私の息子は薬物依存症でした⑤ | 大切なものは目には見えない

大切なものは目には見えない

日々の普通の生活が当たり前だと思っていたけど、それは当たり前では無かった。
今日と同じ明日が必ずあるとは限らない。
本当に大切なものは目には見えないから、私の心が感じたことを忘備録として残します。

私の息子は「薬物依存症」でした


「薬物」と言っても、覚醒剤や大麻を使っていたわけではありません。

誰でも簡単に手に入る市販薬と、精神科での処方薬の乱用から…それは始まりました。






好きだった人と破局して、心が傷付くことがいくつか重なってしまって
息子は少し鬱っぽくなっていました
でも、それは「鬱病」とは違いました。

失恋して、悲しくて、胸が苦しくて…
どうしようもなく やるせない気持ち
何もやる気がなくなって
自暴自棄になってしまうこともありますよね

すぐに気持ちを切り替えることが
出来る人もいるかも知れません

でも、そういう気持ちって個人差が大きいかも知れないですよね。

そしてそれは、誰でも一度くらいは経験したことがあるのでは無いでしょうか?
そういう経験をして、辛い状況を乗り越えて
人は強くなれるんだと思います。
そんな傷みを経験して、他人の心の傷みも分かり、労りや思いやりの気持ちが育まれ
人間的に強く優しくなれるんだと思います。


失恋や破局の後の気持ちの落ち込み
それってメンタルクリニックで治して貰えるものでしょうか?
それは病気じゃないですよね

その心の傷みは「精神薬」で治るものではありません

なのに息子は自暴自棄になってしまい
心の傷みを一時忘れるために
薬をODする事を選んでしまいました

それから、ただ薬を得る為に
メンタルクリニックに通うようになってしまいました

そんな事情を知っていたなら
絶対に行かせなかったと思います

本人は最初はただODしてるだけだと(それ自体だけでも危険な行為ですが)
思っていたみたいですが…
その繰り返しで、あっという間に薬物依存症になっていました。

息子は昨年、精神科へ3回入院をしました。
それは全て「薬物依存症」が原因の入院でした。
「精神疾患」の為に入院したわけではありません。
確かにいろんな薬をたくさん飲んで、薬のせいで少しおかしくなっていました。

酷く衝動的になったり、急に落ち込んだり…
暴力的になったり…
感情コントロールが出来なくなったり
そして激しい自傷行為と希死念慮

薬って本当にコワイです
用法用量を守らないと、特に精神薬は麻薬と同じです。
副作用が恐ろしいです。

傍目から見たら、息子は完全な精神疾患者でした。

しかし、それは薬の乱用、多量摂取のせいでおかしくなっていたのであって
その症状は「精神薬」で治療するものではありません。

全ての薬を飲むのを止める事が
息子を元の正常な状態に戻す事でした

ですが、「精神疾患」と「薬物依存症」の症状は見た目は同じです。
見た目は同じでも原因が全く違うのに
この違いを世間の人に理解して貰うのはかなり難しいことでした。

精神科に入院した人はすべて精神病だと思われます

危ないヤツはちゃんと薬を飲んで、
大人しくさせないとコワイと思われます。

「精神疾患」は薬で治療が必要かも知れないけど、でも「薬物依存症」は全ての薬を断つ必要があるんです。

薬では治らない
薬で治す病気ではありません

精神科では、ある程度の薬は整理してくれました。
でも、気分安定薬みたいな薬と感情コントロールをする薬と睡眠薬はいつまでも出し続けられました。


だいたい気分を安定させる薬って何?
不安を抑える薬って何?

そんな人間の感情を変えてしまう薬って
凄くコワイです
感情のコントロールする薬って、どういう根拠があるのだろう?
精神薬に治験てあるのかな?

私にはいろんな疑問がありました


私は息子が薬物依存症だと分かった時
簡単には治らないと、いろんな人に言われましたが…
完治するまでには何年もかかるとか
依存症の人の生存率は低いとか
いつまでも薬を止めることが出来なくて、終いには廃人のようになってしまった話を聞いたり…
調べれば調べるほど、不安にしかならなかった。
依存症の家族会に行っても、完治した話は一度も聞いた事がありませんでした。

出口のないトンネルの中で、私たち家族はいつまでこの闇の中で彷徨えばいいのだろう?
明るい未来なんて全く想像出来なかった

だけど、そんな絶望的な時でも
私は絶対に息子を取り返すと決めていました。
薬なんかに私の大事な息子を奪わせない

病気や事故で命を奪われるのも悲しいけど、
こんな形で、私は自分の息子を失いたくない。
誰が何と言っても、私は絶対に諦めない。

諦めたら、そこで全ては終わってしまいます。