私の息子は薬物依存症でした ④ | 大切なものは目には見えない

大切なものは目には見えない

日々の普通の生活が当たり前だと思っていたけど、それは当たり前では無かった。
今日と同じ明日が必ずあるとは限らない。
本当に大切なものは目には見えないから、私の心が感じたことを忘備録として残します。





私の息子は「薬物依存症」でした


「薬物」と言っても、覚醒剤や大麻を使っていたわけではありません。

誰でも簡単に手に入る市販薬と、精神科での処方薬の乱用から…それは始まりました。

「依存症」は脳の病気です


もともと発達障害があり、何か興味のある物にのめり込んでしまう性格でした。

その性格が禍して、ある時、急に「薬」に興味を持ってしまいました。
分厚い薬の専門書を知らない間に買っていました。
しかし、その本に書かれていたのは製薬会社が薬を売るための都合の良いことばかり…
薬の効用・効果ばかりが書かれていて、薬の副作用や禁忌などはほんの少ししか記載されていませんでした。

精神薬について、浅く広く、ただ知識だけを持ってしまった息子は、メンタルクリニックに行き自分の欲しい薬を並び立てて
医師に要求しました。

そして何故か?息子の希望通りの薬が、簡単に手に入ってしまう

本当は息子には、そんな薬は必要ではなかったはずです。
なのに何故?
メンタルクリニックでは簡単にそんな薬が手に入ってしまうのでしょうか?

先日、内科では風邪薬は5日分くらいしか、一度に出されませんでした。
良くなったら続けて飲まないで、飲むのを止めてくださいと言われました。

だけど精神科やメンタルクリニックでは違います。
一度に4週間の薬が出して貰えます。
そして、一度出された薬はこちらから要らないと言うまで延々と出されます。

これはもう要らないと言うと、今度は違う薬を勧めて来ます。
精神科やメンタルクリニックでは、薬の出し方が他の科とは明らかに違います。

ちゃんと考えて処方される医師も居るのかもしれませんが、殆どの精神科やメンタルクリニックではたくさんの薬を出したがります。

内科などの他の科に比べて、薬を出さないと採算が取れないんだと思います。

そんなふうに簡単に手に入ってしまう精神科の処方薬で、依存症になってしまう人は少なくはありません。

そして、一度、依存してしまうとなかなか抜け出す事は難しい。
ここには医療の闇があります



ダルク(フリーダム)に相談に行った時、依存症は本人が一度、地獄を見ない限り、
自分でやめようとは思わないと言われました。
(家族は既に地獄を見ていましたが…)

だから、どんなことがあっても絶対に助けてはいけないと言われました。
見守りながら、自分の身勝手な行いで家族に迷惑をかけないで欲しいと、言い続けることが大事だと…


薬物の問題をもつ人の家族や友人の自助グループ「ナラノン」でも同じようなことを言われました。

在住する市内にはナラノンのグループがいくつかありました。

私は自分が住んでいる場所から、一番近い場所で開催されていたグループに何度か参加させて貰いました。

そこに参加されている人たちは皆、家族に何らかの依存症の人がいて、同じ苦しみ悲しみを経験したことがある人たちでした。

同じ痛みを経験したからこそ分かり合える事があります。

名前や住所も知らない人たちと、そこではニックネームで呼び合います。

友だちや親戚にも話せないことも、そこでは全て吐き出せます。
その気持ちを理解してもらえるから

辛い現状を話して、それが何とかなるわけではないけど…
色んな人の経験談を聞くことが出来ました

そして、自分のやり場のない気持ちや話を聞いて貰えるだけで、ほんの少しだけ心が軽くなることもあります。

普通の人に話しても理解して貰えない事がたくさんあるから
同じ経験したからこそ分かり合えることがあります

でも結局は、ナラノンに参加出来る時は
まだ気持ちに余裕がある時でした。

本当に辛くて、心が不安でいっぱい いっぱいの時
自分の心に余裕がない時は、ナラノンに参加することさえも出来ませんでした。

家族に精神を病んでる人がいると
家の中の空気はいつも淀んでいます

そして、健康なはずだった家族の心さえも
少しずつ蝕んで行きます。