終目的地ベネズエラのカラカスまで1951年12月から1952年7月まで
13,240キロを旅した日記を基にした、時にドキュメンタリータッチの
2004年のウォルター・サレス監督作品。
チリの鉱山で日雇い労務者として安い賃金で酷使される運命の
共産党のチリ夫婦、アンデスの奥地を案内してくれる少年との出会い、
ペルーの奥地で隔離されるハンセン病患者の
人たちと医者として健常人同様に接する日々を通じて
若いチェ・ゲバラの心に
「(自分の人生を)人々のために(生きる事を考える)、
この長い間に何かがかわった。(南アメリカ大陸の)人々のために」
これまでの作品でブラジルを題材としていたウォルター・サレス監督、
本作では直接ブラジルはでてこないが、南アメリカの現実、
1950年代当時偏見をもって見られていたハンセン病患者と素手で
握手をし、どうしても一緒にお祝いをしたいとの思いから、
重症のハンセン病患者が隔離されてている施設へ、
喘息の身でありながらアマゾン川を泳いで渡る
若い医者チェ・ゲバラの描き方に監督のメッセージを感じた。
ボーダーミュージック 夢を忘れない心、新しい世界への跳躍
写真家、ミュージシャン、経営学の博士号を持ち北アイオワ大学で
教鞭をとっていた教授と多彩な顔を持つ
ロバート・ジェームズ・ウォラーは、本作「ボーダー・ミュージック」、
「スローワルツの川(Slow Waltz in Cedar Bend)」
「マディソン郡の橋」、そしてノンフィクションの
「Old Songs in a New Café」と幾つかの著作を
世に出しているが、いずれもその文章は平易で、
素直で読みやすく、豊かな香りを醸し出す大吟醸酒が、
原材料の米を磨いて磨いて丁寧に醸造されるように、
ロバート・ジェームズ・ウォラーは男のそして女の心の奥を
丁寧に探り出し、その思いを達成させる過程で、
生きている事は意味がある事、楽しい事と伝えようとしている。
言葉は意思を伝える道具としての明確な意味をもっているけれど、
音自身や画像はそれを聴く人、見る人のつまり受け取り側の解釈で
かなり自由な理解ができる伝達手段である。
ロバート・ジェームズ・ウォラーの作品は、個人の夢、
理想を内省的に追求する夢を語り、どんでんがえしや奇想天外な
ストーリー展開は無いかも知れないが、
作品全体の雰囲気そして、言葉に込められた思いからは、
お気に入りの音楽、写真から受けるのと同じ心地よいリズムを感じる。
自由で、一人気ままに辺境を旅するような生き方を、
いつも心に持ち続けている“カーボーイ”ジャック・カーマインが、
出稼ぎのカナダから故郷のテキサスの牧場に戻る途中で出会った、
こちらも出稼ぎで、仮の生業としてボール・ダンサーに身を落としていた
リンダ・ロボをその愛情で“自堕落”な生活から抜け出させるきっかけを作り、
そしてまた、ジャックの生き方を知る知人に“自由”な心を取り戻させ、
ジャック自身も理想の女性を愛する事で自分を取り戻そうとする。
随所に登場するニューオーリンズジャズやカントリーミュージック、
聖地のメキシコ国境を、心の遠景として、
ベトナム戦争のある出来事で心を壊された男が常に心に持ち続けている
男としての矜持、そして男と女の精神的な愛が描かれている
1995年の作品。






