以前の林道探索時に出会った猟師なオジサマとの話しから、それ以降は林道探索時の装備品に 熊撃退スプレー を加えています。熊が市街地付近にも顔を出す今日この頃ですが、我々は逆に “彼らの生活圏にお邪魔している” といえます。ゆえに当然のことながら熊は “どこにでもいる” と思うほうが自然な考え方だと思われます。MTBでの林道探索程度のことで熊撃退スプレーって大袈裟なのでは?と思われるかもしれませんが、自分よりも強い生物から自分の命を守るという観点で見ると、反撃できる道具を持つことはそう “大袈裟なこと” でもないと思えます。逆に丸腰で入り込む方が “無謀” とも思えるようになっています。
さて、その熊撃退スプレーですが、現在はフレームバックかステムバックに入れて運用していますが、個人的にはその運搬方法に納得している訳ではない…というのが正直なところ。そのスマートではない運用方法に対する解決策がやっと見つかったので、今日はそれについての備忘録をポストしておくことにします。
街中ではフレームバックに入れて(隠して)、林道ではステムバックに入れ替えてすぐに出せるように
その解決策とは単純明快で、ボトルにはボトルケージがあるように、熊撃退スプレーにもスプレーケージがあればいい…ということ。既製品にその用途となる製品は幾つかありましたが、高価すぎたり(海外製品)、長期欠品で手に入らなかったり、見た目がスマートじゃなかったりで却下されていき、既製品ではどうにもならない状況に陥ります。残る選択肢は、自力で何とかするしかない…ということで、既製品をカスタムして作ることにしました。
ボトルとスプレーなので直径が全然違い、ボトルケージの単なる流用はかなりの無理があります。しかし、この熊撃退スプレーには 使うべき時にすぐに取り出すことができる という絶対条件があるので、それを考えるとボトルケージは一番いいベース素材と考えられます。取り出す際に、ロックを外す等のアクションを必要とせず、かつその状態でも熊撃退スプレーをしっかりと把持できる固定力もある…他にその条件を満たすものが思い浮かびません。ということで “使えそうな” ボトルケージ探しが始まります。
MODULA JAVASLIM CAGE / TOPEAK
一般的なケージはどれをとってもダメなものばかりでしたが、TOPEAKに幅の調整ができるケージがあったことを思い出します(以前、自転車仲間が使っていたので)。MODULA CAGEという名の製品でしたが、調べるとそれは対応ボトル外径が51mmからと熊撃退スプレーの外径約52mmに対応できそうではありましたが、ボトルと熊撃退スプレーの形状の違いから、固定力という点で少しの工夫が必要と思われました。他はないかとTOPEAK HPを見ていると MODULA JAVASLIM CAGE と銘打つ製品があったので、その詳細を調べてみるとこちらの方が可能性を感じる内容です。対応ボトル外径は上部58mm・下部60mmと少し大きめではありますが、上部はゴムバンドで固定する構造だったので、こちらの方が色々とやりようがあるのではないかと。ある種の “直感” のようなものもあり、他に良いモノが見つかっていなかったということもありで、とりあえずこれを入手してみようということに。税込定価 2,420円でしたが、使えるかどうかもまだ未確定なモノの入手ということで、メルカリを利用してコスト削減を図ります。
手元に届いた製品に熊撃退スプレー単体を差し込んでみると、やはりガバガバで上部ゴムバンドの効果も全くない状態。失敗か?と思いましたが、まじまじとこのケージを眺めていると、熊撃退スプレーに付属している専用ホルスター(ベルト類にひっかけて使用するタイプ)がキレイに嵌るんじゃないか?ということで、嵌め込んでみると…思った通りのジャストフィットです。
ケージ内径と専用ホルスター外径がピッタリ!
真っ暗だった視界に明るい光が差し込んでくる…とはまさにこの時のこと。専用ホルスターをこの MODULA JAVASLIM CAGE に固定できさえすればすべてが解決します。そこで次の問題は、専用ホルスターをどうやってMODULA JAVASLIM CAGEに取り付けるか?です。というのも、ネジで固定する方法が一番手っ取り早いのですが、ネジ頭が専用ホルスター側に飛び出てしまうと、それが邪魔になって熊撃退スプレーを専用ホルスターに差し込むことができなくなってしまうからです(それ程タイトに熊撃退スプレーは専用ホルスターに収まっているわけです)。
とりあえず入れてみた…図(まだ固定はしていません)
対応策を探すために各部サイズを計測すると、専用ホルスターの各部はおおよそ1.6~2.0mmの厚みがあります。ネジ固定が可能な部分のケージ側の厚みはおおよそ10mm。採寸結果から使えそうなネジをストックから探しますが、無かったので地元のそれ系のお店まで購入に行きます。
購入してきたのがこのサイズのタッピング皿ネジです。ネジ頭部の厚みが約2.0mmだったので、専用ホルスター側に皿ザグリも可能だろうし、そうできれば熊撃退スプレーとの干渉もしないだろうと。
作業的には、まずはベルト類にひっかける部分は必要ないので、熊撃退スプレーの把持に必要な部分の直上(赤の点線)で切断しました。
その次にネジ止めするところに専用ホルスター・MODULA JAVASLIM CAGEの両方ともに2.5mm径の下穴を開けて、その後に皿ザグリ加工を施します。この加工には7.0mm径のドリルを使用しました(貫通させてしまわないように注意)。
上下部各2カ所の計4カ所での固定を予定して穴を開けて皿ザグリ加工を行いましたが、最終的には上下各1カ所の計2カ所での固定にしました。下穴の方向をミスると、ネジ頭が突出する形でネジが入り、熊撃退スプレーと干渉してしまうことになるので、専用ホルスターと垂直になるように下穴を開ける必要がありますので、ご注意を。
突出したネジ頭… これが干渉して熊撃退スプレーが入らなかった…
別穴を開けて、最終的には上下1カ所ずつの計2カ所での固定に
これで専用ホルスターのMODULA JAVASLIM CAGEへのネジ固定作業は完了しましたが、まだ不要部分があったのでその切り落とし作業をします。
底のこの部分も不要なので切り落とします。この部分は、ボトルを把持する可動式フレームが取付けられていましたが、その可動式フレームも不要です。
切り落とした面のバリ取りや角を滑らかにして仕上げたら作業は終了です。これで希望した通りの「熊撃退スプレー用ケージ」ができあがりました。専用ホルスターでしっかりと熊撃退スプレーも把持されていますし、必要な時にはシングルアクションで熊撃退スプレーを引き抜くこともできます。
さらには、上部のゴムバンドを一番短い部分で留めると、必要時の引き抜きに何ら問題のない状態で、さらなる把持力のアップが可能です。
できあがったこの 熊撃退スプレー用ケージ は、TWOFISH社のQUICK CAGE ADAPTER(クイックケージアダプター)でトップチューブに取付をします。
幅広ベルクロで好きな位置にケージを取付けることが可能ですので、今回はトップチューブにしましたが、フロントフォークに取り付けることもできます。
熊撃退スプレーを引き抜く方向が手前になるようにしたかったので、でき得る限りトップチューブ前方に取付をしました。スプレー上部が下向きにはなりますが、グラベルでも落ちてこないかは実際のライドで要確認ですが、手で引っ張ってもそれなりの抵抗があるので大丈夫かな?と思います。
アダプター裏面のフレームと接する部分はラバーが張ってあるので、ベルクロをキツめに留めてあげればズレることもなさそうです。
来週末には、走行中の落下等の実地検証のためにどこかの林道に繰り出してみようと思います。そこで、熊に出会ったときのために、ホルスターから抜き出して安全ロックを解除して…の予行演習もやっておかなければ。笑い話ではなく実際にやっておいた方がいいそうです。リアルに出くわした時には、その恐怖心でまともに動くことができないそうですし、安全ロック解除に手間取ったっていう話しも聞きますからね。