先週末10/10(土)、タイル屋さんが作業に入りました。
台風14号近畿最接近と予報されてた日。でも、うまく逸れたお陰で雨は朝だけ。
タイルを貼るのは屋内でも、切ったりするのは外でもするので、降らないに越したことはない。
まずはキッチンの壁から貼り始めます。
壁の芯は竹小舞の土壁。そこに防水紙とラス(剥落を防ぐ金網)を張って、
仕上げ用のモルタルを塗ったタイル用の下地が作ってありました。
そのことは、9/14稿「タイル張りモルタル下地・・・」でも触れてあります。
そうそう! 実際に手に取って見て選んだのは、このタイルでした。
・・・って、思い出したように?
タイル選びは、かなり悩みました。
というより、タイル張りするかどうかから、まず悩みました。
当初はホーローキッチンパネルにしようかとも思っていたのです。
市販のシステムキッチンでいいと思っていたこともあるし、
キッチンパネルでもホーローなら鉄ですから自然素材、磁石もくっ付いて便利です。
土壁にタイルを貼ることができるのかどうか、素人には分からなかったこともありました。
結局は棟梁の勧めや、予算内でできるということもあり、
造作キッチンをお願いすることになったのにあたり、やっぱりキッチンパネルでは・・・
という話しになり、タイル張りのキッチンの画像を検索しまくることに。
で、古煉瓦張りの壁のキッチンが、イメージに合うし汚れが目立たないだろうということで、
実際にタイルメーカーのショールームに確かめに行ったのが、7か月も前の3月だったのです!
3/1(日)には平田タイル、
3/7(土)にも名古屋モザイク工業とリビエラのそれぞれ大阪ショールームに、
妻と出かけてみました。 (click ☝ link)
それで実際に古煉瓦タイルを見て見ると、なんか本物とは質感が違う・・・。
どうもセメント系ブリックタイルというものが大半のようなのです。
<一例☟>
セメント系ブリックタイルとは、セメントに軽量骨材を混ぜ、
煉瓦や天然石をモデルとした型に流し込み固めた製品だそうです。
一見本物と見紛う出来だし軽量で施工性も良く優れた製品なんですが、
結局それは本物そっくりの印刷塗装、
つまるところサイディングやビニルクロスと同様なんですよね。
それに妻に陶磁器の趣味があることや、土壁には土を焼成した陶磁器こそ!ということで、
古煉瓦タイルからは心が離れていってしまったんです。
考えあぐねた末のショールーム巡り3軒目、
2/25にオープンしたばかりのリビエラ大阪ショールーム。
リゾートホテルをコンセプトとしたとってもエレガントな空間が広がります。
リビエラの社員の方が言うには、ヨーロッパでは家の内外装はタイルが多いんだそうです。
そもそもは石や煉瓦造りの家が多いヨーロッパ。でも現代ではさすがにそうもいきません。
で、日本ならさしずめサイディングとビニルクロスとなるところなんですが、
それでは質感もチープだし耐久性も低く、ヨーロッパ人の感性にはそぐわない。
本物の石と煉瓦の高耐久住宅の国々だけあって、欧州製の内外装用タイルの品質は格別です。
そのリビエラでいくつか提案いただいたなかで出会ったのが、
「キュービック(ベージュ)」。
細割の石が積み重なったようなデコレーションの磁器質セラミックタイルでした。
ということで、国産にこだわった伝統構法の家に、
オシャレなイタリア製タイルという組み合わせに行き着いてしまったのです!
タイル屋さんも、いろんな専門道具を持ち込みます。
タイルをカッターで切ったり・・・
鋏んで割り切ったり・・・
小さいタイルと違って約15cm×60cmと大きなタイルです。
柱の内法(ウチノリ)のスペースの真壁に貼っていくには、大壁に貼るようにはいきません。
石積みのようなテクスチャーなんで、継目(目地)が無いように貼れないかと思ったんですが、
タイル屋さんに言わせると、それだと揺れたときに歪みを吸収する余地がなく割れてしまうと。
週明け10/12(月)には、目地を埋めていきます。
同じリビエラ、イタリア製の弾性目地材Flexcolor(ナチュラル色)を合わせます。(右端☟)
目地が浮き立つことのない自然な石積み風の仕上がりになりました。
煉瓦風ブリックタイルなら汚れは目立ちませんが、洗剤で拭くのははばかられます。
けれど磁器質タイルなら、洗うことができます。
次に洗面所。
キッチンと同時に土曜日にタイル屋さんがタイルを貼って、
週が明け月曜日に目地を入れました。
このタイル、上の方の壁の部分は、平田タイルのイタリア製「トリコット」を選びました。
ショールーム巡り1軒目にして目にとまり、
天然木とファブリックを思わせる凹凸感のある風合いのテクスチャーが、
ナチュラルなイメージで土壁に合うと思ったからです。
メーカーによれば、仕上がりを美しいものにするため出来る限り目地幅を取らず、
また目地材を充填せずに仕上げることを推奨しているのものです。
けれどここは水ハネもあるところで、隙間に水がしみ込むのも望ましくないし、
かといって振動による割れを防ぐには若干の目地も必要ということで、
キッチンで使ったリビエラの弾性目地材Flexcolorを転用することにしました。(☝写真右端)
良い感じで接ぎ合わせることができました。
表しの無垢柱に合わせる真壁タイルとしても、良い味わいが出せたと思います。
そして、シンクとミラーキャビネット(未設置)との間は、
妻の希望で思いっきりカワイイのを選びました!
最初に平田タイルに行って実物見本を見て一目惚れしたフランス製「スパークル」です。
水彩画のような色合いに、独自の手作業でカットされた不ぞろいなピース・・・。
この風合いは、ちょっと日本人には真似のできない感性です。
伝統構法=和風でないといけない!みたいな思い込みからの解放を表現してみました。
これは2階の手洗い場でも採用。
ここは真壁だけど、照明器具も合わせてモダンでポップな演出を意図しています。
目地を入れる前は、こんな感じ・・・。
「何色の目地にする?」とタイル屋さんに聞かれて、私は答えられなかったんですが、
妻が「白に決まってるやん!」と即答。
月曜日に仕上がっているのを見ると、なるほど、確かに!
聞けば、ショールームの見本を作ったのは、このタイル屋さんのお兄さんで、白にしたんだとか。
う~ん、さすがぁ。
最後にトイレ。
これも1軒目の平田タイルで印象的だったタイル「ジャポニカ(アイボリー)」が、
土曜日に貼られていました。
これは日本製。でも、和モダンというんでしょうか、
一般的な日本のタイルとは一線を画す秀逸なデザイン。
伝統構法の日本建築には純和風信楽焼便所、みたいなステレオタイプからの脱却。
月曜日には目地が埋められました。
ジャポニカは丸いので目地の部分が大きく、目地の印象が全体に大きく影響するタイルです。
そこで選んだ目地材が、平田タイルが「目地の色は白と灰色だけとお考えではないですか?」
と問う、Hi-Color-Joint12色のひとつ。(弾性目地材Flexcolorの写真☝の左端)
当初の私のスケッチでは、こんなふうに帯にしては?・・・との棟梁への提案だったんですが、
結局は1階のトイレは手洗器の背面に配することに。
ピンク色の目地を入れて仕上げます。
2階のトイレは手洗器付きの水洗タンクになるので、
タンクの上端より上は1階の洗面所の横の壁と同じ「トリコット」、
タンクの背面は「ジャポニカ」という2トーンに配することになりました。
イタリア製と日本製のコラボレーションも、違和感なく案外素敵です。
次の工程は、いよいよ玄関土間の「三和土(タタキ)」です!
またまた左官さんの活躍が楽しみです。