奥が深いトイレあれこれ … 内装・照明・小物など編 ~ 土壁・板壁WCは臭わない?! | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

「お手洗いですか? どうぞ、こちらです。」

お通しするのは、1階はこちらのお手洗い。浴室・脱衣場から独立した洗面台。

その奥、暖簾の向こうが我が家のトイレ。


建具屋職人特製の無垢材の扉が誘ないます。

本当は引戸にしたかったんですが、

奥まった突当りの壁側に開くので、開けてもほとんど邪魔にも危険にもなりません。


「2階でお泊りの方は、こちらへどうぞ。」

居室から少し奥まったユーティリティースペースに面しています。

こちらは建具屋職人特製の無垢材の引戸なので、まったく邪魔にも危険にもなりません。




今日のお題は、トイレ第2弾。

7/5稿「​トイレあれこれ…腰掛便器選び編~最新高機能?シンプルベーシック?​」で、

トイレの便器について述べましたが、今回はその内装・設備編。



まずは手洗器。


1階はトイレの入口横にあった洗面台と背合わせに、水道を設置してあります。

カウンターは、日伸建設の倉庫の奥から引っ張り出してきたサクラ。

ボウルは、いかにも和!にならないようTOTOのモダンなもの。棟梁が選んでくれました。



1階は立派な手洗器をトイレの中に付けたので、タンクには手洗器なし。

2階はトイレの中に手洗器はないので、手洗器付のタンク。

水ハネ対策に背後はタイル張り。

 

とはいえ、今は新型コロナ対策もあって石鹸は欠かせないので、

結局はユーティリティースペースのミニ洗面台を使うことが多いのですが。


1階も2階も手洗器周りのタイルは、ちょっとしたお遊び!

​自分たちでちょっと変わったフランス製とイタリア製と日本製のを探してきました。​

2020/10/13稿「​水回りのタイル貼り付け~タイル選びとタイル職人の技​」参照​



次は明りとり、照明と窓のこと。



画像検索をしてみると、みなさんいろんな工夫をなさっていて、すごく悩みました。

けれど他の部屋と同様、天井から照明器具を吊らず、裸電球だけで統一することに。

木組み土漆喰壁が美しさを生かすには、かえってオシャレな照明器具は目障りに思えたんです。


そこで1階は、配管隠しに唯一ここに張った天井の格子障子を生かして、

その上に昼光色のLED電球を仕込んで天窓のイメージにして、

奥の壁には暗め(20W相当)の電球色LED電球をむき出しで設置しました。


 

2階も、便座に座った目線から光源が目に入らない位置に、

昔ながらのソケットに裸電球だけのように電球色LED電球を設置したので、

間接照明のように勾配天井板全体が灯りになって見えます。



これらの照明は、暗さに目が慣れた夜用に、あまり明るくはありません。
昔の男便所と女便所に仕切壁にあった国民球のオマージュとでも言っておきましょうか。
これでイメージできるのは、60代以上の人でしょうね。

 


日中はというと、きちんとハイサイドライト(高窓)から光が射します。

北側に面してるんですが、北隣の白っぽい外壁の反射光でかなり明るい!
夜でも窓があると、外の薄明かりで見えないことはない・・・蛍の光、窓の雪♪


これは横滑り出し窓なので、雨が降っていても開けたままにでき、

換気扇も使うと効果的に換気できます。


実は無垢材壁、土壁、漆喰壁のトイレは、驚くほど臭わない。

「芳香消臭剤なんか要るかいな!」と日伸建設の親方が自信満々に言うのを疑っていたんですが、

いや実際、まったく要らないことを体感して、これはおおいに言いたい!


「こんなに臭わないならトイレに窓はなくてもいい・・・

それなら家の真ん中にでもトイレを配置できて間取りの自由度が高まる!」


木の家ネットの柴田さん​が伝統構法のご自宅で暮らす実体験から

そんなふうに​YouTube対談​(6/30木の家ネット「​伝統構法日本の民家に住む理由​」)でおっしゃっていて、

ま、臭気の観点から言えば確かにそのとおりなんですよね・・・。


2020/6/16稿「​浴室に窓は必要か?・・・​」でも持論を述べましたが、

私は、臭気如何に関わらず外の空気は窓から直に(換気ダクトに頼らず)入れたい派。

窓があれば日中は電気を点けなくてすみます。


・・・やっぱり、ぼんやり暗めのトイレに入って

窓から射す明りに目をやるのはいいもんです・・・。

 



あと、床について。


伝統構法の我が家は、いわゆるフローリングは全てもちろん無垢材です。

1階は居室から一続きで、トイレも全て赤身勝りの源平杉一等材。

そのなかでトイレなどには、節の多く出ているところを配置してあります。

一等材​とは節のある材木のこと。
産地の吉野の製材所が日伸建設のために一等材でも節の少な目のところを選ってくれたそうですが、
それでも節の多寡はあり、それらを場所によって使い分けてあるのがすごいところ!

その板材、居間の中心的なところには節のほとんどないところを配置してあり、
同じ等級の材でも部位や裏表などで適材適所を見極めるのは、棟梁の目利きによるものです。

無垢杉は本当に足触りがいい・・・柔らかいというか、温かみがあるというか。


それに対して、2階は居室は全て畳敷きなので、

ユーティリティースペースから一続きでメイプルをトイレにも使っています。


杉のような針葉樹に対して、メイプルのような広葉樹は一般に硬く傷つきにくいので、

ユーティリティースペースにはピッタリ。

かといって、オークやチークほど冷たい感じはなく、素足にも心地いい。


先日竣工した日伸建設の家には、トイレの床全面にクスノキが使ってあってビックリ!
樟脳の原料になるぐらいですから、防虫抗菌に優れた作用をもち、その芳香も群を抜きます。


こういう無垢材の床を知ると、トイレといえどももう

合板フローリングやクッションフロアなどには戻れません。


掃除が心配?・・・無垢材の床にすると、まず汚さなくなります!

手入れは、掃除機をかけて、合成洗剤は使わずに湿らせた雑巾で拭くだけ。

難しい手入れは必要ないし、耐久性も高いし、心配はホントいりません。


 

さて、小物について、ペーパーホルダー。



これは、この家に合わせるペーパーホルダーは難しいなぁ・・・と、

棟梁自らが探してきた品。古色の鉄製。こんな味のあるの、どこで見つけてきたんでしょうか?!

こんなような物ですが、もっとアンティークな風合いのあるものです。

 


手摺のように使える小物台も付けてくれたので、手を置いてドッコイショっとできます。

他にも持つところはいっぱいあるので敢えて手摺としては付いていませんが、

将来的に必要になることがあれば、また棟梁に工夫してもらいます。


ただ、鉄のカバーが重いのと鉄の芯棒の摩擦が大きいので、ペーパーが回りにくいのが難点。

あるとき妻が「これを適当に切って」と差し出したのが、レジロールの芯紙管。

切ってはめてみると格段にスムーズになり、見事解決! 妻は天才でした!!


 

それと、ウォシュレットのリモコン。
 

流すのは電気に頼らないことにこだわったので手動です。

ウォシュレットは尻元スイッチでもよかったんですが、何も指定しませんでした。


そしたら、TOTOの上級機種​アプリコット​を入れてくれたんですが、

このリモコンが使いにくい!

ボタンが小さ過ぎて見えにくく押しにくいんです。
 

下位機種の​S​の方が使いやすそう。



なんでこんな使いにくいのを上級機種用にデザインしたのか?

TOTOのトイレを信頼しているだけに残念です。


ちなみに、こんな記事があったので、参考まで。

「​トイレ選びに悩んだら、リモコンのデザインで比較してみよう​」


洗浄便座をリモコンのデザインで選ぶってことはあんまりないと思いますが、

実は毎日のことなんで意外と重要かもしれません。



最後に、収納・棚について。


トイレには常備しておくものが結構いろいろありますよね。

トイレットペーパーや洗剤など、収納が確保されていないと結構困ります。

この家でまさか突っ張り棚というわけにもいかず・・・。


1階は、手洗器の項で掲載した写真のように、

手洗いカウンターの下に収納して、手拭いで隠してあります。

私は排水管が見えているのが好きではないので、こうして覆って、ついでにモノを突っ込んである。


2階は手洗いカウンターがないので、壁際に棚を2段つくってもらいました。

便座に腰掛けて正面なので、飾り棚にもなるかなと思ったからです。


それで、見せる収納としてトイレットペーパーなどを置いたり、

小物を飾ったりしてみたんですが、

やっぱり木組み・土漆喰の内装の良さを邪魔してしまう・・・。


結局は、下の棚に暖簾を掛けて、その中を収納に。

棚には、私の自作した畳の端材を解いた藺草を竹で束ねた置物を下の左端に、

上の棚の右端には「人面ボタン」の不思議な何か?!・・・で、今のところ落ち着いています。

この壁面には絵を掛けたらいいかなと思っていたんですが、
妻は土漆喰壁そのものを眺めていたいというので、敢えて空けてあります。

ところでこの、上の棚の「何か」・・・。

実は漆芸で、顔に見えるところはボタン、胴に見えるところはスプーンらしいのですが・・・。

会津は相田漆工壱工房の​相田雄壱郎さん​の作品なんです。



3年ほど前だったか大阪・梅田の展覧会で遭遇して何故か引かれて、

相田さんご自身にも惹かれて、何のご縁でしょうね。



話しが逸れたところで、トイレ第3段

男にとってのトイレあれこれ … 男子トイレ・小便器 ~ 洋便器に座ってさせる?!」(10/9)に続く・・・。