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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 10まとめ

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

まとめ

以上、だいぶ乱暴な文体で急ぎ書き綴ってきました。 日本国・日本社会の否定的な側面についても、目をそらさずに取り上げました。 というわけで、少なからぬ読者の皆さんにとっては内容的に「受け入れたくない」という心情を催させる記事かもしれません。 加えて、物言いの仕方がこうでは、なおさら反発心を呼ぶかもしれませんが、皆さん、感情論ではなく、事実を土台として理性的に判断なさってください。

「反日」だの「自虐的」だのと言った空疎な言葉が幅を利かせています。 けれども、「悪い」ことを「悪い」と直視するのは、良いことです。 現実を認識しなければ、改善・向上は始まらないのですから。

私がこの記事の中で褒めている欧州諸国においてさえ、民主主義の完成は、まだ途上です。 フランスという、世界の中でも極めて早い時期に市民革命を起こし、共和制を成立させた国でさえ、現在の第5共和政が成立したのは、第2次世界大戦後、しかも、クーデターによって、です。 米国に関しては、皆さんご承知のような現状です。 民主主義の先発組でさえ、民主主義を確立する営みに取り組んでいる最中なのです。 たった70年前に初めて全国規模での民主的な政体を手にした(それ以前にも、山城国や堺の自治があり、また、思想や運動としては大日本帝国の専制に抗する動きもあったわけですが)日本国民が 自由と民主主義を発展させてゆく努力を 今後も続けていかなくてはいけない、というのは、当然のことではないでしょうか。 「日本は世界で1番」などと思い上がらず、「よりよい社会を築いてゆこう」という意欲を抱き続けること、それは、他者のためではなく、自分たち自身にとって大事なことだ ―― 私はそう考えます。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 9メディアの役割

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

メディアの役割

日本メディアの政治報道の問題点①

野党の政策紹介が圧倒的に不足

今年の英国総選挙に際しての英国メディアの例 The Guardian  Independent  BBC  ⇐ 小政党の主張も二大政党の政策と同じくらい きっちりと紹介している

ネット上でたまに見られる 与党に批判的・野党に好意的なユーザーの書き込み  “野党の役割は権力監視。 批判が主でよい(成立する見込みもない対案の作成に力を入れる必要はない)” 正しいとは言えない。 「この野党は、次の選挙で勝ったら、こんなことをやろうと考えている」という情報に、有権者が普段から(選挙に遠い時期から)接しておく必要性あり。 Because 選挙戦のさなかだけで多くの政党の多領域にわたる政策を把握するなど、無理。

≪結論≫日本メディアは、日常不断に、もっと野党の政策主張を読者・視聴者に提供する義務あり(ドイツメディアは実際にそうしている)。 実際にはしていない=「野党は反対だけ」という虚偽情報・嘘・デマがまかり通る最大級の要因の一つ。

日本メディアの政治報道の問題点②

どっちもどっち論

「権力の監視役」を自認しているのだろうが、客観的・結果的には、有権者の政治不信・政治的無気力感を煽っているだけ。 特定政党の応援団になる必要はないが、「このイシューについては、この政党のほうがベターな(まだましな)政策を提示していると考えられる。 なぜならば…」と有権者が判断できるような材料を提供する義務がある。

日本メディアの政治報道の問題点③

ファクトチェックの不足

政治家の事実に反する発言を指摘するのを、別に特別の「ファクトチェック」のコーナーだけに限定する必要はない。 ドイツメディアは、誤りの発言は、その発言を報道する記事の中で「誤りだ」と指摘する。 というよりも、嘘をついても通用しにくいから、「まともな」政党の政治家は、そうしょっちゅう虚偽発言をしない・出来ない。 今回の連邦議会選挙ではAfDの政治家たちが大量のフェイクニュースを垂れ流していたが、それはすぐに批判的に報道されていた(それでもAfDに投票した有権者が、投票者中の10%強はいたわけだが)。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 8選挙制度

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

選挙制度

ネット上でよく見られる右派のユーザー・強固な自民党支持者の主張=矛盾。

一方で:理念の違う政党同士で選挙協力などするな。

他方で:比例代表制は廃止して小選挙区制一本でいけ。

思想・哲学を異にする政党同士の連携を否定するなら、「比例代表制一本で行け」と主張するべき。

「小選挙区だけにしろ」と唱えるなら、少数派政党間の協力を認めなければ筋が通らない。

自民党にとって都合の良いことを言っているだけで、整合性が欠如。

「小選挙区で勝ちたいのなら、少数派諸政党は合同して一つの政党になれ」とでも言いたいのか? なら、「民進党(民主党)は寄り合い所帯だからダメ」という批判は、何だったのか? 支離滅裂。 (最後の批判には一定の正当性があるけれど)

余談。

比例代表制は優れた制度。

①傍証(間接証拠):ドイツ・オランダ・北欧諸国=比例代表制を採用している国々=民主的成熟度高い(で紹介しているランキング参照)、経済Index 良好、社会政策・環境政策先進的、健全財政

②比例代表=小政党が議席を獲得しやすい→時代の変化に対応しやすい(新たな課題の出現→シングルイッシュー(単一政策)政党の出現・伸長→大政党も主張を取り入れ、政策に反映)

③大政党が議席を独占しにくい→連立政府になりやすい=権力抑制機能として効果的(大統領制・・・議会による行政監視機能が働くには、「ねじれ」が必要→行政の停滞(法律が成立しない)、与党が議会多数派だと、抑制機能が発揮されにくい ⇔ 議院内閣制・・・単独政府だと、議会のチェック機能が働きにくい But 議院内閣制の下での連立政府なら・・・行政の停滞は起こりにくい & 政府の暴走も起こりにくい(第1党が暴走しようとしても、Junior Partner がストップをかける))

ただし・・・政治の質を左右する決定的な要因は、有権者の質。 ←ここ重要! 選挙制度で政治の質を挙げられるわけではない。 (例) 「歯止め役」と自称しておきながら、数十年にわたって維持されてきた憲法解釈を閣議決定だけで抜本的に変えるとか、緊急の要もないのに緊急の場合にだけ認められている委員会採決すっ飛ばし⇒本会議採決を強行するとか、そういった民主主義の原則を蹂躙する暴走に歯止めをかけない政党、このような政党を有権者が容認しているようでは、連立政府の意味がない。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは 7二重の立場

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

政党としての立場と政府としての立場 将来の目標と当面の目標

理念の異なる政党同士の協力というのは、当たり前。 理念が完全に一致しているのならば、複数の政党に分かれる必要がそもそもない。 政策の優先順位や政策内容が比較的近い政党同士が一致点で協力し合う、これが連立。 本当は自由民主党希望の党公明党日本維新の会日本のこころの政治家も知っているはずだが(知らなかったら政治家失格)、党利党略で日本共産党立憲民主党社会民主党を攻撃しているだけ。 「優先順位のつけ方が間違っている」とか「共通政策の内容が悪い」という批判なら成立する余地があるけれど、上のような非難は議会制民主政治においては正当なものではない。 政策の内容では太刀打ちできないから、真向の政策論争に挑むことから逃げている、としか思えない。

意見の異なる者同士が妥協して一緒に仕事をする以上、それぞれの政党が「自分のやりたいこと」の一部を一時諦めなくてはいけなくて、党としての理念と連立政府の政策との間に開きが生じる。 これも当たり前。 また、((α))党としていつかは実現しようという意欲を抱いている目標と、((β))「今できること」「すぐにやりたいこと、緊急の課題ととらえていること」との間にも乖離はある。 理想を高く持てば、そういうギャップが生じるのは当然。 個人にしても、会社にしても、そんなことは日常的に経験しているはずのこと。 知らないとしたら、「目標を立て、その((α))最終目標に至るまでの((β))中間目標を設定し…」という作業をしたこともない、その日暮らしの自堕落な人間。 例えば、いわゆる「ネトウヨ」の諸君による、「共産党((α))君主制の廃止を綱領に掲げているのに、((β))今度の選挙ではそのことを言っていない」とか「((α))自衛隊の廃止を将来的な目標にしているのに、((β))『当面は自衛隊を活用』と言っている。 矛盾だ。 信用できない」とかいう類の書き込みがヤフコメなどではしばしば見られるが、これらは単なる言いがかりレヴェルの言説でしかない。 「たとえ遠い未来に向けての構想であっても、天皇制を廃止するなどという考えを抱いていること自体が、許せない」という非難なら、それは個人の価値観や感情なわけだから、否定できるものではない。 が、((α))((β))との間に開きがあることを以て「信頼できない」ことの根拠にしようというのは、不当。

今年行われた英国総選挙の際のテレヴィデュエル(BBCだったか?)。 キャスター(?)がLabour Corbyn 党首にしつこく彼のポリシーである王政廃止&核兵器撤廃について質問していたが、何度聞かれてもCorbyn は“現在の党の政策ではない”と回答。 個人として、依然として王政廃止論者&核兵器撤廃論者であるのか、それとも、考えを改めたのかについては言及なし。 それでも、Labour は躍進。 「たとえ今の話ではなくても、王室を廃止しようなどという考えを抱いている不敬な者には、絶対投票しない」という英国有権者。 そりゃあ、そんな人もいるだろう。 逆に、「むしろ、今すぐ君主制廃止・核兵器撤廃を謳ってほしいものだ」という有権者もいるだろう。 後者の大多数はLabour に投票しただろう。 しかし、「王政・核兵器の即時廃止には賛成できないが、今回の選挙における公約では、他党よりもLabour のほうが優れている」と考えた投票者が相当数いなければ、大幅な議席増はありえなかっただろう。 ドイツや北欧に比べると全体としての有権者の質が高いとは言えない英国ですら、こう。 「党や政治家個人の抱いている未来社会像についても考慮しないわけではないが、今回の選挙公約を重視して投票先を決める」というのは、成熟した有権者の行動として普通なのだ(「未来社会像に重きを置いて判断する」のは異常だ、とまでは言えないが。 別に、そういう価値基準もあって良い)。

ちなみにこのDuel は、時間をおいてMay Corbyn が出演し、キャスター(?)が質問する、時間差Duel というわけの分からない形式で開かれた。 討論に自信のないMay が直接対決の回避を要望した。 この後に開かれた もっと多くの党が参加する党首にも、May は出演せず、幹事長か誰かを送り込んだ。 こうした「論争からの逃亡」は、Tory 議席大幅減の大きな要因だと目されている。 「議論で勝ち目がなさそうだ。 支持を減らさないように、話し合いの場に出ないでおこう」としても、「話し合いの場に出なかった」こと自身が有権者からの懲罰を招く原因となる。 これは民主主義国では当たり前のこと(Tory は、議席の減らし方がまだ足りないといってもよいくらい)。 なぜなら、民主主義では議論が重要だから。 与野党が最後まで合意に達しなければ、多数決。 これも必要。 だが、その前提は「議論が尽くされている」こと。 有権者が次の選挙で「あの国会の論戦では、野党のほうが より説得力を有していた。 今度は野党に入れよう」とか、「与党の言い分のほうが納得できた。 前回は野党に投票したが、今度は与党を選ぼう」という判断を下せるだけの材料がなくてはいけないのだから。

「国難突破」と唱えているにもかかわらず、「では、その国難を突破するために、自由民主党その他の保守派・復古派の諸政党は、どのような道筋を描いているのか」「対する左派リベラル系諸党は?」ということを明らかにするための議論・審議も行わず、国会開会→即解散。 こういうやり方は民主政治では許されない。 もしも有権者がそれを許すとしたら、「彼らは、民主政治の担い手としてふさわしいだけの成熟度を備えていない」ということを意味する。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 6民主主義の重要性

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

民主主義の重要性

現状についての確認

日本の自由と民主主義の水準は高くない。 

Hidyの過去記事からの引用】

Japan belongs to the OECD and the G7 however its position in the ranking list of the “Freedom of the Press 2017” ( https://freedomhouse.org/sites/default/files/FOTP_2017_booklet_FINAL_April28.pdf ) is No. 48, in the “Human Freedom Index 2016” ( https://www.fraserinstitute.org/resource-file?nid=10340&fid=5339 ) No. 51 (by the sorting according to “Personal Freedom”), and in the “Press Freedom Ranking 2017” ( https://rsf.org/en/ranking_table ) No. 72.

【引用終】 元記事

なぜ、自由と民主主義が重要なのか?

過去記事からの引用 1

総選挙の最大の争点は原発?消費税?TPP?外交・安保? (2012年総選挙に向けた記事)

ハンゲブログ その4・前半その4・後半その5その6

アメブロ その4・前半その4・後半その5その6前半その6後半

【一部だけ引用】

自由にものを言える社会、少数者が その少数意見のゆえに爪はじきにされることのない社会、多様な意見が飛び交い 互いに切磋琢磨して より良い案が生まれる社会 ―― そういう社会をつくることが、私たち11人の生活を改善するうえで、役に立つ。   自由を大事にすることには、こんな効用もあります。

 

原発について考えてみましょう。   政権党の中にも、役所の中にも、電力会社の中にも、「今のやり方はおかしい」と気付いた人はいたようです。   けれども、既得利益を守ろうとする人たちは、そういう「良心派」をいじめてきたわけです。   「異論を唱えられない」という空気が出来てしまうと、「あれっ?」と思った人も、よほど信念の強い方でなければ、自主規制してしまうでしょう。   そして、間違いを正せないシステムのもとで突っ走って、世界に衝撃を与えた大惨事を招いたのです。   学会や、マスメディアについても、事情は同じでしょう。

 

そして、そういう仕組みは、電力関係だけのものではありません。   医療機器メーカーや製薬会社、医師(大手の開業医・大病院)、厚生官僚、厚生族の政治家。   農業機械メーカーや肥料会社・農薬会社 および 種子会社、農協、農水省の官僚、農水族の議員。   大手ゼネコン、建設官僚、建設族・国土族の議員や地方の政治家。   そして、どこにも絡んでくるのが、大手金融機関(メガバンク)。   時間もないので、その他もろもろについては省略しますが、ありとあらゆる業界で、原発と同じ利権構造が見られます。

 

そこで利権構造の維持にたずさわっている人みんなが、もとから(例えば、公務員なら入省当時から)そのような政治・経済構造を肯定していたわけでは、ありますまい。   私の大学時代の知り合いが2人ばかり国家公務員1種に合格し、それぞれ とある官庁に入りましたが、彼らは有能でしたし、人がらも決して悪くありませんでした。   全体がどうだと推測できるようなサンプル数ではありませんが、若いときにはそれなりに理想を抱いている人が多いのではないでしょうか?   けれども、日本の官庁・企業・多くの政党は、そのような理想を持ち続けられる環境ではない、ということなのでしょう。   大勢に逆らうものは、差別を受ける、はなはだしい場合には、排除されてしまう。

 

この「古い 政官財の癒着体質に反対できない、反対すると潰される」という 言論の不自由な社会を変え、(社会的規制や経済規制をしっかりとやることは必要かもしれませんが)、「思想信条の自由が 最大限に大切にされる社会」 「(誹謗・中傷・差別発言という、他者への権利侵害でない限り)表現の自由が非常に尊重される社会」を築いていく ―― それが、合理的なエネルギー政策を、効率的な医療・福祉政策を、有用な農業政策を、その他さまざまな分野での良質な政策を実現するために、必要なことではないでしょうか。

【引用終わり】

過去記事からの引用 2

投票先を決める前に中学レヴェルの公民の復習くらいしておこうか (2014年の参院選に向けた記事)

アメブロ その1その2、   Yahoo!知恵袋 その1その2

【一部だけ引用】

社会契約もフィクション、王権神授もフィクション。 ならば、どちらのフィクションを採用したほうが合理的か。 国家の持つ 他の組織にはない 特別に強力な権能の理由付けとして、どちらの説明を取るほうが、その国家の国民の福利をより豊かにしうるか。 さまざまな論争、そして時には力同士の争いを経て、今日民主国家と呼ばれる諸国家では、契約国家論の立場を取るに至っているわけです。 それには、もちろん「わけ」があります。 その「わけ」とは一体何でしょうか?

それは、契約国家論に立つのでなければ、政治を変えるという事業が暴力沙汰になってしまうから、という理由です。 つまり、「国家というのは、みんなで約束して作ったものなのだから、国家のルールはみんな守ろう。 もちろん、その前提として、ルールの作り方が公正であるよう 制度的に保証しよう。 それに、どんなに大多数が望んだとしても、少数派の権利がむやみに奪われることの無いよう、国家の行いうる範囲には制限を設けよう」という合意が存在しなければ、「俺たちの意見を通させろ」「いや、こちらの提案こそが社会の決まりごととして認められるべきだ」という争いを平和的に解決する道筋が失われてしまうから、というわけです。 実際、日本と世界の歴史を見ても、契約国家論を理論的な土台とした民主政治が根付く以前には、権力争いというのは「食うか食われるか」の命がけの闘争でしたし、また、民主化されていない社会では、現在でもなお、暴力  暴力のいさかいでもって政治の主導権が争われています。

したがって、民主主義を標榜する国家では、その国家の起源について今では次のように考えることにしているのです。

「確かに、歴史的な事実として、社会契約を結ぶというイベントがあったわけではない。 けれども、この国家は『社会契約の結果生まれました』という呈で存続してゆこう。 具体的には、人の自由と権利は、誰から与えられたものでもなく、生まれながらにして持っているものだと認めよう。 有権者の多数が政策の変更を望めば その意思が実際の政治に反映されるように、制度的に保障しよう。 また、国家諸機関の仕事は この国家の領域に暮らす人々をより幸せにすることなのだ、という国家の目的を外れてはいけないのだということを確認し、 そして、他の個人の権利と衝突しているわけでもないのに 個人の権利を制限したり自由に制約を加えたりすることは 控えよう。 これらの約束事を遵守することによってはじめて この国家の正当性、国民に法を守ってもらうための合理的な説明が 確保されるのだから」。

【引用終わり】

過去記事からの引用 3

衆議院憲法審査会議員団の海外視察について (要望書、2017年7月)

【一部だけ引用】

私はコミュニストであり、《人権は生まれながらのものである、という原則は 変えてはならない》《国家諸機関の権限は国民の自然権に由来する、という原則も 変えてはならない》《むしろ、人が本来享受できるべき諸権利が 様々な事情のゆえに享受できなくなっている、という社会の現状を改善するべく、働く――というのが、国家が主権者から与えられた任務なのである》という立場です。 したがって、自由民主党の改憲草案には、根本から対決する側に立っています。 けれども、この要望は、海外視察のニュースを利用して 自由民主党を攻撃する、という党派的利益・党利党略のために提出しているものではありません。(付言ですが、私は現在、いかなる政党の党員でもありませんし、党友等でもありません。) 私が上に述べたように要望するのは、《根本のところで躓いてしまって 必要な憲法改正までできないというのは、国民にとって不幸である》と考えるからです。

3-1: 自然権思想の否定がもたらす悪影響

いくつか例を挙げます。

3-1-1: 対外安全保障

まず、対外的安全保障について。 本来、日本を取り巻く安全保障情勢の大きな変化に応じて、《戦力不保持の方針を維持するべきか否か》《維持するとしたら、いかなる非軍事的手段でもって 日本国の安全を担保するのか》《戦力を保持するならば、いかなる限界を設け、その限界を超えないように いかなるチェック制度を整えるのか》等の議論がなされることは、必要であるはずです。 にもかかわらず、野党の中には、日本共産党・社民党のように、日本国憲法第9条について議論することに対してさえ警戒する党が存在する。 それはなぜか。 最大政党であり また 改憲論議を主導している自由民主党が、自然権思想・契約国家論といった立憲主義の基礎の基礎を否定しているからではないか。 私は、そう考えるのです。 すなわち、野党からすると、《第二次世界大戦での大日本帝国の敗戦によって否定された、また、その後の国民的議論を経ての日本国憲法の公布・発効=民主主義国家としての日本国の発足を通じて否定された、国家を国民(臣民)の上に立てる考え そして 人権を国家に与えられたものとする考え――自由民主党は、そうした考えを復活させたいと思っているのではないか》という懸念を拭い去ることができないのではないか。 その結果、《軍事的手段による対外安全保障を憲法に盛り込むべきか否か》という議論を、いわば「入口」で阻止しようという姿勢を取らざるをえないのではないか。 私はこのように推量するのです。

3-1-2: 緊急事態条項

緊急事態条項に関しても、類似の指摘ができます。 たしかに、民主主義諸国家においても、緊急事態に際しての非常大権の規定があります。 かかる規定を日本国憲法にも導入するべきか否か――その議論自体を否定することは、本来ならば ありえない話であります。 しかしながら、やはりこの問題においても、野党側は《何らかの緊急事態が起こったときに、非常大権を通じて 国民の権利を制限し あるいはまた 国家権力の行使に対する抑制システムを撤廃もしくは弱体化させよう――そうした下心を 自由民主党は抱いているのではないか》と、不信感を払拭できないでいるのではないでしょうか。

【引用終わり】

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 5理念なき野合?2

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

理念なき野合? 2

「選挙に勝つためだけの野合」「何をやるのか、という目標がない」という非難=デマ → 証拠=1・市民連合の「衆議院議員総選挙における野党の戦い方と政策に関する要望書PDF、2・日本共産党社会民主党立憲民主党も7項目からなる共通政策に同意

事実に反する「理念なき野合」という言説がなぜ幅を利かせてしまうのか?

理由① 共同目標の中心・根幹=民主主義の回復。 But 日本の有権者大多数が自由と民主主義の重要性に気付いていない。 「結果さえよければ、手続きは割とどうでもよい」という浅薄な見方が広がってしまっている。 「民主主義の回復」という目標が、「それ自体、追求するべき価値」とは認められておらず、単なる「反対」だと受け止められてしまっている(日本の政治文化の後進性)。 → 「民主主義の重要性」の章。

理由② 政党として実現したい目標、今すぐには実現できないが(社会がまだその段階まで来ていない、連立パートナーと合意できないetc)将来は実現したい目標。 連立パートナーと合意でき、政府として任期中に実現しようという目標。 この二者の関係について理解できていない有権者が多い。 → 「政党としての立場と政府としての立場 将来の目標と当面の目標」の章。

理由③ マスメディアの問題。 → 「メディアの役割」の章。

理由④ リベラルが嫌いで、「あいつらはどうせ駄目だ」と思い込んでいる復古主義的 かつ 排外主義的、ethnocentric な有権者が多い。 自覚的な極右主義者でなくても、ネット上で あるいは リアルな世界において日常的に アンチ民主主義的な あるいは xenophobic な あるいは 社会的公正に敵対的な言説に接しているうちに、そうした思想に感化されてしまっている。 その結果、事実を見ずに「だからダメ(なはず)」と結論付けてしまう思考回路に陥っている(事実を調べる必要性すら感じていない)。

 

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 3理念なき野合?1

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

理念なき野合? 1

ネット上でよく見る与党支持者からの 立憲主義を軸とした市民・野党連合に向けての攻撃(いわゆる「ネトウヨ」からだけでなく、与党の政治家自身、あるいは与党に近い復古主義・戦前回帰派の諸政党の政治家からもしばしば発せられる)・・・「共産党社民党立憲民主党の選挙協力は野合」「理念が違うのにくっつくのはおかしい」「安倍政権を倒すことが目標。 自分たちが何をやるのかを示していない」「反対しか言わない」(最後の2つは、完全に嘘→()財源論安保政策。 これは、「見方によって結論が変わる」とか「考え方は人それぞれ」という類のことではなく、客観的に真偽の定まる問題。 このような発言をしている政治家・ネットユーザーは、それ以外の発言についても、すべて信用に値しない)。

では、与党(自由民主党公明党)の間に矛盾はないのか? 

(例1) 公明党・・・『Manifesto2017』の⑤⑶で核兵器廃絶を目標として掲げ、その方途についても詳述。

     自由民主党・・・『政権公約2017』にも『総合政策集2017』にも、核兵器廃絶という目標は存在せず。

(例2) 自由民主党・・・衆議院法務委員会2017.06.02. 日本共産党・畑野君枝議員の質問=治安維持法違反を理由として不当に逮捕・監禁され、拷問を受けた犠牲者へ、国家補償をするべきでは? 大日本帝国においても拷問は禁止されていたのでは? 事実確認をする気は? ⇔ 金田法務大臣の答弁=治安維持法は適正な手続きで成立し、同法に関わる捜査・裁判も、法に基づいて適正に行われており、違法は認められない。 治安維持法適用の事例については専門家の研究に委ねるべきものと考える。

     公明党・・・創価学会内部の部署が出自となっている政党であり、現在でも創価学会が主要な支持基盤。 (別にHidyは、それを「悪い」というつもりはない。 ある政党が宗教的理念を中核としていても、また、宗教団体が政治活動が行っても、このことが直ちに政教分離の原則に反するわけではない。 かつての公明党綱領に掲げられていた「国立戒壇」などという目標は、どんなに言い繕おうともアウトだが)。 創価学会の牧口常三郎・初代会長は、治安維持法違反を理由として投獄され、獄死。 公明党員や創価学会員は、治安維持法は適法に執行されており、問題はない、とする金田法相の答弁を認めるのか?

(例3) 公明党・・・選択的夫婦別姓の導入に前向き

     自由民主党・・・姓のあり方などについて議論を深める、としつつも、旧姓を使用できる範囲を広げる 推しで、事実上、別姓には否定的。

結論・・・与党与党寄りの諸政党左派政党リベラル政党への非難は、単なる言いがかり。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 2はじめに

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

  この記事は、「投票先を決定するにあたっては、事実に依拠して、合理的な判断を下したい。 けれども、忙しくて、各政党の政策を調べる時間が取れない」と悩んでいる誠実な有権者の皆さんに、有用な情報を提供するためのものです。

  私は大学院で比較政治学を専攻し、PDS(現在ではDIE LINKE(左翼党・左派党)を軸として、ドイツ統一後の東西政治文化の相違をテーマに修士論文を書きました。 卒業後にも数度にわたって渡独し、それぞれ2週間から2か月ほどの日程で連邦議会選挙や地方選挙の選挙戦をウォッチしてきました。 現在でも、ドイツメディアを中心として、国外メディアにも日常的に接しています。 また、日本メディアの情報だけでは不十分だ、統計データや法律や裁判の判決文を調べる必要がある、と感じれば、諸外国の政府(省庁)や国際機関のサイトにもアクセスしています。

  情報を収集するだけではなく、読解力や論理的思考力といった知的能力を高めるための努力も続けてきました。 進学して法曹になるためではなく、自分の知的能力を客観的に図るために三度ばかり受験した法科大学院全国共通適正試験では、第一部(論理的判断力)と第三部(長文読解力)で常に高得点を挙げてきました。 引っ越しのドタバタで試験結果がどっかに行ってしまい、現在見つけられていない状態ですが、調子の悪い時にでも上位1割くらいには入っていたと思います。 第二部の部屋割りとか経路選びとかスケジュール作りとかの問題は私の苦手分野で(スピードが足りない)、平均点前後という恥ずかしい成績しか取れておらず、今後鍛えていかなければいけないところですが…。

  自分に関することを なぜ長々と書いているかというと、以下の本文の内容を信用してもらうためです。 というのも、世界の事情をあまりご存じない一般有権者の皆さんにとっては、おそらく「本当か?」と俄かには信じられないようなことが多いと思われるのです。 というわけで、あらかじめHidyという人間について皆さんに知っておいていただいたほうが良いと判断した次第です。

ネット上にはデマが跋扈しています。 特に、ニコ動ヤフコメツイッターチャンネル桜まとめサイトといった界隈の情報は虚偽だらけです。 「日本以外の民主主義諸国では『共産主義政党は違法・禁止』が当たり前」。 嘘です(→証拠)。 「ドイツは、脱原発で電力が足りなくなり、原発で作ったフランスの電力を輸入している」。 嘘です(→証拠)。 「外国人に生活保護の給付などの社会保障サービスを提供しているのは日本だけ。 外国ではそんなことをやっていない」。 嘘です(→証拠)。 「移民に否定的なAfD(ドイツための選択肢)が支持を伸ばしているのは、移民が多すぎるせいだ」。 嘘です(→証拠 証拠)。 「価値観の相違」とか「見方の違い」とかいうような問題ではありません。 AfD伸長の原因分析はともかく、他の3項目は客観的に真偽の定まる問題です。 上に紹介したような言説は、嘘です。 けれども、これらの嘘に騙されていた読者さんも、結構多いのではないでしょうか? 

  このシリーズの 1「どの党にも財源論がない」は本当か? 2「現実的な安全保障政策」とは? でも紹介しましたが、有名な心理実験があって、《周り(サクラ)がみんなAだというと、明らかにBが正解であるのにもかかわらず、ついついBだと回答してしまう被験者の割合が意外に高い》という結果が出ています。 一時の場での出来事であっても、こうなのです。 日常的に大量の嘘に接していると、一体どうなってしまうでしょうか? 自分では「中立な立場だ」と思っていても、知らず知らずのうちに判断の基準を狂わされている可能性は、かなり高いのではないでしょうか? どんなに大勢が言っていても、情報源の定かではない情報は信じない、「ないもの」として扱う ―― というくらいの姿勢でいないと、簡単にデマに引っかかって、誤った考えに染められてしまいます。

  私は情報を発信する際には、きちんと根拠を示すようになるべく務めています。 とはいえ、時間に追われて、ついついソースへのリンクを貼りきらないまま記事をアップしてしまうこともあります。 今書いている記事も、投票開始前に仕上げる必要に迫られ、一部の情報を参照先抜きで提示してしまうことになりそうです。 根本的には、この記事をお読みになっている読者の皆さんが日常的に一次情報にアクセスする習慣を身に着け、嘘に騙されない知的な地力を高めることが大事なことだといえるでしょう。 日本は、一時期に比べると改善されはしたものの、そうはいっても国際的にみるとまだ 被用者の年間労働時間が長いほうに属しています(OECD, Average annual hours actually worked per worker)。 ですから、「お前みてーに暇じゃねえんだよ。 国外紙なんか読んでられっか」と反発を覚える方もいらっしゃるでしょう。 どうかその反発・怒りを、私にではなく、長時間を強いられている現状に向け、今回の選挙では、時短を本気で取り上げている政党に、労働条件の改善を優先度の高い政策としている政党に、一票をお投じください。

日本での「常識」の中には、実はヘンだ、ということも結構多い。 それは、あるいは、単純に虚偽(事実として間違い)であったりします。 あるいは、「やり方」として非効率・不合理なものであり、日本の外の社会では もっと効率的・合理的な方式が「当たり前」であったりもします。 あるいは「価値観」として、地球社会には通用しない(しにくい)ものであったりもします。 以下の本文では そのような「日本での常識⁼世界での非常識」を幾つか取り上げます。 それに対してカチンとくる方もいらっしゃるでしょう。 しかし、感情的に受け入れられないから拒絶する、というのは幼稚な反応です。 もちろん、「世界ではこうだから、日本もそれに合わせるべき」という考え方は、誤りです。 往時には大勢の人が天動説を信じていたけれども「それでも地球は回っている」わけで、今日の少数派が未来の多数派になることは、歴史上たびたび起こってきました。 けれども、「日本以外の多くの社会でそうなっているのには、それなりの理由があるのかもしれない」「自分が欧州流のやり方にしっくりこないのは、単に自分が日本に生まれ、日本で育ち、知らず知らずのうちに『これが当たり前だ』と思い込まされているという、ただそのことだけが理由で、合理的な根拠は何ら存在しないのかもしれない」と立ち止まって考える ―― そういう姿勢は大事です。

さて、現在、投票部前日の土曜日の午前5時前後。 のんびりしていると書き終わりませんので、以下の本文はぶっきらぼうな文体で記述します。 ごめんなさい。

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 1各党の公約へのリンク

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

各政党の選挙公約へのリンク

1段目=政党トップページ、2段目=選挙公約へのリンクページ、3段目=選挙公約(PDFファイル)のURL。

自由民主党

http://www.jimin.jp/index.html

https://special.jimin.jp/political_promise/

https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/manifest/20171010_manifest.pdf

総合政策集2017 J-ファイル https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/20171010_j-file.pdf

希望の党

https://kibounotou.jp/

https://kibounotou.jp/policy

https://kibounotou.jp/pdf/policy.pdf

公明党

http://www.komei.or.jp/

https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2017/manifesto/

https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2017/manifesto/manifesto2017.pdf

バリアフリー版 https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2017/manifesto/manifesto2017_l.pdf

日本共産党

http://www.jcp.or.jp/

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017senkyo-seisaku.html

http://www.jcp.or.jp/web_download/201710-senkyo_A4_seisaku.pdf

65項目の分野別政策 http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017senkyo-seisaku.html#_bunya

日本維新の党

https://o-ishin.jp/

https://o-ishin.jp/election/shuin2017/index.html

https://o-ishin.jp/election/shuin2017/common/pdf/manifest.pdf

立憲民主党

https://cdp-japan.jp/

https://cdp-japan.jp/gallery/

https://cdp-japan.jp/img/common/pamphlet.pdf

社民党

http://www5.sdp.or.jp/

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2017/commitment.htm

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2017/commitment2017.pdf

日本のこころ

https://nippon-kokoro.jp/

https://nippon-kokoro.jp/news/policies/post_291007.php

http://nippon-kokoro.jp/news/policies/28.php (PDF版はなし)

 

(公示前勢力順)

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 0目次

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

目次

各政党の選挙公約へのリンク

はじめに

 

理念なき野合? 1

理念なき野合? 2

民主主義の重要性

 

現状についての確認

 

なぜ、自由と民主主義が重要なのか?

過去記事からの引用 1

過去記事からの引用 2

過去記事からの引用 3

政党としての立場と政府としての立場 将来の目標と当面の目標

選挙制度

メディアの役割

野党の政策紹介が圧倒的に不足

どっちもどっち論

ファクトチェックの不足

まとめ

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