総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 2はじめに | Hidy der Grosseのブログ

総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは? 2はじめに

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総選挙をめぐる嘘3/3 「理念なき野合」とは?

  この記事は、「投票先を決定するにあたっては、事実に依拠して、合理的な判断を下したい。 けれども、忙しくて、各政党の政策を調べる時間が取れない」と悩んでいる誠実な有権者の皆さんに、有用な情報を提供するためのものです。

  私は大学院で比較政治学を専攻し、PDS(現在ではDIE LINKE(左翼党・左派党)を軸として、ドイツ統一後の東西政治文化の相違をテーマに修士論文を書きました。 卒業後にも数度にわたって渡独し、それぞれ2週間から2か月ほどの日程で連邦議会選挙や地方選挙の選挙戦をウォッチしてきました。 現在でも、ドイツメディアを中心として、国外メディアにも日常的に接しています。 また、日本メディアの情報だけでは不十分だ、統計データや法律や裁判の判決文を調べる必要がある、と感じれば、諸外国の政府(省庁)や国際機関のサイトにもアクセスしています。

  情報を収集するだけではなく、読解力や論理的思考力といった知的能力を高めるための努力も続けてきました。 進学して法曹になるためではなく、自分の知的能力を客観的に図るために三度ばかり受験した法科大学院全国共通適正試験では、第一部(論理的判断力)と第三部(長文読解力)で常に高得点を挙げてきました。 引っ越しのドタバタで試験結果がどっかに行ってしまい、現在見つけられていない状態ですが、調子の悪い時にでも上位1割くらいには入っていたと思います。 第二部の部屋割りとか経路選びとかスケジュール作りとかの問題は私の苦手分野で(スピードが足りない)、平均点前後という恥ずかしい成績しか取れておらず、今後鍛えていかなければいけないところですが…。

  自分に関することを なぜ長々と書いているかというと、以下の本文の内容を信用してもらうためです。 というのも、世界の事情をあまりご存じない一般有権者の皆さんにとっては、おそらく「本当か?」と俄かには信じられないようなことが多いと思われるのです。 というわけで、あらかじめHidyという人間について皆さんに知っておいていただいたほうが良いと判断した次第です。

ネット上にはデマが跋扈しています。 特に、ニコ動ヤフコメツイッターチャンネル桜まとめサイトといった界隈の情報は虚偽だらけです。 「日本以外の民主主義諸国では『共産主義政党は違法・禁止』が当たり前」。 嘘です(→証拠)。 「ドイツは、脱原発で電力が足りなくなり、原発で作ったフランスの電力を輸入している」。 嘘です(→証拠)。 「外国人に生活保護の給付などの社会保障サービスを提供しているのは日本だけ。 外国ではそんなことをやっていない」。 嘘です(→証拠)。 「移民に否定的なAfD(ドイツための選択肢)が支持を伸ばしているのは、移民が多すぎるせいだ」。 嘘です(→証拠 証拠)。 「価値観の相違」とか「見方の違い」とかいうような問題ではありません。 AfD伸長の原因分析はともかく、他の3項目は客観的に真偽の定まる問題です。 上に紹介したような言説は、嘘です。 けれども、これらの嘘に騙されていた読者さんも、結構多いのではないでしょうか? 

  このシリーズの 1「どの党にも財源論がない」は本当か? 2「現実的な安全保障政策」とは? でも紹介しましたが、有名な心理実験があって、《周り(サクラ)がみんなAだというと、明らかにBが正解であるのにもかかわらず、ついついBだと回答してしまう被験者の割合が意外に高い》という結果が出ています。 一時の場での出来事であっても、こうなのです。 日常的に大量の嘘に接していると、一体どうなってしまうでしょうか? 自分では「中立な立場だ」と思っていても、知らず知らずのうちに判断の基準を狂わされている可能性は、かなり高いのではないでしょうか? どんなに大勢が言っていても、情報源の定かではない情報は信じない、「ないもの」として扱う ―― というくらいの姿勢でいないと、簡単にデマに引っかかって、誤った考えに染められてしまいます。

  私は情報を発信する際には、きちんと根拠を示すようになるべく務めています。 とはいえ、時間に追われて、ついついソースへのリンクを貼りきらないまま記事をアップしてしまうこともあります。 今書いている記事も、投票開始前に仕上げる必要に迫られ、一部の情報を参照先抜きで提示してしまうことになりそうです。 根本的には、この記事をお読みになっている読者の皆さんが日常的に一次情報にアクセスする習慣を身に着け、嘘に騙されない知的な地力を高めることが大事なことだといえるでしょう。 日本は、一時期に比べると改善されはしたものの、そうはいっても国際的にみるとまだ 被用者の年間労働時間が長いほうに属しています(OECD, Average annual hours actually worked per worker)。 ですから、「お前みてーに暇じゃねえんだよ。 国外紙なんか読んでられっか」と反発を覚える方もいらっしゃるでしょう。 どうかその反発・怒りを、私にではなく、長時間を強いられている現状に向け、今回の選挙では、時短を本気で取り上げている政党に、労働条件の改善を優先度の高い政策としている政党に、一票をお投じください。

日本での「常識」の中には、実はヘンだ、ということも結構多い。 それは、あるいは、単純に虚偽(事実として間違い)であったりします。 あるいは、「やり方」として非効率・不合理なものであり、日本の外の社会では もっと効率的・合理的な方式が「当たり前」であったりもします。 あるいは「価値観」として、地球社会には通用しない(しにくい)ものであったりもします。 以下の本文では そのような「日本での常識⁼世界での非常識」を幾つか取り上げます。 それに対してカチンとくる方もいらっしゃるでしょう。 しかし、感情的に受け入れられないから拒絶する、というのは幼稚な反応です。 もちろん、「世界ではこうだから、日本もそれに合わせるべき」という考え方は、誤りです。 往時には大勢の人が天動説を信じていたけれども「それでも地球は回っている」わけで、今日の少数派が未来の多数派になることは、歴史上たびたび起こってきました。 けれども、「日本以外の多くの社会でそうなっているのには、それなりの理由があるのかもしれない」「自分が欧州流のやり方にしっくりこないのは、単に自分が日本に生まれ、日本で育ち、知らず知らずのうちに『これが当たり前だ』と思い込まされているという、ただそのことだけが理由で、合理的な根拠は何ら存在しないのかもしれない」と立ち止まって考える ―― そういう姿勢は大事です。

さて、現在、投票部前日の土曜日の午前5時前後。 のんびりしていると書き終わりませんので、以下の本文はぶっきらぼうな文体で記述します。 ごめんなさい。

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