政府紙幣は藩札か太政官札か
景気対策の財源確保のため、日銀券とは別に政府紙幣を発行しようとの
構想が自民党内で浮上しているとのことである。
明治政府が戊辰戦争の戦費と殖産興業のために4,800両の太政官札
を発行した例があるが、その信用は低くほとんど強制的に流通させたことが
歴史に明らかである。
しかし、この太政官札発行当時は中央銀行設立以前の、しかも戦費という
切羽詰まった資金需要のための発行であった。
借金を増やさず財源調達ができるとの目論見のようだが、世界中で日本の
円に対する信用をはなはだしく傷つけることは、何ら考慮されていないとしか
思えない。
いったい日本以外の国でこのような発想をする国が存在するのであろうか。
中央銀行の通貨発行、市場の番人としての役割を放棄すれば、輸出入に
よる資金、海外投資の決済手段としての円は信頼をどう確保するつもりで
あろうか。
現代は太政官札当時とことなり、経済のグローバル化が遥かに進展しており、
政府紙幣は、いわば江戸時代の藩札のごとく、地域通貨の域をでることは
不可能であろう。
それが日本銀行という中央銀行の発行する紙幣の価値にどう影響するか、
いまさら言うまでもあるまい。
金本位制時代の法則として人口に膾炙しているグレシャムの法則は、
信用貨幣時代にも幾分の真実を含んでいよう。
悪貨は良貨を駆逐する。
屋上屋を重ねる
公務員制度改革の工程表がしめされ、人事院と政府の国家公務員
制度改革推進本部とで、ひと悶着ありそうである。
内閣人事・行政管理局を新設、人事院の一部機能を移管するつもり
らしい。
首相を補佐するために新設する国家戦略スタッフ・政務スタッフその
概容は未だ不明である。
これらの新設組織には当然ながらそれなりの人数が必要であり、
その職員はこれまた当然ながら国家公務員ということになる。
人事院から一部機能を移転しても、人事院のスタッフの定数、人数
が減少しないかぎり、また役人をふやすことになり、余計に財政
負担を増す事となる。
二重行政による税金の無駄遣いが問題となっている時世に、実は
公務員をふやすために、いわゆる政府側と官庁が、八百長試合を
演じているのではとすら勘ぐってしまいたくなる。
いっそのこと、国家公務員に労働三権、団結権、団体交渉権、争議権
を与えてみてはどうかと思う。
そのかわり、民間企業なみの懲戒制度、解雇の権利を政府が持つ
必要は、もちろんある。
民間ですら、労働組合の組織率の低下が続いており、争議をうつには
力不足となっている。
まして国家公務員が争議を行なえば、国民はその内容をじっくり観察し
つぎの公務員改革への新たな道筋も見えてこよう。
単に屋上屋を架すような小手先の改革でお茶をにごしてほしくはない。
詐欺の呼称について
振り込め詐欺に関する最近の報道には、既に「振り込め詐欺」という
呼称には該当しないものがある。
詐欺師は次々に新しい詐術を産み出し、ひとを騙して財物を詐取しようと
する。
地面師
結婚詐欺
取り込み詐欺
架空請求詐欺
資格詐欺
リフォーム詐欺
代引き詐欺
オークション詐欺
オレオレ詐欺
振り込め詐欺
還付金詐欺
ちょっと取り上げただけでも、その騙しの手口による呼称は数多い。
最近の詐欺を分析すると、むしろ「振り込め詐欺」という呼び名がかえって
悪影響を与えていることに思いいたる。
特徴的なのは、ほとんどの事例で携帯電話を利用し、番号の変更を伝える
手口と、中途半端な知識につけこんで、還付金があると思わせる手口、
いずれも電話によるものが中心となっている、一度にひとりの被害者の
事例が、この種の詐欺である。
他方、円天にみられるように、空理空論を振りかざし、他人を信頼させて、
一種の陶酔状態に陥れ、損得の判断力をそいでいく手口が見られる。
時代とともに詐欺の手口も変化するが、対処するには基本項目とでも
呼ぶべき点がある。
携帯電話の番号が、電話会社の変更によっても変更する必要が無い
ということを周知徹底することが、まず必要である。そして、本当に
番号を変更する場合には、変更者に家族への変更の報告は、対面で行なう
ように奨励し、番号変更は本人と対面でという方式を、それこそPRする
といった方法をとるべきではないか。
円天のような詐欺こそ、実は発生を防ぐことが難しい。
振り込め詐欺は、家族を助けようとの気持を利用するが、この種の利益獲得
の欲求を上手に刺激する方法に対処するのはむずかしいものがある。
この種の詐欺の主犯は、自らの創出した、いわゆる理論の第一の信奉者
に自らがなってしまい、空理空論との批判を受付なくなるからである。
理論を整然と説明し、誤謬をみとめないこのいわば教祖とでも呼ぶべき
人物の存在が、被害額を膨大なものとする。よく判らないけど、何だか
儲かりそうだという動機から、最初は少額、徐々に多額の資金をつぎ込む
というのが典型的な被害のパターンである。
なりすまし詐欺と呼ぶのが現下の、老人を主たるターゲットとする詐欺の
総称ではあろう。
道州制の議論をすすめよう
平成の大合併といわれた市町村合併が一段落したところで、
次は道州制の議論が必要な筈であるが、一向に進展が見られないようだ。
そういえば首都機能移転も、最近では話題にならなくなっている。むしろ
議員会館の建設など、首都機能移転問題などなかったかのような状況
である。
市町村合併の効果の検証が為されるには、どれだけ時間がかかるのかは
知らないが、少なくても議員の定数は減少しているであろう。
もちろん、移行期で、単に合併した市町村の議員定数が単純に合算された
ケースもあろうが、将来の定数減は期待してよいのであろう。
平成19年7月1日現在で都道府県議会議員の定数は、全国で
2,784名、
付随する議会事務局員の定数は
2,063名
となっている。
道州制では、ひとつになりそうな四国だけを集計すると、
議員、172名、事務局職員132名である。
同様に中国地方5県では議員246名、職員165名、
九州、沖縄8県では議員415名、事務職員325名である。
言うまでもなくこれら議員には地方財政から歳費が支払われ、
事務職員には給与手当が支払われるのである。
合併により議員定数が削減できれば、当然事務職員も削減可能となり、
経費削減の効果は相当な金額となるであろう。
同様に合併することにより、同種、類似の分野を整理統合することによって
公務員の人数を減らす事ができるのでは無いか。
もちろん現在の地方公務員法で身分保証されている公務員を解雇する
ことは困難でも、配置転換等によって、より住民の必要な身近な問題の
解決を図る道も考えられよう。
国家財政のみならず、地方財政も逼迫している現況を打破するためには、
可能な限りの英知を集合させ、将来設計を行ない、住民に知らせる必要が
あろう。
小さな行政か大きな行政かを論ずるのも大事ではあるが、冗費削減は
大前提である。
これは地方の問題にとどまるものでは無い。
国民に負担増を求める前に行政の無駄を徹底的にはぶく努力とその結果
を国民に提示しない限り、いつまでたっても増税を掲げた選挙など
できようはずもあるまい。
経済大国との思い込みを捨てよ
麻生総理は施政方針演説で相変わらず、日本を世界第二位の
経済大国と発言しているが、その幻想をそろそろ捨てて現実を
直視する必要がある。
今朝(21年1月30日)の毎日新聞朝刊に、子どもの貧困問題が
1ペーシ゜、2ページ、3ページの3つの記事で取り上げられている。
全ての家庭で毎日新聞が購読されているわけで無く、その他の
新聞で扱われているかどうかも知らないので、少し内容を紹介して見る。
1ページでは東京都板橋区の調査で、中学生の不登校に生活苦
も原因となっていることを記載している。
生活保護を受ける世帯の中学生の不登校発生率が、生活保護や
就学援助を受けない家庭の中学生の4.8倍に上がるとのことである。
板橋区の就学援助受給率は35%、生活保護の保護率は2.47%で
ともに全国平均の倍以上とのことである。
2ページのシリーズ記事「先生 生徒指導は今」では、経済的に苦しい
家庭に学用品や給食費などを支給する就学援助の利用者が07年度
は142万人、受給率は13.7%に達し、98年度の約2倍だとのこと
である。
3ページの連載「ひと」では国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さん
の岩波新書「子どもの貧困」を紹介している。
「家庭の貧困が学力差を生み、非行にかかわる確率や虐待にも関係
するのは、福祉関係者や研究者の間では自明だった。でも、それを
明らかにするのは差別につながると、学校でも社会でも触れたがらな
かった」
「この1年で、貧困にメディアの関心が向いた。」と書かれている。
実は私が大学院で犯罪学を学んでいた1980年ころ、各地の少年院
を訪問して施設の見学と所長のお話をうかがっていたころ、多くの所長
が、おっしゃった言葉を記憶している。それは簡単に言えばつぎのような
ものである。
「ここにいる少年たちは、貧しいからここにいるのです。同じように非行
を行なっても、家庭が裕福で少年の保護、更正に役立つ環境を準備
できる少年は、少年院送致を免れることが出来ます。家庭が貧困で
両親をはじめ、少年だけに注意している余裕のない家庭の子が入所
して来るのです。」
この現状はおそらく現在に至ってもそのまま続いているのではないか
と思う。当時この事実を声高に叫ぶ事のできなかったことに、忸怩たる
ものがあります。
このような現実を顧慮せずに少子化対策が成り立つのかはなはだ
疑問といわざるを得ません。
まして世界第2位の経済大国との思い込みは噴飯ものでしかない。
願わくは安心して子どもを産み、育て、教育できる社会の見取り図を
早急に準備して欲しいものである。
ローンで住宅を購入する前に
第二次補正予算、平成21年度予算により住宅借入金等特別控除
の金額が拡充されたのを期に、住宅をローンを利用して購入しよう
と考えている方への注意点を書こうと思います。
住宅を買ってからのことは、新聞などに掲載されているものを御覧に
なれば良いので、購入以前の注意点を中心にします。
Ⅰ 新築住宅を購入する場合。
① 床面積が50㎡以上である事。
これは、不動産広告などに書かれている面積ではなく、
あくまで登記簿に記載されている面積です。
不動産広告の場合、壁芯を元に計算しますが、登記上は
壁からの面積ですから、広告や契約書の面積のほうが
登記面積より広くなっています。
50㎡ぎりぎりの契約だと、控除が受けられない場合があります
から、不動産業者に確認する必要があります。
重要事項説明書にも登記面積は記載されていません。
② 2分の1以上を住居専用とする事。
SOHOとして利用する場合には、その部分の面積を2分の1
未満とするよう設計、設定いるなど注意が必要です。
③ マンションを購入する場合
あくまで専有面積が50㎡以上必要です。共用部分の持分
割合を加算することは出来ません。
バルコニーが共用となっている例もあるようなので、注意が
必要です。
Ⅱ 既存上宅、いわゆる中古住宅を購入する場合。
新築物件と同様の上記条件に加えて次の条件を満たす事が
必要です。不動産屋さんは説明しないことが多いので、注意
が必要です。
① 建築後使用されたことがある事。
この条件は、気にする必要はなさそうです。
② 建築されてから何年経過しているかによって、住宅借入金等
特別控除が受けられない可能性がある事。
耐火建築物の場合、取得の日、つまり登記上売買があった日
以前25年以内に建築されたものであることが控除の条件。
耐火建築物以外の場合は取得の日以前20年以内に建築され
たものであることが控除を受けるための条件です。
中古マンションの場合、契約書に新築時期を記載していない
例があります。広告では築何年と書かれる事がありますが、
契約書にはかかれないことのほうが多いようです。
購入を決意する前に、該当建物の謄本(登記事項証明書)
を見て新築時期を確認する必要があります。不動産屋さんに
言えば見せてくれると思います。
③ 耐震基準を満たしているかどうか。
これは平成17年の国土交通省告示がもとになりますから、
それ以前の建築物の場合、必ず確認が必要です。
Ⅲ 新築、中古に共通する見落しやすい点
新築建売物件、新築マンション、中古ノ土地付家屋、
中古マンションを購入する全ての場合に、土地代と建物代
の区別が明らかになるよう契約書に明記してもらう事が大事です。
最近の契約書では、うち消費税いくらと書かれているものも
ありますが、全部の金額を一括して記載する例が特に中古物件
に多く見られます。
売却する場合には、土地と建物に分離して計算する必要があるため
一括だと計算が極めて困難になります。
土地は取得したときの値段と売却時の土地の売買金額の差額で
所得を計算しますが、建物は減価償却後の金額と売却額との差で
所得を計算します。基礎となる取得価格が判らないと計算は非常に
困難となり、税理士に依頼してもその分割高な報酬を支払うことと
なります。
Ⅳ 収入が多くて適用されない年度も有り得る。
収入が多いひとのことは、触れる必要を感じませんので、無視します。
金持ちはローンなんか使わないでしょうから。
それにしても、以前「うさぎ小屋」という批判を外国から受けたのが原因か
どうかは知らないが、50㎡の広さを必要としない、単身者などにとって
全く恩恵のない制度である。中古の場合の20年、25年の基準も法定耐用年数
と比較すると、短すぎるのではないか。
所得税還付申告、補足
昨日の還付申告の勧めで書き落とした事、補足しておきます。
失業保険を受け取っていても、この金額は所得とはなりませんので
所得税の計算には関係ありません。
還付申告は5年間することが出来ます。今年の3月15日まで平成16年
分の還付申告が出来ます。
確定申告を提出していないことだけが条件です。もちろん領収書や
源泉徴収票は必要ですが。
20年分の還付申告はもう受付が開始されています。
5年間提出可能期間がありますから、急ぐ必要もありませんが、はやく申告
すれば還付時期も早くなります。
3月にはいると税務署も混雑しますから、持参して提出するのなら、2月中か
3月16日以降にすると楽です。
持参の場合、税務署職員が、検算したり、添付資料の確認をしますので、
結構行列が出来て、時間がかかることがあります。
税務署に車でいくと駐車場に困る事が多いです。
申告は郵送で出来ますから、そちらをお勧めします。切手を貼った返信用の
封筒を同封して出せばよいのです。返信用には自分の名前、住所をあて先として
かくことをお忘れなく。
医療費の領収書が還してほしい場合には、その旨を領収書をいれる袋に朱書き
しておくと目立ちます。
返信用の封筒がつくれる紙が税務署にあります。A4サイズり封筒をわざわざ
買うのでしたら、この紙でつくるのもひとつの節約です。
権利のうえに眠っていると保護されることはありません。
払いすぎた税金を堂々と請求しましょう。
所得税還付申告のすすめ
昨年は年末調整をまたずに職場を離れざるをえなかったひとが
多数出現したものと思われます。
ご承知のようにサラリーマンは給料から所得税を天引されています。
天引される金額は、その給料が1月から12月まで変化しないものと
仮定して年間の所得税を予想して算出されています。
給料から社会保険、つまり健康保険や厚生年金が差し引かれていない
場合には、国民健康保険、国民年金が、考慮されていませんので、
年末調整のために会社に提出して、会社で所得税を年間通算して、
天引額が、負担すべき所得税より多い場合に、還付を税務署に代行
して会社が還してくれます。
年末調整を受けていない場合や、年の途中で退職して再就職していない
場合には、税金が戻る可能性が高いので、税務署で申告書の用紙と
書き方の手引きをただで貰えますから、手に入れて、自分で書いて
提出することを勧めます。
最近の手引きは非常に判りやすく書かれていますので、だれでも
簡単に理解出来ますよ。
医療費控除も、税務署に領収書を入れて提出するための封筒も用意されて
います。
家計が一緒なら収入の有無を問わず、全員分を一番収入の多い方が
医療費控除の還付申告をすると、税率の関係で有利です。
医療費には通院にかかった電車、バス、タクシーの料金も含まれます。
インフルエンザの予防注射は医療費になりません。
サプリメントも駄目です。健康維持のためのものは医療費にならないのです。
何だか還付申告なんて面倒だと思わず、一度経験して下さい。
定額給付金とは異なり、自分が納めすぎた税金を取り戻す作業なのですから。
ちなみに、自分で計算するのが面倒だと思うのなら、各税務署が相談
コーナーを、もう開設しています。知り合いの税理士に頼むのも方法です。
但し、プロに頼むと当然費用が要ります。還付される金額の範囲で、
安くしてくれるよう、まず交渉して下さい。
ゲリラ豪雨への備え
国土交通省が、ゲリラ豪雨に備えて、三大都市圏に観測装置を設置
し、予報を配信するのだそうである。
天気予報といえば、すぐに気象庁を連想してしまうのであるが、果たして
国土交通省のこうした活動は、二重行政では無いのか。
天気に関する事は、私企業によるものを除き、気象庁に集約するほうが
効率的であり、利用する側にとって有益では無いのか。
通常の天気予報を気象庁のデータ、広報により知り、ゲリラ豪雨だけは
国土交通省と言うのでは、利便性に問題ありといわざるを得ない。
消費税の増税問題にからんで、行政の無駄を廃除することが、これほど
望まれている時代に、何ともお気楽な我田引水ぶりである。
道路の維持管理についても盛んに二重行政の弊害が指摘されているが
馬の耳に念仏、馬事東風を決め込むのみならず、あらたな二重行政を
志向しているかの如き、どうしょうもない体質には、失望を禁じえない。
ソマリアの海賊
与党はプロジェクトチームを発足させて、ソマリアの海賊対策を
検討するようである。
中国が日本に先駆けて軍隊を派遣する事に反応したようだ。
しかし、海上自衛隊の艦船の派遣には、解決すべき問題が多い。
日本の領海内においてさえ武器の使用が問題とされているのに
その対策すら十分といえない段階で、公海上での活動は、規則
の制定に苦慮することは当然である。
海上警備行動を想定しているようであるが、携行する武器の選定、
武器使用の前提条件、状況をどう想定するのであろうか。
食物にたかる蝿をただ追い払うのとは、わけが違う。
海賊の所有、使用する武器の分析はどの程度可能なのか。
海賊に襲われ警備がとりあえず成功したとして、何処まで追跡が
可能なのか。あるいは、逮捕等を行なえるのか。
正当防衛の範囲内という限定をするのであれば、はたして有効な
対策となるのか。
中国への対抗心だけで、自衛隊を派遣するのは、効果におおいなる
疑問符がつく事となろう。
ただ、傍観し、申し訳程度に武器を使用して、効果がなければ
世界の哄笑の種になるだけでは無いか。
孫子兵法ではないが、海賊の使用する武器、船舶の速度など
十分な知識を有しているのか。
世界に恥をばらまく結果だけはなんとかして避けて欲しいものである。